注目の新補助金! 省力化投資補助枠(カタログ型)について徹底解説!
省力化投資補助枠(カタログ型)についてはじめに
AIやロボット、IoTといったハイテク製品の購入に対して補助金を出すことで、企業がこれらの製品を積極導入しやすくします。そうすることで、人手不足の解消や生産性の向上、そして売上拡大を目指し、長期的な中小企業等の付加価値額の向上や従業員の賃上げにつなげます。
本記事ではハイテク製品導入の際に支援される「省力化投資補助枠(カタログ型)」について解説します。
省力化投資補助枠(カタログ型)第1回公募スケジュールについて(予測)
あくまで予測ですが、概ね2024年の1月から3月には製品のカタログ登録及び認定に関する公表が行われ、新年度の始まりとなる4月以降に公募の開始となる公算です。
省力化投資補助枠(カタログ型)について
省力化投資補助枠のカタログ型とは
省力化投資補助枠(カタログ型)のメリット
省力化投資補助枠(カタログ型)の実施期間
省力化投資補助枠(カタログ型)申請手続きの難易度
「省力化投資補助枠」は、上項目「省力化投資補助枠(カタログ型)についてはじめに」でも解説したとおり、人手不足や物価の高騰に苦慮する中小企業に対して行う補助金制度のことです。AIやロボット、IoTといったハイテク製品を自社に導入しやすくするための施策となります。
この施策に製品をまとめたカタログを導入したものが「省力化投資補助枠(カタログ型)」です。「省力化補助金」「カタログ型補助金」と呼ばれることもあるようです。事務局がハイテク製品の数々を予めピックアップしてカタログにまとめ、省力化投資補助枠(カタログ型)を受けようとする中小企業に対して提供します。
中小企業側は提供されたカタログの中から、自社に必要なハイテク製品を選定し購入します。このカタログの中から購入した製品の経費が、省力化投資補助枠(カタログ型)の補助対象となります。
下左図は、内閣府が発表している省力化投資で効果的であると考えられている設備例です。
省力化とは
省力化とは「人手作業の負担削減」のことを言います。例えば製造工程において、人手作業で一つひとつ行っていた作業をロボットアームに置き換えることで作業負担を削減します。
また紙媒体で行っていた事務処理を電子化してツールに行わせる、コールセンターにチャットボットを導入する、なども省力化となります。
昨今問題となっている少子高齢化に伴い労働人口も減少しています。こういったマクロ要因から、省力化は企業において喫緊の課題ともなっています。省力化を徐々に行っていくことで、人手不足を解消できる可能性が高まります。
IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」と訳されます。モノをインターネットでつなぐことにより、遠隔操作ができるようにすることを言います。
例えば部屋の中の防犯カメラ映像をインターネット経由で外出先からスマートフォンで見ることができたり、離れた場所から電化製品を操作したりできるのもIoTによるものです。
近年ではIoTを利用して、医者が離れた場所の患者を遠隔操作によってロボットアームで手術したり、患者の自宅に訪問することなく病院から患者を遠隔診療したりするなど、医療の分野でも活躍しています。
ロボットとは
ロボットは総務省によって明確な定義が発表されています。それが以下となります。
“センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム”
引用:総務省 第2部 ICTが拓く未来社会
このロボットは「無人システム」「産業用ロボット」「サービスロボット及びエンターティンメントロボット」に大別されています。そして以下のように、それぞれ役割が位置付けられています。
無人システム:危機環境下での作業代行
産業用ロボット:生産環境における作業代行
サービスロボット及びエンターティンメントロボット:日常生活での家事支援や介護支援
省力化投資補助枠(カタログ型)のメリット
顧客側におけるメリット
販売者側(メーカー側)におけるメリット
顧客側におけるメリットは以下となります。
カタログによる簡単選別ができる
粗悪品を購入するリスクが低い
高額になりがちなロボットやAIが補助対象
補助率は最大で2分の1
省力化投資補助枠(カタログ型)は、政府が予め用意したカタログの中からハイテク製品を選択して購入する形となります。つまりそれぞれの業界において、中小企業が運営していくために必要になると予測される製品が、予め政府によりピックアップされています。
中小企業側はそれらの製品群から自社にあったものを選べばよいだけです。リソースを割いてあれこれインターネットで検索し、情報収集する必要もなく非常に簡単で手間が省けます。こういった手軽さも省力化投資補助枠(カタログ型)のメリットと言えます。
粗悪品を購入するリスクが低い
省力化投資補助枠(カタログ型)のカタログに掲載される製品は、上述「カタログによる簡単選別ができる」でも解説した通り、政府によってピックアップされた製品群です。そのため審査等もしっかり行われます。
いわば粗悪品を掴まされるリスクが低く、どの製品を選択してもある程度の品質が保証されていると判断ができます。高額商品を購入する際は、こういった粗悪品を掴まされるリスクを極力排除することも重要です。
高額になりがちなロボットやAIが補助対象
省力化投資補助枠(カタログ型)の補助対象となるのはロボットやAIなど、得てして高額になりがちなハイテク製品です。
通常、手が出ないような高額製品が補助対象となり、資金力の弱い中小企業でも購入できる可能性があります。こういったタイミングをチャンスと捉えて設備投資に踏み切ることも経営判断としては重要です。
補助率は最大で2分の1
省力化投資補助枠(カタログ型)の補助金の上限額は以下のようになっています。
従業員数5名以下の企業:200万円(賃上げ要件達成で300万円)
従業員数6名~20名の企業:500万円(賃上げ要件達成で750万円)
従業員数21名以上の企業:1,000万円(賃上げ要件達成で1,500万円)
この補助金制度を利用すれば、高額でなかなか購入には踏み切れなかったハイテク製品がすべて半分の資金で導入できることになります。
設備投資には初期費用がかかりますが、人手を増やすよりも、こうした補助金制度を利用して機械化するべきところはした方が、中長期的にコスト削減につながる可能性が高まります。
販売者側(メーカー側)におけるメリット
販売者側(メーカー側)におけるメリットは以下が挙げられます。
受注機会の増大が見込める
競争優位に立てる
販売戦略の多様化が見込めるようになる
政府によって自社のハイテク製品が省力化投資補助枠(カタログ型)に選定されれば、受注機会の増大が見込めるようになります。政府のお墨付きで製品が提供されるため、顧客はすでに安心感があり、購入しやすいフェーズにいます。
またカタログという非常に導入を検討しやすい媒体により、すんなりと購入してくれる可能性も高まります。こういった、すでに購入されやすい状態が維持されることもメーカー側のメリットと言えます。
競争優位に立てる
省力化投資補助枠(カタログ型)の認識がまだ低いうちに、メーカー側が製品登録に向けて動き出せば、競合他社より競争上の優位性を確保できる可能性が高まります。
仮に、省力化投資補助枠(カタログ型)に自社製品が登録されれば、それだけで製品はもとより自社のブランディングにもなります。こういった補助金利用を営業戦略にうまく組み込むことで、競合他社に先駆けて市場をリードできる可能性が高まるのです。
販売戦略の多様化が見込めるようになる
自社製品が省力化投資補助枠(カタログ型)に登録されることで、市場における認知度が一気に高まります。本来、地域に根ざした販売経路を有していたメーカーも、カタログに掲載されればより幅広い業者の目に留まりやすくなります。するとより幅広い顧客層に自社製品が認知されることになります。顧客層の幅が広がれば、販売戦略を拡大し多様化させることもできます。
多様化の例として、高齢の方にはテレビや雑誌、新聞などのマス広告を利用した販売戦略を行い、若い世代にはインターネット広告やSNSを活用した宣伝方法を展開する、といった判断もできるようになります。こういった販売戦略の多様化が見込めるようになることも販売者側(メーカー側)におけるメリットと言えます。
省力化投資補助枠(カタログ型)の実施期間
省力化投資補助枠(カタログ型)の実施期間についてはまだ公表されておらず、詳細はわかりません。ですが概ね、現行のIT導入補助金に近い実施期間となることが予測されます。その場合は以下となります。
■2023年度 IT導入補助金の場合
IT導入支援事業者の登録申請:3月20日より受付開始~7月10日の17時まで
ITツールの登録申請:3月20日より受付開始~7月18日の17時まで
交付申請期間:3月28日より受付開始~7月31日の17時まで
通常枠及びセキュリティ対策推進枠の場合:
・1次締切分:4月25日17時まで
・2次締切分:6月2日17時まで
・3次締切分:7月10日17時まで
・4次締切分:7月31日17時まで
省力化投資補助枠(カタログ型)の申請手続きにおいても、上述「省力化投資補助枠(カタログ型)実施期間」同様、詳細はまだ公表されていません。ですが、こちらも現行のIT導入補助金の申請手続きに近いプロセスになると予測されます。したがって難易度もそれと同等と見込めます。
まずはカタログより汎用製品の選択等、事前準備を行い申請に備えます。申請を行い補助金の交付が決定されれば、補助事業を開始します。そして補助金額が確定されたのち、補助金の交付手続きを行うとともに、購入した汎用製品の運用も行っていきます。その後、事業実施の効果報告を行います。
省力化投資補助枠(カタログ型)申請に向けて今からできること
設備の検討
必要書類の準備
省力化投資補助枠(カタログ型)の利用を検討している企業は、申請に向けて今から設備の検討を行っておく必要があります。例えば製造業であれば、生産工程を見直しロボットを導入することで自動化できるプロセスを把握しておきます。
また飲食業や宿泊業であれば自動の配膳ロボットや清掃ロボットなどを導入することで人件費を抑えられます。このようにどのプロセスにおいて人手作業をハイテク製品に置き換えることができるのか、といった設備の検討を事前に行っておきます。
必要書類の準備
設備の検討を行うと同時に必要書類についても準備しておきます。例えばIT導入補助金を申請する場合は「履歴事項全部証明書」「法人税の納税証明書」などが必要になります。
その他にも「gBizIDプライム」アカウントの取得や「SECURITY ACTION」の宣言、「みらデジ」の経営チェックといったオンラインでの作業も必要になります。
また、申請代行業者に依頼する場合は、その費用や業者選びも行っておく必要があります。いざ申請するときになって慌てないように、必要書類についても事前準備を進めておきましょう。
まとめ
ハイテク製品を導入することで、さまざまな業界における人手不足を解消できる可能性が高まります。この機会に「省力化投資補助枠(カタログ型)」を活用し自社の生産性向上、そして売上拡大を目指していきましょう。
省力化補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。
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