省力化製品販売事業者登録要領が発表!

2024/05/16

この記事の最重要ポイント

省力化補助金は事務局に登録された販売する事業者が窓口となります。このことから、事業者の負担は一定減少し、ハードルは低くなるものの、要件は変わらないことから販売事業者に求められる管理能力は一定以上あります。

補助金は、国民が納める税金を原資としているため、交付にあたっては厳しい基準があり、また報告が義務付けられている等、さまざまなルールがあります。そのルールに則って事業を進めていかなければ、中小企業等のお客さまが補助金を受け取った後に、補助金の返還が求められることもあります。本補助金では、販売事業者が「補助事業者」と位置づけられ、それらのリスクまで管理しなければいけません。

補助金返還のリスクを避け、お客さまにスムーズに補助金を活用いただくための手段として、外部協力者の存在が挙げられます。補助金申請では、採択されるか否かばかりに目が行きがちですが、重要なことは、補助金返還等を受けることなく、お客さまにスムーズに補助金を活用いただくことかと思います。販売事業者登録をされる商社・販売店の方は、ぜひ支援実績が豊富なコンサルティング会社等と連携することをご検討ください。

はじめに

中小企業省力化投資補助金は、中小企業等が簡易・迅速に導入できる汎用製品を導入することで、人手不足を解消し、生産性向上や賃上げにつなげることを目的としています。そのため、中小企業等が活用しやすいよう、導入できる製品はカタログに掲載されたものから選ぶようになっており、省力化製品販売事業者は「補助事業者」として共同申請を行い、支援する形となっています。

本記事では、2024年4月25日に発表された「省力化製品販売事業者登録要領」について、解説します。補助金の活用を検討している中小企業等の事業者の方には、直接は関係のないトピックになるかもしれませんが、機械メーカーや販売商社の方は、どうぞ参考にしてください。

販売事業者に求められること

カタログ型の省力化投資補助金を活用して、省力化製品を販売するためには、販売事業者として事前に登録する必要があります。また、中小企業に対し、製品を販売するだけではなく、補助金の受給に向けた中小企業のサポートも行う必要があります。全体の流れは、以下の通りです。
参考:中小企業省力化投資補助金の申請フロー
(https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_flow.pdf)

上図の下半分が、販売事業者に求められる役割になります。

販売事業者の役割① 事前準備(事業計画の策定)

中小企業等は、カタログで製品を選定後、カタログに掲載されている販売事業者を選択します。事業者からの申請依頼に対して、販売事業者は省力化製品の説明・導入・運用方法の相談等のサポートをすることが求められています。販売事業者は、製品の内容やその省力化効果等について十分な説明や検討を行い、合理的に省力化効果が期待でき補助要件を満たす計画を策定するよう努めることが必要です。

販売事業者の役割② 共同での交付申請

共同申請に当たっては、中小企業等と販売事業者との間で、事務局の示す共同事業実施規約を締結します。
販売事業者は、中小企業等に対して、交付申請やその後の補助事業実施等に当たっての注意事項を十分に説明し、公募要領に規定する申請要件を満たすか等についても十分な確認を行う必要があります。その上で、中小企業等の申請手続きのサポートを最大限行った上で共同申請を行うことが求められています。

販売事業者の役割③ 補助事業実施(設備の納入等)

補助事業期間は、交付決定日から原則12か月以内となるため、この間に省力化製品の受注・納入、導入支援及び実績報告を行う必要があります。
製品を導入して、設置するだけでなく、精算・証憑の確認や導入製品の設置確認、導入効果の確認等、補助金の交付申請や実績報告等の各種手続きのサポート等も省力化製品販売事業者の役割となります。
また、補助事業に係る中小企業等からの問合せ・疑問等について対応を行い、円滑な補助事業推進のサポートを行い、また、適切な製品の導入支援・アフターサポート等を行うことが求められています。

販売事業者の役割⑤ 効果報告期間のサポート

補助金の交付を受けた中小企業等は、補助事業終了後5年間にわたり、毎年4月から6月までに効果報告を行う必要があります。その際、販売事業者に対しても補助事業者としての効果報告が課され、省力化製品の稼働やメンテナンスに関する情報の提出が必要となります。販売事業者は効果報告にかかる各種手続きに関しても、中小企業等からの問合せ・疑問等について対応を行い、円滑な効果報告のサポートを行うことが求められています。

実績報告だけでなく、効果報告の際も省力化の効果や賃上げの実績を報告する必要がありますが、効果報告時点での給与支給総額または事業場内最低賃金が実績報告時点の値を下回っていた場合、補助金の返還が求められる場合があります。また、本事業の成果により収益が得られたと認められる場合には、収益納付をしなければならないこともあります。このような中小企業等の事業者が達成しなければならない目標についても、補助金返還等にならないように管理することは、非常に大変です。

販売事業者の役割⑥ 財産管理期間についての説明

助事業により取得する資産については、その処分に制限が課されるため、補助事業の終了後及び効果報告期間の終了後であっても、法定耐用年数を経過するまでの間は省力化製品の適切な管理を行う必要があります。販売事業者は、財産管理期間にかかる必要な対応について、中小企業等に必要な説明を行うことが求められています。

このように、販売事業者には、導入計画の準備から申請、また交付決定後は導入から運用、確認まで「補助事業者」として伴走支援することが求められています。

販売事業者の主な要件

販売事業者の登録に当たっては、以下の要件が規定されており、それらを全て満たしている必要があります。
参考:省力化製品販売事業者登録要領
(https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/product_dealer_guidelines.pdf)

登録申請手続きについて

販売事業者となるには、事前に登録を済ませておく必要があります。
登録の際、取り扱う省力化製品の製造事業者から当該製品の販売店としての確認に加えて、中小企業等に対して省力化製品の説明や運用に至るまでの相談、補助金の各種申請サポートが十分に行えるという確認を受ける必要があります。確認を受けられた場合、事務局への登録手続きを行います。

販売事業者登録は、製品を販売・導入する販売商社だけでなく、省力化製品を製造する製造事業者も兼務する形で登録することができます。
販売事業者の登録申請は、事務局が開設する電子申請システムで行います。また、複数の省力化製品を取り扱う場合、販売事業者登録は各製品に対して別々に行う必要があります。

登録開始時期はまだ公表されていませんが、カタログに登録された省力化製品ごとに順次開始されます。現在、清掃ロボット、自動配膳ロボット、無人搬送車、スチームコンベクションオーブン、券売機のカテゴリで、製品カタログが公開されているので、これらの販売事業者から登録が始まると思われます。

登録に当たっては以下のものが必要となるため、準備しておくと登録申請がスムーズでしょう。

<提出書類>
・履歴事項全部証明書写し(発行から3か月以内のもの)
・直近 2 年間の貸借対照表及び損益計算書
・税務署の発行する法人税の直近の納税証明書(その 1 又はその 2)
※1期の決算を迎えた上で提出すること

<申請事項>
・販売事業者の基本情報(法人名、所在地など)
・取り扱う省力化製品
・製品本体の販売価格
・導入費
・省力化製品の販売実績
・販売体制及びサポート体制(サポートを提供する地域の範囲)

まとめ

今回の省力化製品販売事業者登録要領の発表で、販売事業者が補助事業者として、様々な角度から中小企業等のサポートを行うことが求められることが分かりました。

補助金は、国民が納める税金を原資としているため、交付にあたっては厳しい基準があり、また報告が義務付けられている等、さまざまなルールがあります。そのルールに則って事業を進めていかなければ、補助金返還が求められます。補助金返還のリスクを避けるためには、コンサルティング会社等、外部協力者との連携をお勧めいたします。

シェアビジョンでは、豊富な補助金支援実績を活かし、メーカー・商社・販売店と連携してサポートを行うことができます。中小企業省力化投資補助事業の活用をお考えの方は、どうぞ気軽にお問い合わせください。
筆者・監修

省力化補助金編集部

シェアビジョン株式会社

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