令和5年度補正予算で注目の新補助金!カタログ型の省力化投資補助事業とは?
はじめに
今回の参院本会議で創設された補助金事業には、持続的な賃上げを目的とした中小企業省力化投資補助事業があります。本記事では、令和5年度の補正予算で注目されるカタログ型の省力化投資補助事業について解説します。
令和5年度補正予算のポイント
デフレからの完全脱却に向けた総合経済対策 | 補正予算(経済産業省) | 補正予算の概要 |
①物価高対策 | 1.2兆円(GX2,800億円を含む) | ・燃料油、電気、ガス価格激変緩和処置 |
②持続的賃上げ・所得向上と地方の成長 | 6,000億円 | ・中堅・中小企業支援 |
③国内投資の促進 | 2.7兆円(GX5,800億円含む) | ・半導体、AI(人工知能)、量子などの技術開発・整備 |
④人口減少を乗り越える社会変革の起動・推進 | 160億円 | デジタルライフライン整備など |
⑤国民の安全・安心の確保 | 730億円 | ・福島復興(廃炉、ALPS、処理水風評対策) |
持続的賃上げや所得向上、地方の成長などは、新しい資本主義を推進するテーマとして政府が重視しています。物価高への対策では、持続的な賃上げを企業に求めなければなりません。持続的な賃上げには、職場の省力化で生産性を向上させる狙いが考えられます。
省力化は、人が担当する作業を産業ロボットやIoT(モノのインターネット)の導入で自動化する取り組みです。政府は、省力化に向けた設備投資の補助金事業を通して、これらの機器の導入を後押ししようというわけです。
省力化投資補助金導入の背景と目的
1990年以降、日本は経費削減を最優先とする経済でした。経費削減の対象は、次のとおりです。
人への投資
設備投資
研究開発投資
ところが、2023年の日本経済は経費を削減する経済からの変革期とも言われています。内閣府の広報・報道では、新しい日本経済の追い風として3つの要因を掲げています。
春闘の賃上げ率3.58%(3%台は30年ぶりの高水準)
名目で100兆円の設備投資計画(過去最高の規模)
50兆円のデフレギャップ解消の実現(需要不足状態の解消)
中小企業が直面する課題は、物価高騰による収益減少ではないでしょうか。中小企業庁の見解では、感染拡大以降、物価は急激に上昇しているものの、円安為替によって輸入物価が減少している状況から、今後は企業間で売買されるモノの値上がりを示す「企業物価」や消費者が購入するモノやサービスの物価の指数を示す「消費者物価」も減少することが予測されています。輸入物価の減少は、石炭や石油などの鉱物性燃料の価格下落や、為替の変動による判断です。
しかしながら、上昇分の価格転嫁が行えている事業者は多くはなく、物価高による中小企業の収益減少は課題となっています。このような課題に対して中小企業は、物価高騰を受けた値上げだけではなく、経費削減と業務効率化に着手している状況です。
既存製品やサービスの値上げ:23.8%
人件費以外の経費削減:22.3%
業務効率改善による収益力向上:20.8%

さらに現状では、2024年4月から改正される時間外労働の上限規制適用で、物流業(自動車運転業務)や建設業、医師などの働き方に規制が掛かります。人手不足と労働時間の規制への対応が急がれる状況です。
また、中小企業の競争環境にも変化があらわれています。人手不足への対応では、省力化投資で生産性向上に取り組む企業も存在します。中小企業白書では、人手不足への対応として省力化に取り組む企業の割合が示されていました。
正社員の採用:83.8%
パートタイマーなど有期雇用社員の採用:48.1%
業務プロセスの見直しによる業務効率化:38.7%
社員の能力開発による生産性向上:32.4%
IT化などの設備投資による生産性向上:29.8%
労働力の効率化と省力化は、企業にとって重要な取り組みです。その理由は、省力化の先にある売上拡大や生産性向上という成果があるからです。
補足予算のテーマとなる新しい総合経済対策では、「持続的な賃上げと活発な投資がけん引する成長型経済」への変革が掲げられています。この経済変革では、物価高を乗り切るための賃上げが優先課題です。
省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業への省力化投資を支援する目的で創設されました。省力化投資補助金の導入で目指す成果は、次のとおりです。
中小企業の付加価値額の増加
従業員1人当たりの付加価値額の増加
企業にとっての省力化は、売上拡大や生産性の向上です。それにより収益を増加できれば、賃上げが実現できます。労働力を効率化することの重要性が見直される機会とも考えられます。
省力化投資補助事業の特徴
国から独立行政法人中小企業基盤整備機構へ基金が交付される
独立行政法人中小企業基盤整備機構から中小企業などに投資資金の2分の1が支給される
中小企業は支給された補助金を投資費用に割り当てられる
省力化投資補助事業の予算規模は、令和5年度の補正予算額のうち1,000億円が割り当てられました。中小企業等事業再構築基金の活用なども含めて合算すれば、総額5,000億円規模の予算枠です。
省力化投資補助金は、企業規模によって補助上限額が異なります。
従業員数による企業規模 | 補助上限額 | 賃上げ要件を達成した企業 |
---|---|---|
従業員5名以下 | 200万円 | 300万円 |
従業員6~20名 | 500万円 | 750万円 |
従業員21名以上 | 1,000万円 | 1,500万円 |
省力化投資補助事業は、公募開始されていないため、補助対象となる投資項目が予測の範囲内です。ここでは、各業種の省力化に役立つ投資項目を紹介します。あくまでも投資対象候補の予測と判断してください。
省力化の導入先業種 | 主な導入用途 | 導入機械・システムなど |
製造業 | 生産ラインの業務効率化 | ・IPカメラの設置(生産ラインの可視化) |
飲食・宿泊・介護サービス | 定型業務のIT化 | ・セルフオーダーシステム |
物流業 | 倉庫内作業の自動化 | ・自動ピッキング・搬送ロボット |
建設業 | 建設現場の業務効率化 | ・ウエアラブルカメラによる遠隔管理 |
農業 | 水田や畑などの現場作業を自動化 | ・農薬散布ドローン |
医療 | 診察業務の効率化 | ・遠隔画像診察 |
省力化投資補助金は、2024年度から始まると想定される補助金支援事業です。申請者は、事前登録のうえで共有するカタログから、投資対象の製品やサービスを選択します。カタログ型の仕組みは、申請者だけではなくカタログに掲載される製品やサービスの販売元にも大きなビジネス機会となるでしょう。
また、全て電子申請となりますので、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
準備期間
省力化投資補助金の申請は、2024年4月以降になると見込まれています。公募要領の発表から申請締切りまでの期間が短いことも想定されるため、今のうちに、自社の経営課題や課題解決につながるデジタル技術の知識を深めて、準備しておきましょう。
従来の事業再構築補助金について
従来の事業再構築補助金は、次の対象者向けに変更となります。
経済構造の転換に挑戦する事業者
コロナ債務を抱える事業者
新分野への展開
事業転換
業種転換
業態転換
事業再編
まとめ
省力化投資補助金の特徴は、カタログ型という点です。自社の経営課題の解決になる製品をカタログの投資項目から選択するシンプルな申請プロセスです。利用する企業の人手不足解消に役立てば、カタログ型の申請方法が定着するかもしれません。省力化投資補助金は、今後の動向が注目されるでしょう。
省力化補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。
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