はじめに
そのため、省力化投資補助金の補助対象は、「製品カタログ」に登録された省力化製品のみとなっており、このカタログから自社の課題・業種・業務プロセスにあった製品を選び、販売事業者と共同で申請します。
製品カタログ:https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/product_catalog.pdf
(令和6年11月18日現在)
今年6月の公募開始当初は、令和6年度9月末まで公募回数は15回程度(公募頻度は2ヶ月に1回)継続して実施されることが発表されていました。
しかし、中小企業庁より、8月9日(金)から受付を開始するとともに、当面の間は公募期間及び締切等を設けず、随時受付を行い、採択・交付決定も随時行われることが発表されました。
省力化投資補助金のスケジュール
受付開始日 | 2024年6月25日(火)~随時受付中 |
採択・交付決定日 | 申請から概ね1~2ヶ月程度を予定 |
この記事では、省力化投資補助金における採択率、また採択率を上げるポイントについて解説していきます。
省力化投資補助金 第1回公募の採択率
省力化投資補助金の採択結果について事務局に問い合わせたところ、審査完了後に申請者には個別で採択結果を通知しており、今後、採択結果を公表するかどうかは現時点では未定との回答でした。
省力化投資補助金は、企業及び労働者が支払う国税や地方税などが原資ですから、使途として採択結果は公表してほしいところです。
ちなみに、中小企業の事業者で活用が多い別の補助金の直近での採択率は、第18次ものづくり補助金は35.8%、第12回事業再構築補助金は26.5%と、非常に厳しくなっています。
省力化投資補助金の採択率は現時点では不明ですが、以下の点から省力化投資補助金の採択率は高くなることが予想されます。
① 採択予定件数は計120,000件程度(予定件数は増減する場合あり)
省力化投資補助金には、既存基金の活用を含め総額5,000億円規模の予算が組まれており、補助予定件数は約120,000件と非常に多くなっています。
省力化投資補助事業が広範囲にわたって人手不足の状態にある中小企業等を支援することを目的としていることから、多数の事業者が比較的活用できる設計になっていることが予想されます。
また、省力化投資補助金における補助率及び補助上限額は以下の表のとおりです。
補助対象 | 補助上限額 | 補助率 | |
補助対象として | 従業員数5名以下 | 200万円(300万円) | 1/2以下 |
従業員数6~20名 | 500万円(750万円) | 1/2以下 | |
従業員数21名以上 | 1,000万円(1,500万円) | 1/2以下 |
②申請要件が簡便
省力化投資補助金の要件は以下のとおりです。
1.労働生産性の向上目標
申請の際に、補助事業終了後3年間で毎年、申請時と比較して労働生産性を年平均成長率(CAGR)3.0%以上向上させる事業計画を策定する必要があります。
<CAGRの確認方法(計算式)>
(付加価値額)=(営業利益)+(人件費)+(減価償却費)
(労働生産性)=(付加価値額)÷(従業員数)
(労働生産性の年平均成長率)=
[{(効果報告時の労働生産性)÷(交付申請時の労働生産性)}^(効果報告回数※)-1 -1]×100%
※当該報告を含める。つまり、過去に効果報告を行った回数に1を加えた値となる。
人手不足に悩む中小企業等を支援する補助金ですので、どう人手不足に悩んでいるのかを申告する必要があります。
基本的には以下のいずれかから当てはまるものを一つ選択し、省力化を進める必要があることを示します。
限られた人手で業務を遂行するため、直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている。
整理解雇に依らない離職・退職によって従業員が前年度比で5%以上減少している。 ※ただし、「常時使用する従業員」ではない者が主体の事業者については従業員数を総労働時間で代替することも認める。(直近1年間のうち、月の総労働時間が前年同月比で5%以上減少していること。)
採用活動を行い求人を掲載したものの、充足には至らなかった。
その他、省力化を推し進める必要に迫られている。
ただし、①~③に当てはまらない場合は、人手不足である状況を合理的に説明する必要があります。④を選択している場合は例外的な扱いとなり、省力化投資の必要性をより厳格(場合によっては追加書類の提示を求める等)に審査するために採択結果の通知が大幅に遅れる可能性があります。
3.賃上げの目標(賃上げによって補助上限を引き上げる場合)
申請時と比較して、
(a)事業場内最低賃金を45円以上増加させること
(b)給与支給総額を6%以上増加させること
ただし、賃上げによって補助上限を引き上げる場合は、申請時に賃金引き上げ計画を従業員に表明していることが必要です。また、自己の責によらない正当な理由なく、賃上げの目標を達成できなかったときは、補助額の減額が行われます。
省力化投資補助金の場合、カタログ登録されている省力化製品は、業務プロセスの改善方法、省力化効果、価格妥当性などがすでに登録時の審査で検証されています。
そのため、想定されている業種で想定されている使い方をすれば、投資効果に見合う省力化が実現できると認められているわけです。
このように省力化効果が検証済みなので、要件や申請に必要な書類も簡便となっており、人手不足に悩んでいる中小企業や小規模事業者でも申請しやすい設計となっています。
一般的に、要件等が簡易な補助金ほど採択率が高い傾向にあるため、省力化投資補助金の採択率も高くなるといえるでしょう。
③申請する企業数が現時点では少ない見込み
省力化補助金は、あらかじめカタログに登録された製品を導入する形式であり、2024年11月18日時点においては、16の製品カテゴリ、201の製品が登録されています。カテゴリ登録は32件が登録済みとなっており、今後そのカテゴリでの製品登録が進んでいきます。また、カテゴリも追加されていく予定ですが、現段階では、多くの事業者が自社のニーズと合致せず、導入に至らないといったケースが大いに考えられます。
採択数が多く見込まれる一方で申請する事業者は少ないと予想できるため、採択される確率は高くなると言えそうです。
省力化投資補助金の採択率を上げるポイント
一般的に、補助金の予算が豊富な初期段階での申請は、採択されやすい傾向にあります。
初期段階で申請することによって後期に比べて予算枯渇のリスクが低く、審査工程での競争も相対的に緩和されるため、申請者にとって有利になります。
このことから、事業者は申請準備を早めに始めることで、採択される可能性を高めることができます。
省力化投資補助金は、これまで一度採択・交付決定を受けた後は再度の応募・交付申請ができませんでしたが、今後、各申請における補助額の合計が補助上限額に達するまでは、複数回の応募・交付申請が可能となる予定であると発表されました。したがって、価格の低い製品の導入で一度申請した後に、価格の高い活用したい製品が追加されても応募できずに補助金がフルで有効活用できないといった事態には陥らずに済みそうです。現時点で導入したい製品が登録されている場合は、採択されやすい初期段階を狙って、まず申請してみるというのも一つの手でしょう。
②審査の着眼点を十分に理解する
省力化投資補助金の申請において、申請要件を満たしていることに加え、審査の着眼点として以下の点が挙げられています。
事業計画に記載の省力化の効果が合理的に説明されており、省力化への投資により高い労働生産性の向上が期待できるかどうか。 また、既存業務の省力化により新しい取組を行う・高付加価値業務へのシフトを行うなど、単なる工数削減以上の付加価値の増加が期待できるか。
大幅な賃上げによる補助上限額引き上げの適用を含め、賃上げに積極的に取り組んでいる、あるいは取り組む予定であるかどうか。
まとめ
採択結果の公表は現時点では未定
採択率は高いと予想
初期段階は採択されやすい
補助金の目的に沿った事業計画の策定が重要
とはいえ、申請すれば誰でも受給できる給付金ではないので、補助金の目的に合わせた事業計画の策定は不可欠です。人手不足によって申請を検討している事業者の方は、認定支援機関の活用をご検討ください。
省力化補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。
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