重要! 省力化投資補助金(一般型)の審査ポイント

2025/05/29

この記事の重要ポイント

はじめに

中小企業省力化投資補助事業は、事業再構築補助金の基金が活用され、2024年6月からカタログ注文型の補助金としてスタートしましたが、カタログの製品登録が進まないことや、活用できる範囲が限定されること等の理由から、2025年1月からは、新たに企業毎に合わせたオーダーメイド設備の導入に活用できる省力化投資補助金(一般型)の公募が始まりました。

随時受付中のカタログ注文型では、あらかじめ省力化効果が認められた製品をカタログから選ぶ形式を取ることで、スピーディな補助事業の実施を目指しているため、事業計画書等、申請が簡易的になっています。
 
一般型では、企業独自の取り組みについての説明が求められるため、多くの審査項目を押さえた事業計画書を作成する必要があります。また、一定規模以上の申請を行う事業者を対象として、オンラインで口頭審査が実施されます。

省力化投資補助金(一般型)は、現在、第2回公募がまもなく終了となりますが、年3~4回実施することが発表されているので、活用を検討されている事業者の方は、早めに準備を始めることをお勧めします。

省力化投資補助金(一般型)では、事業計画書作成の参考ガイドがアップされているので、この参考ガイドを参考に、参考様式に沿って事業計画書をまとめていきましょう。その上で、以下の審査項目を確認し、網羅していけば、採択の可能性はグンと高まります。
この記事では、採択に近づくための審査ポイントについて解説します。

省力化投資補助金 4つの審査項目

省力化補助金(一般型)の審査項目は「補助対象事業としての適格性」「技術面」「計画面」「政策面」の4つで構成されており、これに加えて「加点項目」が定められています。

これらの項目は、すべて公募要領に明記されているため、熟読し、審査内容に準拠した申請書を作成することが採択への大きな一歩となります。

第2回締切分の公募要領に記載されている審査項目・加点項目は以下の通りです。


審査項目①:補助対象事業としての適格性

まずはそもそも補助対象事業として条件に沿っているかを再確認しましょう。ここでは特に、目的への適格性が重要なポイントとなります。

目的や基本要件については、こちらの記事を参照ください。
≪参考≫省力化投資補助金(一般型)公募要領が発表!



審査項目②:技術面


事業実施における「技術面」については、省力化指数(※1)や投資回収期間(※2)、付加価値額(※3)、オーダーメイド設備の4つの観点から評価されます。ここでいうオーダーメイド設備は、必ずしも完全受注型のオーダーメイドである必要はありません。汎用設備でも複数組み合わせることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出すことをアピールしましょう。

※1:省力化指数
[(設備導入により削減される業務に要していた時間)-(設備導入後に発生する業務に要する時間)]÷設備導入により削減される業務に要していた時間
※2:投資回収期間
  投資額÷(削減工数×人件費単価+増加した付加価値額)
※3:付加価値額
  営業利益+人件費+減価償却費


従来のカタログ注文型とは異なり、一般型の申請では、申請者自身で省力化効果を明示する必要があります。

申請する製品を用いてどのような省力化効果が見込めるのか、省力化効果により付加価値の向上がどの程度見込めるのか、事業状況に見合った投資であるのか、個別の課題に対して作業工程や事業所の構造・レイアウト等に合わせて、機能、構造、性能等が一品一様で設計・開発された機械装置・システムの導入をする事業計画となっているか、革新性がどれだけあるのか等、詳しく記載しましょう。

製品カタログに登録されているカテゴリに該当する製品について、一般型で導入する場合、省力化効果が十分に見込める設備を導入する計画であると認められるため、審査の際に有利に働くと考えられます。ただし、その場合でも、単体での導入ではなく、組み合わせによって、より高い省力化効果や付加価値を生み出す事業でなくては対象になりません。

審査項目③:計画面


事業実施における「計画面」について、スケジュール等が具体的か、企業の収益性、生産性、賃金が向上するかどうかが審査されます。

社内体制や財務状況に問題がないことを示し、補助事業がスムーズに遂行できるということをアピールしましょう。

審査項目④:政策面

ここでは、実施する事業が、地域経済への貢献や、日本の経済発展に資するかを判断し、国の経済政策として支援すべき取組であるかどうか審査されます。地域の経済成長には、大規模災害からの復興等も含まれるため、該当する場合は、言及すると良いでしょう。

また、以下に選定されていたり、承認を受けていたりする場合も有利になるため、該当する場合は、漏れなく記載しましょう。

 ・地域未来牽引企業

 ・地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画

 ・アトツギ甲子園ピッチ大会出場者

できるだけ取得したい加点項目

以下の6つの項目に当てはまる申請者については、当てはまる項目の個数に応じて審査上の加点を受けることができます。加点項目の一部については、証拠となる書類やURL添付等を求められますので、準備をしておきましょう。また、以下に示す加点項目は、中小企業庁が管轄する他の補助金においても加点項目として設定されていることが多いので、今後も補助金活用を考えている方は、早めに取り組んでおくことをお勧めします。


①事業承継又はM&A を実施した事業者に対する加点

 過去3年以内に事業承継により有機的一体としての経営資源を引き継いだ事業者。なお、事業承継は、株式譲渡又は相続・贈与により法人と個人間で承継した場合、又は同一法人内で代表者交代したものに限る。


②災害等加点

 有効な期間の事業継続力強化計画(連携型含む)の認定を取得した事業者。
 ・事業継続力強化計画


③成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点

 「成長加速マッチングサービス」において会員登録を行い、応募締切日時点で挑戦課題を登録している事業者。
 ・成長加速マッチングサービス
  

④賃上げ加点(未達の場合、次回以降の各種補助金申請において大幅な減点あり)

 事業計画期間了時点における給与支給総額の年平均成長率4.0%以上増加する計画を有すること及び、事業場内最低賃金を毎年3月に事業実施都道府県における最低賃金より+40円以上の水準を満たすことを目標とし、事務局に誓約している事業者。

未達が報告された場合、その報告から18ヵ月の間、省力化補助金の次回公募及び中小企業庁が所管する他の補助金への申請において、正当な理由が認められない限り、大幅な減点を受けてしまうため、慎重な計画立案を行いましょう。


⑤えるぼし加点

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者。


⑥くるみん加点

 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者。


以上の審査項目に沿った申請書を作成することで、省力化投資補助金(一般型)の採択を勝ち取ることができる確率が大幅に上がります。

また、補助金の申請額が一定規模以上の事業者に対してはオンラインでの「口頭審査」も実施されます。その際も、事業の適格性や優位性、実現可能性等を申請者自身が答える必要があるため、審査項目を意識しての事業計画が必須となります。

最後に

省力化投資補助金(一般型)は第1回公募が2025年1月30日に始まり、3月31日の締め切り後、採択発表予定の6月中旬を待たずに4月15日に第2回公募がスタートしました。

そのため、現時点では応募件数もわかっておらず、補助金の難易度が予想できる採択率もわかりませんが、補助金額が大きいこと等からも狭き門になる可能性が高いと思われます。申請準備には2か月程度を要すると考えて良いでしょう。

現時点で、第3回公募のスケジュールは発表されていませんが、年3~4回実施されることが公表されています。導入設備の検討や見積りの取得、事業計画のブラッシュアップ等、採択可能性を高めるには入念な準備が必要です。省力化投資補助金(一般型)の活用を検討されている方は、早めにご相談ください。
筆者・監修

省力化補助金編集部

シェアビジョン株式会社

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