飲食業にオススメ! 省力化投資補助金で導入できる設備は!?

2024/11/18

はじめに

中小企業省力化投資補助事業(省力化投資補助金)は、今年6月から新たにスタートした新しい補助金制度です。中小企業等の人手不足解消を目的としており、IoTやロボット等のはん用製品が補助対象となっています。

省力化投資補助金の補助上限額は、従業員数によって異なります。補助率、補助上限額は以下の通りです。
※補助上限額を( )の金額に引き上げる場合は、補助事業期間終了時に以下の賃上げ要件(a)(b)を両方達成する必要があります。
 (a)事業場内最低賃金45円以上増加させること
 (b)給与支給総額6%以上増加させること
この補助金で導入できる機器は、公式サイトに掲載されている「製品カタログ」に登録されている製品のみになります。登録製品は製品カテゴリごとに登録されており、業種によって製品カテゴリが限定されています。

この記事では、飲食店経営、飲食サービス業を営む事業者の方が活用する際の注意点や、導入できる製品カテゴリについて解説します。

飲食店が省力化投資補助金を活用する場合の注意点

注意点① 保守・サポート費用は補助対象外
省力化投資補助金で補助対象となるのは、①製品本体価格と②導入に要する費用の2つです。導入に要する費用の中には、運搬や設定、テスト稼働等の内容が製品によって個別に記載されています。これらの補助対象経費となる項目とは別に、メーカーが想定している保守・サポート費用が設定されている場合があります。これは、製造事業者によって一式、月額、年額など様々です。保守・サポート費用は、補助対象外となっており、事業者が全額負担するものになります。
製品ページに記載されている製品本体価格、導入・設定費用、保守・サポート費用、ランニングコスト等の費用は、製造事業者(メーカー)の想定金額になります。実際の金額は、販売事業者からの見積りで確認しましょう。
製品カタログには、製品ごとに販売事業者一覧が掲載されていますが、価格や費用が「非掲載」となっている場合も多くあります。見積りを取得する際には、補助対象外となる保守・サポート費用についても、確認しましょう。
注意点② 保険料は補助対象外
取得する省力化製品に対する補助額(導入経費を含む)が500万円以上となる場合、火災等による取得財産の損失や、それによって補助事業が実施できないことで補助金が交付されない場合に備えて、保険金額が補助額以上である保険又は共済への加入が必須となっています。実績報告提出時に、保険・共済への加入を示す書類の提出が必須となっており、加入していないと補助金を受け取ることができません。この保険料についても、補助対象外となるため、トータルでかかる費用として見込んでおきましょう。
注意点③ 複数店舗はOK! 新規店舗はNG
省力化投資補助金で購入した製品は、自社が展開する複数の店舗へ導入することができますが、新たにオープンする新規店舗に導入することはできません。というのも、この補助金の目的が「既存事業の省力化」だからです。新規店舗での導入は、導入前と導入後の効果を比較することができないため、対象外となります。
注意点④ 置き換えがOKになるケースも
公募開始当初は対象外とされていた既に所有する製品の置き換えですが、新たな機能を有する製品と置き換えることで省力化効果が得られる場合は、補助対象となる製品がでてきました。現在、対象となる製品があるのは、スチームコンベクションオーブンと券売機だけですが、今後、追加される予定となっています。置き換えが可能となる機能・性能については、カタログに記載されており、記載がない製品については置き換えが認められないため、注意しましょう。
置き換えについての詳細は以下記事を参考にしてください。

飲食店が省力化投資補助金で導入できる製品カテゴリ

現在、飲食サービス業の事業者が申請できる製品カテゴリは、以下の5つになります。
※登録製品は省力化投資補助金HPのこちらで検索できます
https://shoryokuka.smrj.go.jp/product_catalog/
製品カテゴリ① 清掃ロボット
人が作業していた清掃業務を自動で動く清掃ロボットが担います。人や障害物を避けながら、廊下やロビーなどの床面を清掃できます。掃除機のようにごみやホコリを吸うものや水拭きを行うもの、またそのどちらも行える製品があります。掃除機での清掃と比べて、大幅にコスト削減効果を得られた事例もあるようです。

<価格と導入費用>
現在、登録されている対象製品は製造事業者(メーカー)がアイリスオーヤマ㈱やCYBERDYNE㈱、アイグッズ㈱、アマノ㈱、パナソニック㈱の6件あります。
本体価格は55万~390万円、導入費用も0~14万円と製品によって幅があります。また、月々や年間の保守・サポート費用(補助対象外)も製品によって大きく異なるので、性能や費用を比較しながら、自社の事業規模を鑑みて検討しましょう。
清掃ロボットの製品一覧はこちら
製品カテゴリ② 配膳ロボット
各種センサにより人や障害物を回避しながら自律走行により料理や飲み物等を人に代わって配膳するロボットです。例えば、飲食店ではテーブルの片づけが終わらずに客が入れない場合がありますが、配膳ロボットを導入することで従業員がテーブルの片づけ作業に注力できるケースもありそうです。

<価格と導入費用>
現在、登録されている対象製品は、製造事業者がSOCIAL ROBOTICS㈱と㈱Preferred Roboticsの2件あります。製造事業者が想定する本体価格は280万円と68万円、導入・設定費用はそれぞれ20万円、15万円となっています。補助対象となっている製品本体価格と導入経費のほか、保守・サポート費用や走行できる幅にも違いがあります。販売事業者一覧を見ると、価格はいずれも非掲載となっているので、個別に見積りを取って確認しましょう。
配膳ロボット製品一覧はこちら
製品カテゴリ③ スチームコンベクションオーブン
プログラム機能を持ち、料理、食材ごとの加熱時間、温度等を登録でき、使用する人間を問わず調理を任せられる製品です。熱風、水蒸気、熱風+水蒸気を利用することにより、焼く、蒸す、煮る、炊く、炒めるなど多様な加熱調理を1台で担うことができます。
置き換えが可能となる機能・性能としては、①自動洗浄機能、②ファン調整機能、③複数調理機能の3つが対象となっています。現在保有している設備にこれらの機能が付いていない場合は、該当する製品を選択すれば、置き換えであっても補助対象となります。

<価格と導入費用>
現在、製品カタログの中では最も多い、製造事業者はタニコー㈱、北沢産業㈱、㈱コメットカトウ、㈱フジマックの5社、76件の製品が登録されています。サイズも機能も豊富な選択肢があり、製品本体価格も約50万~550万円と大きな幅があります。大型の設備は、導入経費も高額になる傾向がありますので、トータルの価格で事業計画を立てましょう。
スチームコンベクション製品一覧はこちら
製品カテゴリ④ 券売機
注文受付、券類の発行、支払・決済業務を自動で行う製品です。飲食店で、従業員が事前オーダー方式でお客様の注文を受け付けていたところ、券売機を設置することで省力化ができます。キャッシュカウント機能が搭載されている製品であれば、売上計上作業や売上金と釣銭準備金を分けるなどの経理業務も不要になります。現金の取り出しが困難になることでセキュリティが強化され、現金不正の可能性を減らすことで従業員が疑われるような機会を減らせるため、職場環境の改善にもつながります。外国語対応の製品であれば旅行客への対応の負担も減少します。
置き換え可能となる機能・性能としては、①多言語対応機能、②キャッシュレス決済機能、③厨房との連携機能があります。

<価格と導入費用>
現在、製造事業者8社、32件の製品が登録されています。製造事業者の8社の内訳は、グローリー㈱、芝浦自販機㈱、マミヤ・オーピー㈱、㈱Fujitaka、㈱BOSTEC、㈱スペース、㈱アルファクス・フード・システム、㈱NECマグナスコミュニケーションズです。
卓上型や据え置き型、現金のみやキャッシュレス決済機能搭載等、幅広い選択肢があります。製品本体価格は約30万~150万円、導入・設定費用は約5~25万円となっています。
券売機の製品一覧はこちら
製品カテゴリ⑤ 自動精算機
サービス提供時における支払・精算対応又はつり銭等現金の受け渡しを自動で行う製品です。手動による現金の取り扱いが減るため、ヒューマンエラーによる過不足金の計算がなくなります。また、入出金のデータの蓄積により、準備金の圧縮が可能になります。居酒屋や焼き肉屋等の追加オーダーが多く発生するような店舗業態での活用に向いています。

<価格と導入費用>
現在登録されている製品は製造事業者がマミヤ・オーピー㈱、シチズン・システムズ㈱の2件で、製造事業者が想定している本体製品と導入経費を合わせた金額は、約65万円と約140万円とあります。サイズも大きく異なるので、想定される設置場所と事業規模に合わせて検討しましょう。
自動精算機の製品一覧はこちら

まとめ

省力化投資補助金は、工業会や事務局での審査を経て、登録された製品カタログから導入設備を選んで申請を行うカタログ型の補助金です。現在、飲食サービス業、飲食店が活用できる対象製品カテゴリは5件ですが、登録製品は、他の業種で活用できるカテゴリの中でも最も多い製品が登録されています。
以上、注意点を踏まえて、自社でどのように活用できるか検討してみましょう。

11月に入り、事務局では、製品カタログの拡充に向けて、工業会や製造業者向けのサポートを強化しています。今後、さらに登録製品数が増えたり、調理や盛付けに活用できるロボットが登録されたりする可能性もありますが、申請は補助上限額まで複数回応募できるようになると発表されています。現時点で、活用できる製品が登録されている場合は、一度申請してみるのも手かもしれません。

不明点がある場合は、ぜひ一度、補助金制度に精通した認定支援機関までご相談ください。
筆者・監修

省力化補助金編集部

シェアビジョン株式会社

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