事業実施期間は交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)
汎用設備であっても、周辺機器や搭載する機能等の組み合わせにより、高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には対象となる
令和6年度補正予算案で、大幅リニューアルが発表されていた省力化投資補助金ですが、2025年1月30日、個別発注が可能な一般型の情報が公開されました。
この記事では、公募要領が出たばかりの中小企業省力化投資補助事業(一般型)について、解説します。まずは、気になるスケジュールから見ていきましょう。現在分かっている実施スケジュールは、以下の通りです。申請様式公開 | 2025年3月上旬 |
申請受付開始 | 2025年3月中旬 |
申請受付締切 | 2025年3月下旬 |
採択発表 | 未発表 |
事業実施期間 | 交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内) |
詳細については、今後、公式サイトで発表されるようですが、申請受付期間は約2週間と非常に短くなっています。
申請受付締切までも、公募発表から約2か月、申請様式公開から1か月以内と、非常にタイトなスケジュールになっています。少しでも早く準備に着手する必要がありますね。
なお、今回の発表は第一回公募となっており、今後も公募が続いていくことが予想されます。申請締め切りまでの期間が短い今回は、準備が間に合わずに申請を諦める企業もあることから、競合相手が少なく、採択可能性も高くなると予想できるでしょう。
もう一つの注目ポイントは、補助事業実施期間の長さです。カタログ注文型では12か月以内となっていた補助事業実施期間は、交付決定日から18か月(採択発表日から20か月以内)となっています。これは、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の他の補助金と比較しても、余裕のある期間が設定されています。
これまで設備の納期が間に合わずに、他の補助金はあきらめていたという事業者の方も、活用できるようになったと言えるでしょう。
省力化投資補助金の一般型は、生産・業務プロセスなどの効率化を目的として、オーダーメイド設備や個別の現場に応じて組み合わせた汎用設備、システム等を導入する事業計画を支援する補助金です。
補助金の目的としては、ものづくり補助金17・18次公募の省力化(オーダーメイド)枠の内容がスライドしたと考えて良いでしょう(要件や補助事業期間などは異なります)。
目的の違いは、以下の通りです。
省力化投資補助金(一般型) | 生産・業務プロセスなどの効率化 |
ものづくり補助金 (製品・サービス高付加価値化枠) | 革新的な新製品・サービスの開発 |
活用イメージとしては、以下の通りです。
活用イメージ① 通信販売事業でオンラインショッピングの顧客数及び購買量に対応するため、自動梱包機及び倉庫管理システムをオーダーメイドで開発・導入
活用イメージ② 自動車関連部品製造事業で検査が難しい微細な自動車関連部品の製造を効率的に行うため、最新のデジタルカメラやAI技術等を活用した自動外観検査装置を事業者の現場に合わせた形で導入
また、カタログ注文型では、カタログに掲載された汎用製品の購入のみしか活用できませんでしたが、それぞれの企業の必要に応じて、個別での発注が可能となりました。
補助対象は、「オーダーメイド設備や個別の現場に応じて組み合わせた汎用設備、システム」となっていますが、汎用設備であっても、事業者の導入環境及び投資内容に応じて、高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備とみなされ、対象となります。
基本要件は、以下の①~④を満たす3~5年の事業計画に取り組むことになります。労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加
1人あたり給与支給総額の年平均成長率が地域別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、又は給与支給総額の年平均成長率+2.0%以上増加
事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
(従業員21名以上の場合のみ)
最低賃金引上げ特例適用事業者の場合、 基本要件は①、②、④のみとなり、地域別最低賃金を上回っていれば、問題ありません。
最低賃金引上げ特例適用事業者出ない場合は、要件②③が未達の場合は、返還が求められます。
その他の要件としては、以下が記載されています。
補助事業者の業務領域・導入環境において、当該事業計画により業務量が削減される割合を示す省力化効果が見込まれる事業計画を策定すること。
事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出すること。
3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定すること。
人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画を策定すること。
④では、「オーダーメイド設備等」となっていますが、汎用設備であっても、周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することで、より高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備とみなされ、対象となります。一般型の補助金額等は以下の通りです。従業員数 | 補助上限額 | 補助率 |
---|
5人以下 | 750万円(1,000万円) | 中小企業1/2(2/3) 小規模・再生2/3
補助金額1,500万円を超える部分は1/3 |
6~20人 | 1,500万円(2,000万円) |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
補助事業期間内に①給与支給総額を年平均+6%以上増加 ②事業場内最低賃金を年額+50円以上増加させる事業計画を策定して申請する事業者は、()の値に補助上限額が引き上げられます。申請時に賃金引上げ計画を従業員に表明する必要があります。達成できない場合は、引き上げ前の金額に減額されます。
また、指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全業員数の30%以上いる中小企業は、最低賃金引上げ特例が適用され、補助率が1/2→2/3に引き上げられます。
省力化投資補助金(一般型)に申請できない事業者とは
本補助金は、これまでの制度と異なり、これまでものづくり補助金等の過去に別の補助金に応募して採択されている事業者の一部も補助対象外となるため、注意しましょう。ものづくり補助金または事業再構築補助金の交付決定を受け、補助事業が完了していない事業者
過去3年間に、2回以上ものづくり補助金または事業再構築補助金の交付決定を受けた事業者
など
昨年12月の令和6年度補正予算の発表で、新設が発表されていた、中小企業省力化投資補助事業の一般型の公募が、ついに発表されました。補助上限額が最大1億円と大型の補助金であるため、注目していた事業者の方も多いのではないでしょうか。
申請様式はまだ公開されていませんが、補助金額が高額であることからも、ものづくり補助金や事業再構築補助金と同等程度の事業計画書の策定が必要となるのではないかと予想できます。
補助金の採択には、事業の内容が目的に沿っていることや、審査項目を漏れなく記載すること、内容の算出根拠を明確に記載すること等が求められます。
今回の発表は第一回公募となっており、今後も公募が続いていくことが予想されます。
これまでの他の補助金でも、第一回公募は、採択率が高い傾向がありますが、今回は特に、申請締め切りまでの期間が短いため、準備が間に合わずに申請を諦める企業も多いでしょう。その結果、競合相手が少なくなり、採択可能性も高くなるとも予想できます。
省力化投資補助金(一般型)の活用をご検討中の事業者の方は、どうぞお早めにご相談ください。