はじめに
「導入したいはん用製品がなかなか製品カタログに登録されず、活用できない!」という事業者の声を受けてか、2024年11月1日には、カテゴリ登録に関する制度の見直しが行われ、また製品カテゴリ登録・製品登録のサポート体制を強化することが発表されました。
最近では、省力化投資補助金の「製品カタログ」「製品カテゴリ」の更新頻度が徐々に上がってきています。申請サポートの強化で、製品カタログの拡充に弾みがつくことを期待したいですね。
製品カテゴリに自動車向け溶接機が追加
現在、登録されている対象となる業種は以下の14業種となっています。
飲食サービス業、卸売業、小売業、その他の事業サービス業、倉庫業、宿泊業、製造業、印刷・同関連業、建設業、専門・技術サービス業、廃棄物処理業、娯楽業、サービス業(他に分類されないもの)、自動車整備業
省力化投資補助金は、以下のような流れで製品登録が行われます。
工業会等がカテゴリの登録申請を行い、有識者委員会にて意見招聘を行った上で中小企業庁がカテゴリの承認を行う
製造事業者は工業会を通じて省力化製品及び製造事業者の登録申請を行う
有識者委員会の意見招聘を経て中小企業庁が省力化製品及び製造事業者の承認を行う
③を経て登録された製品について製造事業者がカタログ申請を行い製品カタログに掲載
事業者が実際に申請可能となるのは、製品登録と販売事業者登録が完了した後になります(この補助金は、販売事業者との共同申請となるため、製品に紐づいた販売事業者を選択する必要があります)。
カテゴリに登録されたからといって、すぐに設備導入に向けた申請ができるわけではありませんが、今後、これらの製品で補助金が使える見通しが立ったことは、該当する事業者の方には良いニュースですね。
● 自動車向け溶接機(スポット溶接機)の省力化効果と価格の目安
自動車向けの溶接機は、自動車の鈑金修理に特化して溶接を行える設備で、自動車に穴が空いたり、傷ができたりした際の修理に活用することができます。
自動車の鉄板が重なっている箇所を溶接する際、プラグ溶接からスポット溶接へ変更することで、品質向上や工程の短縮、作業ミスの削減といった大幅な省力化が見込めます。
自動車用のスポット溶接機は溶接パラメータを自動的に設定するため、溶接条件の設定ミスがなく、ヒューマンエラーを大幅に減らすことができます。これにより、溶接不良や手直しの頻度が下がり、生産性の向上が見込めます。
価格の目安は300万円からとなっています。
● 自動車向け溶接機(パルス制御溶接機)の省力化効果と価格の目安
パルス制御溶接機は物理的に鉄板が挟めない箇所の溶接を行う設備です。自動車のボディ構造やフレーム部分など、非常に高い精度で溶接を行う必要がある部位の修理で使われます。
パルス制御は、溶接電流を細かくコントロールできるため、均一で安定した溶接品質が実現できます。パルス制御で温度を最適(高温や低温)に調整しながら溶接することで、品質不良による手直しが減少し、生産性の向上および省力化が可能となります。自動で設定される溶接条件により、溶接設定のミスが減少し、作業者によるヒューマンエラーのリスクが低減され、生産性向上します。
価格の目安は200万円からとなっています。
溶接機が導入したくても活用できない事業者もある!?
例えば、「清掃ロボット」であれば、対象業種に「飲食サービス業」「製造業」「小売業」等さまざまな業種が登録されているので、どの業種であっても清掃業務のために活用することができます。
ところが、今回登録された「自動車向け溶接機(スポット溶接機)」「自動車向け溶接機(パルス制御溶接機)」は、対象業種が「自動車整備業」のみであり、対象業務プロセスも「整備・修理」のみとなっています。
以下、改めて省力化投資補助金の概要を記載します。
省力化投資補助金の概要まとめ
応募・交付申請 | 随時 |
採択・交付決定 | 1~2か月程度 |
補助事業実施期間 | 原則、交付決定日から12か月以内 |
応募受付期間 | 令和8年9月末まで(予定) |
IoT、ロボット等の人手不足解消に簡易で即効的な効果がある汎用製品で、国の提示する「カタログ」に掲載されている製品の①製品本体価格と②導入に要する費用(導入経費)が補助対象経費となります。省力化が目的の補助金のため、新規事業で活用する設備は対象になりません。
製品カテゴリや登録製品は随時更新されており、現在32カテゴリ、201製品が登録されています。今後もカテゴリ及び登録製品は拡充されていく見込みです。
※登録製品はこちらから検索できます。
製品カタログ⇒https://shoryokuka.smrj.go.jp/product_catalog/
● 補助対象事業者
人手不足の状況にある日本国内の中小企業・小規模事業者で、すべての従業員の賃金が最低賃金を超えている企業が対象です。個人事業主も申請可能です。
● 補助事業の要件
補助事業終了後3年間で毎年、労働生産性を年平均成長率3%以上向上させる事業計画を策定することが必要です。
● 補助上限額と補助率
省力化投資補助金の補助上限額は、従業員数によって異なります。
従業員数 | 補助率 | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
5人以下 | 1/2以下 | 200万円(300万円) |
6~20人以下 | 1/2以下 | 500万円(750万円) |
21人以上 | 1/2以下 | 1,000万円(1,500万円) |
(a)事業場内最低賃金45円以上増加させること
(b)給与支給総額6%以上増加させること
賃上げの目標が達成できなかった場合には、補助上限額の引き上げを行わなかった場合の補助上限額まで減額されます。
まとめ
製品カテゴリに自動車向け溶接機が追加
このカテゴリ製品を活用できるのは「自動車整備業」の「整備・修理」のみ
省力化補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。
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