注目の新補助金!中小企業省力化投資補助事業 ものづくり補助金とはどこが違う!?

2024/01/10

省力化補助金はじめに

令和5年度補正予算において、中小企業のIT化・デジタル化を推進するため、新たな中小企業省力化投資補助事業が創設されました。

これは、従来のものづくり補助金とは異なり、中小企業の業務プロセスの省力化や生産性向上を主な目的とした補助事業です。

今回は、現時点でわかっている中小企業省力化投資補助事業の概要とものづくり補助金との違いを解説します。

これまでのものづくり補助金

ものづくり補助金とは、企業が新しい製品や技術を開発し、製造するために政府や地方自治体から支援を受けるための補助金制度の一つです。2013年に「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」という名前で始まり、以降名前を変えながら、毎年継続して実施されています。現在は令和元年度補正・令和三年度補正「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」として、16次公募までの申請が締め切られています。

ものづくり補助金は、これまでも公募回によって要件や申請枠が変更されてきました。次回公募以降の令和5年度補正予算では、補助上限額の大幅な引き上げによって、省力化投資を重点支援することが発表されています

次回公募以降のものづくり補助金について

ものづくり補助金は来年度から制度の変更が発表がされました。

主な変更点は、「申請枠」と「類型」の変更です。具体的には以下の変更点や傾向があります。
従来の補助金制度では支援しきれなかったニーズに応えるべく、創設された新たな申請枠です。人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等が対象となります。デジタル技術とは、ICTやIoT、AI,ロボットやセンサー等が該当します。ロボット単体の導入ではなく、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などによりロボットシステム等を構築する必要があります。
補助上限金額が最大8,000万円(大幅賃上げ特例を使用しない場合)と大幅に引き上げられ、支援が重点化されます。
現行の枠を見直し、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」に整理統合されました。

また、製品・サービス高付加価値化枠のうち、革新的な製品・サービス開発を支援する通常類型と、DX(デジタルトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)に関連する分野に資する開発を支援する成長分野進出類型(DX・GX)に分けられます。
通常類型は補助上限金額が最大1,250万円(大幅賃上げ特例を使用しない場合)、補助率は1/2です。
成長分野進出類型(DX・GX)の場合、補助上限金額が最大2,500万円(大幅賃上げ特例を使用しない場合)、補助率が2/3となり、通常類型よりも補助上限額・補助率を引き上げられ、支援が重点化されます。
大幅な賃上げに取り組む事業者に対する補助の拡充が行われ、補助上限額が100万円~2,000万円引き上げられます。省力化(オーダーメイド)枠の場合だと、最大で1億円もの補助上限額引き上げが適用される仕組みとなっています。
現行のグローバル市場開拓枠からグローバル枠になりました。引き続き、中小企業・小規模事業者が、海外事業の拡大や強化に必要な設備投資を支援します。2023年12月27日に発表されたものづくり補助金の公募要領によると、「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」については、17次締め切り分では募集が行われないようです
※18次締切は省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠を公募予定
※ 17次締切の公募に応募する事業者は、18次締切の公募には応募できませんので、ご注意ください。 
DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、組織や企業がデジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、持続的な競争優位性を確立するための取り組みを指します。デジタル技術を活用した製品・サービス開発を支援する類型です。

DXは、デジタルテクノロジーを活用してビジネスプロセス、企業文化、顧客体験を変革し、市場の要求に応えるプロセスを指します。企業がデジタル化を進め、より効率的で柔軟なビジネス運営が実現可能です。

GXとは
GX(グリーントランスフォーメーション) とは、化石燃料に依存する経済から、太陽光発電や風力発電のクリーンエネルギーへの転換を目指す取り組みです。温室効果ガスの排出削減を通じて、カーボンニュートラルな社会を実現する目標としています。

企業はデジタル化を進め、環境に配慮したビジネスモデルへの移行を図れるでしょう。

カタログ型省力化補助金とものづくり補助金オーダーメイド枠との違い

令和5年度補正予算で重点的に取り扱われている「省力化」。同じ言葉が使われていますが、カタログ型省力化補助金とものづくり補助金省力化枠では、スケジュールや補助対象、補助金額等、さまざまな点で違いがあります。カタログ型省力化補助金:カタログに登録された設備の導入を支援
「カタログ型省力化補助金」は、物価高騰と人手不足に悩む中小企業に対して、IoT、ロボット、AI等、人手不足解消に効果がある設備投資に対する補助金です。カタログに登録された設備を導入し、省力化をはかることを目的としています。

「カタログ型省力化補助金」は、中小企業等が簡易で即効性がある省力化投資を目的としているため、申請自体が比較的簡単でスピーディーに事業が実施できることが予想できます。初めて補助金を活用しようという事業者の方も、比較的チャレンジしやすい補助金だと言えるでしょう。

ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠:個々の事業者に応じたオーダーメイド型の省力化投資を支援
一方で、「ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠」は、中小企業や小規模事業者が人手不足の解消を目的とした、生産プロセスの省力化の取り組みを進めるための補助金です。

具体的には、外部と連携して事業者の個々の業務に応じて専用で設計された、AI、ロボット、センサーのデジタル技術を活用したオーダーメイド設備やシステムを導入することが必要となります。補助金額は大きくなりますが、申請までの準備にも事業の実施にも時間と労力がかかることが予想できるため、補助金活用の難易度としては、高い方になるかと思われます。

活用のイメージとしては、以下のような例が挙げられています。
例)熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(SIer)と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。
スケジュール
現時点では、経済産業省からの正式発表がないため、詳細なスケジュールは不明ですが、カタログから製品を選んで申請を行うという点で、現行のIT導入補助金と同じようなスピード感で実施される可能性があります。

カタログ型省力化補助金とものづくり補助金のスケジュールは以下の通りです。
申請準備
GビズIDを使用した電子申請や、必要書類の整理など、申請方法等は、大きく異ならないことが予想されます。

補助対象者・対象業種
補助対象者は中小企業や小規模企業者・小規模事業者などが対象です。カタログ型省力化補助金も同様であると考えられます。
「カタログ型省力化補助金」と「ものづくり補助金」の対象業種には以下の違いがあります。

カタログ型省力化投資補助金は、
中小企業等の人手不足に悩む企業に対して活用が期待されます。

ものづくり補助金は、製造業のほか、ソフトウェアやサービス開発の業種も対象としています。
以上が対象となっています。
大きくは異なりませんが、特徴としては、
「カタログ型省力化補助金」は人手不足の課題があり、カタログに掲載される製品・設備を導入して省力化を図る中小企業等が対象です。

「ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠」は、オーダーメイドの設備を導入し生産プロセスやサービス提供方法を効率化する中小企業等が対象です。

したがって、「省力化(オーダーメイド)枠」はより特定のニーズに応じた設備導入を支援する点で異なります。
投資規模と補助金額
結論からいうと、カタログ型は比較的小額の投資が対象で、ものづくり補助金省力化(オーダーメイド)枠の方が大規模な投資が前提となっています。

次回公募におけるものづくり補助金(オーダーメイド枠)とカタログ型の省力化投資補助事業の補助上限額や補助率をまとめると、以下のようになります。
補助金は中小企業の省人化・省力化の取組みを支援するものであり、補助率はいずれも1/2となっています。

カタログ型省力化補助金は、個人事業主や中小企業を中心とした、身近な省力化投資を支援します。

一方、ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠はより大規模な設備投資や事業拡大を後押しする役割があるでしょう。
対象設備
「カタログ型省力化補助金」と「ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠」の対象設備について、以下の違いがあります。

カタログ型省力化補助金は、省力化設備として国が指定する機械装置等の導入を支援する制度です。対象となる設備は、事前に公表された機械装置等のカタログに記載されたものに限定されます

ものづくり補助金は、より幅広い設備投資を支援します。
などが対象となります。カタログ型ほど対象設備が限定されていないのが特徴です。

つまり、カタログ型は指定された機械装置に限定されるのに対し、ものづくり補助金の方が自社の取り組みに合わせて広い範囲が対象設備になります。

まとめ

今回は、令和5年度補正予算の「中小企業省力化投資補助事業」と「ものづくり補助金」の違いを中心に解説しました。

対象業種、設備、補助条件に多くの違いがあるため、事業内容に応じて、自社に適した補助金の選択が大切です。

国や自治体が提供する様々な補助金制度を上手に活用することで、設備投資や事業拡大にかかる初期コストの負担を軽減できます。

経営安定のためにも時間と労力がかかりますが、自分の会社にあった補助金選びを検討してみてください。
筆者・監修

省力化補助金編集部

シェアビジョン株式会社

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