省力化投資補助金でリースの活用が可能に

2024/12/20

はじめに

省力化投資補助金とは、人手不足解消に効果があるロボットやIoTなどの製品を導入するための経費を国が補助することにより、簡易で即効性がある中小企業の省力化投資を促進し、売上拡大や生産性向上を図るとともに、賃上げにつながることを目的とした補助金です。

<省力化投資補助金 カタログ注文型 概要>
※本事業におけるカタログとは、中小企業等が簡易・迅速に導入できる汎用製品であって、従前と同等またはそれ以上の付加価値を産出するために投入する労働量を減少させることで人手不足の解消の効果をもたらす製品を、あらかじめ補助の対象として登録された製品のリストを指します。
カタログ注文型で申請ができる製品カタログには、2024年12月12日現在、40カテゴリ、232製品が登録されています。
 製品カタログ:https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/product_catalog.pdf


カタログ型に加え、来年には以下のような新たな申請類型が創設されることが発表されました。

<省力化投資補助金 一般型 概要>
省力化投資補助金は、2024年6月25日に第1回公募がスタートした「新しい補助金」で、公募開始以降もさまざまな点が変更されています。2024年9月27日の公募要領の改訂では、以下の通り変更がありました。
<2024年9月公募要領改訂の大きな変更点>
・「リース」が補助対象経費に
・補助上限金額まで複数回の申請が可能に
・補助事業終了後の効果報告は5年間→3年間に
そして先日、2024年12月20日からファイナンス・リース取引の申請受付が可能になることが発表されました。

本記事では、改訂された公募要領において<大きな変更点>にもなった、省力化補助金における「リース」について解説していきます。

リースを活用するメリット                            

リースとは、機械設備等の必要な物品をユーザーが購入するのではなく、リース会社にリース料を支払って利用する契約形態のことを指します。
メリットとしては、以下の点が挙げられます。
・初期費用を大幅にカットできる
固定資産の購入に必要な費用や頭金が必要なく、毎月のリース料のみの支払いで設備や機器を導入することができるため、初期費用が安く済みます。また、余剰資金を運転資金や人的投資に活用することができます。

・資金調達力にも余裕が生まれる
金融機関などから借入することなく、設備や機器を導入することができます。そのため、金融機関の借入枠を温存でき、資金調達力に余裕が生まれます。

・毎月のリース料を経費として計上できる
毎月のリース料は経費として全額計上することができます。リース料は月々一定額であるため、毎月のコスト把握が容易になります。また、経費管理上も複雑な管理が不要です。

・金利変動リスクを回避できる
リース料は月々固定されているため、金利変動の影響を受けません。金利情勢に影響を受ける借入とは異なり、金利変動リスクを回避することができます。

・事務負担が軽減できる
設備や機器などの所有権はリース会社にあるため、固定資産税や償却資産税の申告・納付、損害保険手続きなどを行う必要がありません。そのため、煩雑な事務作業の手間をかけず、管理事務の合理化が図れます。

リースを活用するデメリット                           

多くのメリットがあるリースの活用ですが、デメリットとしては、以下の点が挙げられます。
・中途解約は違約金の支払義務が生じる
リース期間中に中途解約することはできません。解約する場合は、残リース料相当額の違約金の支払い義務が生じます。

・リース期間中の所有権はリース会社にある
リースは、ユーザーがリース会社から設備や機器などを借りる契約のため、対象物の所有権はリース会社にあります。そのため、ユーザー側の判断で設備や機器を売却したり、廃棄処分したりすることはできません。

・直接購入するよりも支払総額が割高になる
リース料には、リース会社に支払う手数料や支払利息が含まれています。そのため、トータルでの支払額は直接購入する場合と比べて割高になる傾向があります。

以上のことから、リースは初期費用を抑えられる点や事務負担が軽減できる点に大きなメリットがある反面、支払総額は購入するよりも割高になります。

新製品を試してから導入することが可能

省力化投資補助金では、これまで原則として製品の置き換えは補助対象外としておりましたが、今後は、特定の機能・性能を有している省力化製品については、置き換えであっても交付申請が可能となります。(交付申請の際には上記の機能・性能のうち1点以上を有する製品への置き換えのみが対象となります。)

省力化効果を検討するために交付申請前に一時的に借用した省力化製品を交付決定後も継続して使用する場合は、置き換えとはみなしません。(ただし、試用時点で既に所有権移転が行われている場合や、試用期間が6か月を超える場合は除く)

また、一時的な試用を行ったことのみを以て事前着手とはみなされないものの、補助対象となる賃貸借契約については交付決定後に行う必要があります。

「ファイナンス・リース」とは

9月の公募要領の改訂によって、設備をリースで導入した場合も対象となりました。これにより、リースのメリットである事務負担の軽減や、省力化効果の確認後の設備導入といった企業ニーズに応え、設備投資に踏み切れなかった中小企業の省力化を資金・リスク両面から後押しします。具体的には、資産の利用権を提供する「ファイナンス・リース」と、短期間の契約である「オペレーティングリース」が追加対象となりました。

※2024年12月27日追記
9月にリース導入の情報が出た際は、「ファイナンス・リース」と「オペレーティングリース」の両方が導入されるという情報がありましたが、2024年12月24日に更新された「よくあるご質問」によると、省力化投資補助金で活用できるのは「ファイナンス・リース」のみになるようです。

活用できるリースの種類は、2種類あり、12月20日から活用できるリースは、ファイナンス・リースです。
ファイナンス・リースとは……
中途解約はできないものの、リース会社が購入した機械設備などを契約上借りることができるため、実質的な購入に近い形で活用できます。補助金はリース会社に支払われ、中小企業等の補助対象事業者は、補助金額を減らしたリース料金で利用できます。
リースを活用する場合は、中小企業等の補助事業者と販売事業者及び対象リース会社が共同申請する形となります。

ファイナンス・リース取引を利用によって省力化製品を導入する場合は、対象リース会社が支払う(1)製品本体価格、(2)導入に要する費用(導入経費)の2つが補助対象経費となります。対象リース会社が中小企業等とリース契約を結ぶ際に発生する金利や保険料等、中小企業等が支払う費用については補助対象外となります。

「オペレーティングリース」とは

現在はまだ申請ができるようにはなっていませんが、オペレーティングリースについても、今後、活用できるようになるようです。
オペレーティングリースとは……
リース会社に所有権があり、企業はリース期間中のみ資産を利用することができる仕組みです。省力化投資補助金では、最大12ヶ月分の借料が補助対象となり、対象期間終了後、補助上限額のうち残った額の補助を受けて、設備を購入することもできます。
省力化投資補助金において、導入した省力化製品の賃貸借契約を1年未満で解約した場合、交付決定の取消となります。

また、賃借料を補助経費として省力化投資補助事業の交付が受けられるのは、1回のみです。一度、賃貸借料を補助対象として交付を受けたら、同じ製品を再度申請することはできないので、注意しましょう。

省力化投資補助金における補助事業期間

省力化投資補助金の事業計画の定義は、「交付決定日から実績報告を提出するまでの期間を指し、原則として交付決定通知書に記載された日から12か月以内」が一般的です。この期間内に補助事業の実施を完了し、実績報告を行うことで補助事業期間は終了します。

賃貸借契約で省力化製品の導入を行う場合は、交付決定通知書に記載された補助事業期間内に契約を締結し、12か月の利用を行った後、全期間の借料についての支払いを完了させた上で実績報告を行う必要があります。

実績報告の提出を忘れた場合、交付決定が取消される可能性があります。また、交付決定が取消された場合、補助金の返還を求められるころもあるため、必ず期限までに実績報告を行いましょう。

まとめ

省力化投資補助金は、9月の公募要領の改訂によってリースも対象となり、12月20日からファイナンス・リースが申請できるようになります。実際には、活用できる製品カタログに掲載されている製品がまだ少なく、カタログの拡充が待たれるところですが、リースが活用できるという選択肢があることは、覚えておいて損はないでしょう。

補助金を活用した設備導入を検討されている事業者の方は、設備の購入とリースの活用、メリット・デメリットを比較しながら、判断するといいでしょう。リースを活用した補助金の申請について不明点がございましたら、どうぞ認定支援機関までご相談ください。
筆者・監修

省力化補助金編集部

シェアビジョン株式会社

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