この記事の重要ポイント
一般型は、カタログ注文型よりも審査項目が多い
審査方法は、書面審査と口頭審査(一部の事業者のみ)
製品カタログに登録されている製品の導入は有利な場合も
はじめに
随時受付中のカタログ注文型では、あらかじめ省力化効果が認められた製品をカタログから選ぶ形式を取ることで、スピーディな補助事業の実施を目指しているため、事業計画書等、申請が簡易的になっています。
一般型では、企業独自の取り組みについての説明が求められるため、多くの審査項目を押さえた事業計画書を作成する必要があります。また、一定規模以上の申請を行う事業者を対象として、オンラインで口頭審査が実施されます。
省力化投資補助金(一般型)は、現在、第2回公募がまもなく終了となりますが、年3~4回実施することが発表されているので、活用を検討されている事業者の方は、早めに準備を始めることをお勧めします。
省力化投資補助金(一般型)では、事業計画書作成の参考ガイドがアップされているので、この参考ガイドを参考に、参考様式に沿って事業計画書をまとめていきましょう。その上で、以下の審査項目を確認し、網羅していけば、採択の可能性はグンと高まります。
この記事では、採択に近づくための審査ポイントについて解説します。
省力化投資補助金 4つの審査項目
これらの項目は、すべて公募要領に明記されているため、熟読し、審査内容に準拠した申請書を作成することが採択への大きな一歩となります。
第2回締切分の公募要領に記載されている審査項目・加点項目は以下の通りです。
審査項目①:補助対象事業としての適格性
公募要領に記載の対象事業、対象者、申請要件、補助率等を満たすか。
中小企業省力化投資補助事業(一般型)の目的の沿った申請であるか。
目的や基本要件については、こちらの記事を参照ください。
審査項目②:技術面
省力化指数が高い取組であることが示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
投資回収期間が短い取組であることが示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
付加価値額の年平均成長率が大きい案件であることが示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか。
人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)等の導入等を行う事業計画であることが示されているか。また、汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わることや、省力化に資する汎用設備を組み合わせて複数導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが示されているか。
事業実施における「技術面」については、省力化指数(※1)や投資回収期間(※2)、付加価値額(※3)、オーダーメイド設備の4つの観点から評価されます。ここでいうオーダーメイド設備は、必ずしも完全受注型のオーダーメイドである必要はありません。汎用設備でも複数組み合わせることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出すことをアピールしましょう。
※1:省力化指数
[(設備導入により削減される業務に要していた時間)-(設備導入後に発生する業務に要する時間)]÷設備導入により削減される業務に要していた時間
※2:投資回収期間
投資額÷(削減工数×人件費単価+増加した付加価値額)
※3:付加価値額
営業利益+人件費+減価償却費
従来のカタログ注文型とは異なり、一般型の申請では、申請者自身で省力化効果を明示する必要があります。
申請する製品を用いてどのような省力化効果が見込めるのか、省力化効果により付加価値の向上がどの程度見込めるのか、事業状況に見合った投資であるのか、個別の課題に対して作業工程や事業所の構造・レイアウト等に合わせて、機能、構造、性能等が一品一様で設計・開発された機械装置・システムの導入をする事業計画となっているか、革新性がどれだけあるのか等、詳しく記載しましょう。
製品カタログに登録されているカテゴリに該当する製品について、一般型で導入する場合、省力化効果が十分に見込める設備を導入する計画であると認められるため、審査の際に有利に働くと考えられます。ただし、その場合でも、単体での導入ではなく、組み合わせによって、より高い省力化効果や付加価値を生み出す事業でなくては対象になりません。
審査項目③:計画面
補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
補助事業の成果が優位性や収益性を有し、かつ、省力化による結果に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
本事業により高い賃上げを実現する目標値が設定されており、かつその目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか。
補助事業を実施することにより、部分的な省力化に留まらずに会社全体にシナジーや成果をもたらす取組みとなっているか。具体的には、補助事業で省力化された時間や労働力を高付加価値業務に振り向けることで賃上げにつながるような、会社全体における柔軟なリソースの最適化の観点をふまえた内容となっているか。そのうえで「労働生産性」「1人当たり給与支給総額」「給与支給総額」等の算出根拠に妥当性があるか。
事業実施における「計画面」について、スケジュール等が具体的か、企業の収益性、生産性、賃金が向上するかどうかが審査されます。
社内体制や財務状況に問題がないことを示し、補助事業がスムーズに遂行できるということをアピールしましょう。
審査項目④:政策面
地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか。
事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。
先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。
また、以下に選定されていたり、承認を受けていたりする場合も有利になるため、該当する場合は、漏れなく記載しましょう。
・地域未来牽引企業
・地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画
・アトツギ甲子園ピッチ大会出場者
できるだけ取得したい加点項目
①事業承継又はM&A を実施した事業者に対する加点
過去3年以内に事業承継により有機的一体としての経営資源を引き継いだ事業者。なお、事業承継は、株式譲渡又は相続・贈与により法人と個人間で承継した場合、又は同一法人内で代表者交代したものに限る。
②災害等加点
有効な期間の事業継続力強化計画(連携型含む)の認定を取得した事業者。
・事業継続力強化計画
③成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点
「成長加速マッチングサービス」において会員登録を行い、応募締切日時点で挑戦課題を登録している事業者。
・成長加速マッチングサービス
④賃上げ加点(未達の場合、次回以降の各種補助金申請において大幅な減点あり)
事業計画期間了時点における給与支給総額の年平均成長率4.0%以上増加する計画を有すること及び、事業場内最低賃金を毎年3月に事業実施都道府県における最低賃金より+40円以上の水準を満たすことを目標とし、事務局に誓約している事業者。
未達が報告された場合、その報告から18ヵ月の間、省力化補助金の次回公募及び中小企業庁が所管する他の補助金への申請において、正当な理由が認められない限り、大幅な減点を受けてしまうため、慎重な計画立案を行いましょう。
⑤えるぼし加点
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者。
⑥くるみん加点
次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく「くるみん認定」を受けている事業者。
以上の審査項目に沿った申請書を作成することで、省力化投資補助金(一般型)の採択を勝ち取ることができる確率が大幅に上がります。
また、補助金の申請額が一定規模以上の事業者に対してはオンラインでの「口頭審査」も実施されます。その際も、事業の適格性や優位性、実現可能性等を申請者自身が答える必要があるため、審査項目を意識しての事業計画が必須となります。
最後に
そのため、現時点では応募件数もわかっておらず、補助金の難易度が予想できる採択率もわかりませんが、補助金額が大きいこと等からも狭き門になる可能性が高いと思われます。申請準備には2か月程度を要すると考えて良いでしょう。
現時点で、第3回公募のスケジュールは発表されていませんが、年3~4回実施されることが公表されています。導入設備の検討や見積りの取得、事業計画のブラッシュアップ等、採択可能性を高めるには入念な準備が必要です。省力化投資補助金(一般型)の活用を検討されている方は、早めにご相談ください。
省力化補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。
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