注目の新補助金!中小企業省力化投資補助事業・業界別対象設備予想!

2024/01/10

はじめに

2023年度の補正予算で中小企業省力化投資補助事業という新たな枠組みが設けられることになりました。

この補助金制度は、中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的に創設される予定です。

対象となる製品はこれから公表される予定ですが、IoTやロボットのような人手不足解消に効果がある汎用的な機器の導入支援を通じて、省力・自動化へのシフトが可能なものが想定されています。

そのため、対象となるのは業種に関わらず、導入される設備についても即効性があり、簡易に導入可能なものが想定されるでしょう。

そこで当記事では、補助金の対象となることが予想される製品や設備を業種ごとにご紹介します。

生産性の向上、業務の効率化、コスト削減を通して企業の競争力を高めたいとお考えの中小企業の経営者や担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

中小企業省力化投資補助事業の概要

事業目的
中小企業省力化投資補助事業とは、人手不足に悩んでいる中小企業に対し、システム導入などで省力化支援の補助金を支給する制度です。

省力化への投資を行うことで、生産性向上や売上拡大につなげ、地域の雇用を支える中小企業の賃上げ実施につなげていくことが期待されています。

対象設備
補助金の支給対象となる設備やシステムについては、IoTやロボットなどの人手不足解消に効果がある汎用製品です。

例えば、製造業の場合は、工場の新たな新設や設備投資などに補助金を使用することで、持続的かつ継続的な事業の拡大を図ることができます。

補助金の対象となる製品はまだ公表されていませんが、2023年度補正予算の事業概要で公表されている情報では、「カタログ型」という申請様式が公表されています。

カタログに掲載された製品や設備の導入にかかる費用が中小企業省力化投資補助金の対象となります。

申請を検討したい企業はカタログを見て、掲載されている製品の中から導入したい製品を選択する形式です。

スケジュール・補助上限金額等
中小企業省力化投資補助事業は2024年のスタートを見据え、経済産業省によって提案されており、2023年度の補正予算案に必要な費用として1,000億円を見込む想定です。

なお、中小企業省力化投資補助事業の補助金については、以下の通り従業員の規模に応じて上限額が設定されています。
従業員数5人以下:200万円(300万円)
従業員数6~20人:500万円(750万円)
従業員数21人以上:1,000万円(1,500万円)

※補助率は一律で1/2です。
※賃上げ要件を達成した場合、補助の上限額を()内の数値に引き上げる予定です。

業界別対象設備予想

中小企業省力化投資補助事業について、対象になることが予想される製品を業界別に紹介します。
製造業
製造業では、製造工程を自動化するロボットやAIが搭載された機器など、人件費を減らしつつ業務を効率化できる製品や設備が対象になると予想されています。

また、製造工程の効率化だけでなく、CO2の削減など環境にも配慮した設備投資についても対象となる可能性があります。

具体的には以下のような工程において活用が期待できる産業用ロボットが該当するとみられています。

溶接
溶接は、作業者の知識や経験、技術によって仕上がりの質に差が生じやすい工程です。
また、作業の内容によっては危険を伴うことから、厳重なチェック体制などを設ける必要があり、手間や負担の大きい作業となっています。

ロボットによって溶接を自動で行うことによって、仕上がりに差がなく一定の品質を保てるとともに、作業時間を大幅に短縮できるなど、生産性の向上とコストの削減が期待できます。そのため、予め設定しておけば作業者の習熟度に関わらず、高品質な製品を製造できるため、より熟練技術が必要な工程に熟練工を最適配置させることができます。また、危険から作業員を守れるため、労働環境の改善にもつながります。

プレス
プレス機械は、短時間で多くの材料を加工できることが特徴であり、大量生産を得意としています。そのため、プレス作業自体は単純作業が続くことから、ロボットに置き換えやすい工程です。

プレス工程では、作業員が材料の投入・取出といった繰り返し作業を1日に長時間行っていますが、ロボットに置き換えることで、作業員の負荷や人数を減らすことが可能になり、これまでかかっていた人件費を削減することができます。

また、溶接と同様に危険を伴う作業であることから、ロボットを活用することで作業員をより安全かつ高度な仕事にあてることができます。

塗装
塗装は製造物の保護や見た目、デザイン性の向上など、その製品の価値を高めるための工程です。市場に出回っている製造物の中で、塗装工程のない製品はほぼないといっても過言ではありません。

この塗装工程についても他の工程と同様、人の技術や経験によって仕上がりに偏りが生じやすい工程のため、塗装ロボットの導入による自動化は様々な企業で実施されています。

塗装工程を自動化することで、品質にバラつきがなくなるだけでなく、塗装に用いられる塗料等は健康面に影響を及ぼす有害物質が含まれることもあるため、作業者の健康面にも配慮できるメリットがあります。

しかし、中小企業では導入が遅れているケースも多いため、今回の制度で対象に加わる可能性が高いと考えられるでしょう。

組立
上記に紹介した工程と同様に、組立工程も自動化が可能です。組立を自動化することで、作業の時間を均一に保つことができ、製品完成までの工数が予測しやすくなります。

さらに、人的ミスを防ぐ役割も果たすことができるため、ロボットによる自動化で生産性の向上を図りやすい工程であることから、中小企業省力化投資補助事業を活用しやすいと予想されます。
飲食・宿泊業
飲食業や宿泊業などのサービス業でも様々な場面でロボットが活用されています。

飲食や宿泊業では、直接お客様と接する業務に加え、料理の準備や清掃など、ロボットが活躍できる領域は多いです。

以下に紹介するようなロボットの導入は、労働負担の軽減とサービス品質の向上が期待されることから、今回の制度の補助対象となることが予想されます。

配膳ロボット
レストランなどでは、でき上がった料理をお客様のテーブルに運ぶ作業があります。これまでは人が料理を運ぶのが当たり前でしたが、最近ではロボットがこの作業を代わりにおこなうケースが増えています。

配膳をロボットが代替してくれることで、その間スタッフは他の作業に注力することができ、回転率のアップにつながります。また、フロアに配置するスタッフを減らすことができるため、人件費の抑制が期待できるでしょう。

受付ロボット
受付をロボットが代替することも可能です。飲食の場合、来店されたお客様を席に案内したり、注文の受付、お会計時の支払い業務をロボットが対応可能です。宿泊業の場合は、チェックインやコンシェルジュサービスの提供をロボットで代替可能です。

受付業務の自動化により、人的ミスや手違いを減らし、業務の効率化を実現することができます。また、ロボットが担当することによって、受付係の負担軽減につながり、時間や人件費を削減することができます。

特別な対応が伴う場合はロボットが代行することは難しいですが、提供するサービス水準を一定に保つことができるため、トータルで見るとサービスの質の向上につながります。

清掃ロボット
食後の後片付けや部屋の清掃など、サービス業は裏方の業務の品質によってもお客様の満足度に影響しますが、その負担は想像以上に大きいものです。

清掃ロボットを導入することで、品質の向上につながるのはもちろん、作業負担を抑えることができるため、労働環境の改善につながることが期待されています。

配膳や受付と同様、清掃面での自動化も今回の制度の対象に加わる可能性は高いと考えられます。
物流業
物流業では多くの人が手作業で働いていますが、ロボットの活用も積極的に進んでいます。
物流業界では外出せずに買い物ができるネットショッピングやオンラインサービスなどの普及により大幅に需要が増加しています。個人間での宅配便の利用機会が増え、取扱い個数も増加していることから、人手不足が深刻な問題となっています。

今後もますますインターネットの利用は増加が予想されるため、自動化による代替は必須といえるでしょう。

そのような外部環境の中、物流倉庫では、運搬を自動でおこなうロボットや貨物の積み下ろしをおこなうロボットなどは、商品の持ち運びの手間や負担を省くことができるため、省力化・省人化に直接的につながる部分です。

運送
倉庫内だけでなく、配送時においても人手不足が深刻化しています。
需要の増加による1人あたりのタスク量が超過していることに加えて、翌日配送や送料無料、指定日配送といった便利なサービスが普及していますが、その反面でサービス提供側の労働環境の悪化に繋がります。

再配達が社会問題化しており、ドライバーの負担増加や運送会社の生産性低下を引き起こします

このような課題に対して、効率的なルート計画や在庫管理、最適化された物流ネットワークの構築に向けて、プランニングや状況把握をシステムがサポートすることが可能です。省力化補助金を活用してこういったシステムの導入をすることで、省力化がもたらす効果は高いと考えられます。

業務効率化を果たすことが期待されるため、中小企業省力化投資補助事業の対象となる製品や設備は、今後、省力化が課題となる業界の特徴的にも多いと考えられます。
農業
農業は農業従事者の高齢化が深刻な問題となっています。若い人材の流入も少ないため、自動ロボットによる作業の代替は早急な課題です。

農業では自動走行する農業ロボットや収穫を代行するロボット、農薬の散布をおこなう農業用ドローンなど、様々な場面でロボットの活躍が期待され、実際に導入が進んでいる部分も多くあります。

これらのロボットやIoTの技術を活用することで、人手不足の解消が期待されています。自動走行のトラクターやドローンなど、中小企業省力化投資補助事業の対象に加わることが予想される製品や設備は多数あるものと考えられます。
建設業
建設業においては点検や測量など人がおこなう作業はまだまだ多く存在します。建設資材の運搬や危険が伴う高所作業など、生産性の向上やリスクの考慮など、解決すべき課題は様々です。

また、農業と同様に建設業においても少子高齢化により人手不足が進んでいることから、人に代わって建設ができるよう幅広いロボットが導入されています。

たとえば、建設資材を運搬するロボットや、人が搭乗することなく遠隔操作できるパワーショベルなどの重機、人の手が届かない高所などで自律的に作業するドローンなどが該当します。

危険が多い建設現場での作業をロボットに代替してもらうことで、作業の効率化と現場の安全性向上が期待できるでしょう。

このような建設用の作業ロボットも中小企業省力化投資補助事業の対象となる可能性が高いです。

まとめ

中小企業省力化投資補助事業の対象となる業界は2024年1月末の時点では決定していません。しかし、中小企業は大企業と比べて業務の自動化が遅れているため、ロボットによる自動化のニーズは非常に高いことが考えられます。

また、今回紹介した業種以外にも自動化をおこなえる業務は数多く存在することが予想されており、自動化システムや設備を導入し業務効率化を図ることが、日本国内における産業界全体の流れとなっています。

従業員の賃上げを促してモチベーションの向上を図ることで、企業として成長することが、中小企業省力化投資補助事業の目的です。

今回取り上げた補助金制度を上手に活用することで、当該事業の拡大を推し進めるきっかけとなれば幸いです。
筆者・監修

省力化補助金編集部

シェアビジョン株式会社

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