省力化投資補助金にオーダーメイド形式の「一般型」が登場!
ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠は、省力化投資補助金の一般型で実施の可能性も
省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等の「省力化製品」の導入を支援する目的で、令和5年度補正予算で計上され、新たに創設されました。2024年6月から公募が開始し、第1回だけは公募締切りが設けられましたが、8月からは応募・交付申請は随時となり、現在も応募が受け付けられています。
予算規模は、令和5年度補正予算で1,000億円、事業再構築補助金の再編により既存基金の活用を含め5,000億円規模で実施されるとされていました。
この補助金は、カタログ型であることが特徴で、カタログに掲載された「製品カタログ」から、中小企業等の事業者が自社の課題・業種・業務プロセスにあった製品を選び、販売事業者と共同で申請します。
カタログに掲載される製品は、製品製造事業者(メーカー等)が申請し、工業会が審査を行って順次更新されており、ブログ執筆現在、登録製品数は232件となっています。
申請に必要な書類も簡便で、採択後の事業実施もスピーディーであることが最大のメリットですが、カタログに掲載される製品の登録が十分でないこともあり、活用が進んでいませんでした。
令和6年度補正予算案では、カタログ形式の省力化投資支援だけでなく、オーダーメイド形式も幅広く対象となるよう、大幅にリニューアルすることが発表されました。予算は、令和6年に再編された中小企業事業再構築促進基金の活用により、3,000億円規模で実施されます。改めて、省力化投資補助金の事業目的は以下の通りです。<事業目的>
中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援する。これにより、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とする。
事業概要としては、現在応募受付中のカタログ型に「一般型」が追加されました。<事業概要>
(1)カタログ注文型
清掃ロボット、自動券売機、スチームコンベクションオーブン、無人 搬送車等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に 掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する。
(2)一般型
業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等の多様な省力化投資を促進する。
導入支援のイメージとしては、以下の通りです。
製品を購入してすぐに、大がかりな設定等の必要がなく、すぐに使える自動券売機や無人搬送車といった製品の導入はカタログ注文型、事業者の個々の業務に応じて設計されたカスタマイズ機器や、ソフトとハードを組み合わせた省力化システム等の導入が一般型となります。
(1)カタログ注文型従業員数 | 補助上限額 ※()内は大幅な賃上げを行う場合 | 補助率 |
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5人以下 | 200万円(300万円) | 1/2 |
6~20人 | 500万円(750万円) | 1/2 |
21人以上 | 1,000万円(1,500万円) | 1/2 |
(2)一般型従業員数 | 補助上限額 ※()内は大幅な賃上げを行う場合 | 補助率 |
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5人以下 | 750万円(1,000万円) | 1/2、小規模・再生2/3
※補助金額1,500万円までは 1/2もしくは2/3、 1,500万円を超える 部分は1/3 ※最低賃金引上げ特例: 補助率を2/3に引き上げ (小規模・再生事業者は除く) |
6~20人 | 1,500万円(2,000万円) |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
ものづくり補助金 省力化(オーダーメイド)枠は省力化投資補助金の一般型にスライドか?
省力化投資補助金(一般型)の補助上限と補助率は、ものづくり補助金17次・18次の省力化(オーダーメイド)枠と全く同じであり、補助金の目的も非常に近しく、「人手不足の解消」という点も共通していることから、これまでのものづくり補助金 省力化(オーダーメイド)枠については、省力化投資補助事業の方で実施される可能性も高いと思われます。ものづくり補助金 省力化(オーダーメイド)枠の目的
人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援します。
17次・18次ものづくり補助金は、単年度予算で実施されたため、交付決定から補助事業の完了期限までが非常に短くなりました。
実際に、複数年度だった16次公募までは、交付決定後から10ヵ月以内に補助事業を完了するように定められていましたが、17次では補助金交付候補者決定の5月20日から、18次では同6月25日から、補助事業を実施して実績報告を提出する期限が12月10日と6ヵ月少し~半年もないほどでした。
採択してもすぐには発注できないので、交付申請をして2~3ヵ月で交付決定が降り、注文できるようになると考えると、さらに補助事業にかけられる期間は短くなります。
オーダーメイド設備のように受注生産となる設備は、納期に時間がかかる傾向が多く、補助事業の実施が補助金の実施期限までに間に合わず、補助金が活用できない問題がありました。
ものづくり補助金18次公募のスケジュール
現時点では、来年度のものづくり補助金で省力化(オーダーメイド)枠が実施されるかどうかは定かではありませんが、もしあるとすれば、今年度と同じ上記スケジュールで実施されるでしょう。
一方で、基金で運用される省力化投資補助金は年度をまたいでの実施が可能であり、現在実施されているスケジュールで随時申請受付、1~2か月で採択決定、補助事業実施期間が12か月だとすると、オーダーメイドでの省力化設備の導入では、省力化投資補助金(一般型)の方が、活用できる事業者の層も拡大すると思われます。
今回の中小企業庁の発表により、来年度の中小企業省力化投資補助事業は、大幅にリニューアルされて実施されることが分かりました。
特に、従業員が多く、設備投資金額が大きい事業者の方にとって、補助金額の大きな「一般型」は大きなチャンスになるでしょう。
また、カタログ形式の省力化投資支援の運用改善も実施されるとあります。現在、省力化投資補助金の製品カタログのカテゴリには、5軸制御マシニングセンタや複合加工機等も登録されており、今後製品登録が進めば、カタログ型の活用範囲も広がっていくと思われます。
申請方法や要件などの詳細は、続報を待つことになりますが、人手不足解消のための設備投資をご検討されている事業者の方は、ぜひ一度、認定支援機関までご相談ください。