速報!省力化補助金 基本要件等 最新情報(事務局 公募要領より)

2024/01/30

はじめに

令和6年1月26日、独立行政法人中小企業基盤整備機構が「中小企業省力化投資補助事業」に係る事務局の公募要領を発表しました。

昨年11月に令和5年度補正予算の概要が発表され、「中小企業省力化投資補助事業」(以下、カタログ型省力化補助金)については、補助金の概要や補助上限額、補助率等が公表されていましたが、スケジュールや公募回数等については、分かりませんでした。

今回は、補助対象者となる事業者向けの発表ではありませんが、事務局を行う事業者向けへの公募要領から、新しいことがいくつか分かったので、お知らせしていきます。
※事務局とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)から委託され、実際の公募や、審査及び採択、進捗状況管理、確定検査、事業化状況報告書管理等を行う、委託先を指します。事業再構築補助金では、人材派遣会社の株式会社パソナが事務局として委託を受けていましたが、今回のカタログ型省力化補助金では、新たな委託先の公募が発表となりました。

補助金の実施期間と公募回数

事務局公募要領で事業規模等が発表されたところによると、今回の補助事業はできるだけ早期に公募を行うものとし、その後、常時、中小企業・小規模事業者等からの交付申請を受け付けることとしています。

補助金の実施期間としては、令和8年度9月末まで、公募回数は15回程度(公募頻度は2ヵ月に1 回)ということが発表されました。

これにより、今回のカタログ型省力化補助金が、1年だけで終了するのではなく、約3年にわたって実施される補助金であることが分かりました。

採択予定件数は計12万件程度と発表されました。

補助金の予算規模と一社あたりの補助金額から、ある程度は予想していましたが、大型補助金として注目された事業再構築補助金の第1回から第10回までの採択数が約7万6,000件ですから、今回の12万件が非常に大きな数字であることが分かるでしょう。幅広く多くの事業者を支援したいという政府の意図がうかがえます。

また、補助要件等について、記載の内容は差し当たってのものであり、今後、補助対象者の実情等を踏まえて変更となる可能性があるとしながらも、以下、これまでの発表よりも踏み込んだ内容が記載されています。

1. 補助対象事業

補助対象となる事業は、人手不足に悩む中小企業や小規模事業者が、「カタログ」に掲載された省力化投資補助事業の対象となる機器等を導入する際の費用の一部が補助対象となると改めて記載されています。そして、カタログに掲載された機器の販売や導入支援を行う事業者を「省力化支援事業者」と定義しています。

省力化投資補助枠(カタログ型)という名称と、「IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する」という事業概要から、IT導入補助金に似たような仕組みで補助事業が行われるのではないかと予想されていましたが、やはりそのようになりそうです。

今回の公募発表では、「カタログ」に掲載されている機器を、「省力化支援事業者」から導入する事業が補助対象となるということが記載されました。この「省力化支援事業者」は、IT導入補助金における「IT導入支援事業者」のような役割が求められると予想できそうです。

事務局が決定され次第、最初にカタログに掲載される機器や省力化支援事業者の登録が始まるでしょう。

2. 補助対象者

補助対象者としては、3つのことが記載されています。

(1)人手不足の状態にある中小企業や小規模事業者が対象
人手不足を客観的に示す証憑を提示するか、人手不足が経営課題となっている旨を申告することが必要とされています。人手不足であることを客観的に示す証憑が何を指すかは、現時点では分かりませんが、「人手不足」が重要なキーワードとなりそうです。

(2)事業終了後1~3年で付加価値額を増加させる計画が必要
ものづくり補助金や事業再構築補助金では、事業終了後3~5年で付加価値額を増加させる事業計画を策定することが要件として課されていましたが、今回のカタログ型省力化補助金では、事業終了後1~3年で付加価値額の従業員一人当たり付加価値が年率平均3%以上増加する見込みの事業計画を策定すること(以下、「付加価値額要件」という)が求められるようです。(付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費)
これにより、政府がより賃上げ等に対して危機感を持ち、スピーディーな効果を求めていることが分かります。

(3)賃上げ計画を従業員に表明しないと、補助金の増額分は返還
賃上げによる補助上限の変更を適用する場合は、申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明することが求められます。交付後に表明していないことが発覚した場合は、補助金の増額分の返還を求めるとあります。

3. その他条件

(1)賃上げによる補助上限の変更
これまでは、賃上げ要件について詳しくは記載されていませんでしたが、今回の発表により、具体的な賃上げ要件が明らかになりました。

補助事業終了時点において

(a)事業所内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
(b)給与支給総額を年率平均6%以上増加させること

の双方を申請時に宣言(以下「賃上げ要件」)した場合は、「大幅な賃上げを行う場合」の補助上限を適用するとあります。

(2)補助金の返還等
また、補助金の返還等についても、詳しい情報が追加されました。それによると、以下に該当する場合は、補助金の一部または全額を返還、または納付しなければならないことになります。
補助金返還を避けるには、付加価値額の増加と賃上げは、計画を策定するだけでなく、基本的に必ずクリアしなければいけない要件となります。また、収益納付として、事業化後の納付を避けるためには、十分な賃上げ(年率平均3%以上給与支給総額を増加させる、最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする等)が必要になることが分かります。

4. 補助率等

従業員数により異なる補助率が設定され、補助上限額も改めて明記されました。これについては、これまでの発表にもあった通りです。

5. 補助予定件数

採択予定は、合計で約120,000件とされています(1件当たりの補助申請額によっては、予定件数は増減する場合がある)。現在、発表されている公募回数で割ると、1回の公募あたり8,000件前後の採択件数になると予想できます。

6. 募集方法と申請受付期間

事務局の公募要領によると、事務局に対してはできるだけ早期に公募を行うよう求めており、その後、常時、中小企業・小規模事業者等からの交付申請を受け付けることとしています。また、申請やその後の実績報告等は電子申請で行うということが改めて明示されました。

スケジュールとしては、事務局の公募締切りが令和6年2月20日となっており、審査ののちに事務局が決定されます。その後、速やかにカタログに掲載する機器や、省力化支援事業者の登録と審査が行われます。カタログに掲載する省力化支援事業者と機器の選定後、令和6年3月より公募を行うとされていることから、ここはかなりタイトなスケジュールで公募の準備が進められると思われます。ここが予定通り整えば、4月の年度替わりを待たずに、公募が始まりそうです。

≪2024年3月27日追記≫

3月27日現在では、事務局も決定し、公式サイトが公開されました。

中小企業省力化投資補助金 公式サイト https://shoryokuka.smrj.go.jp/

現在は、2月9日から始まった工業会等の業界団体による製品カテゴリの登録が、引き続き行われています。また、すでに承認された製品カテゴリである、券売機、自動精算機、自動チェックイン機、スチームコンベクションの製品登録、製造事業者登録が行われています。

中小企業等の事業者の申請開始時期や、販売事業者登録開始時期などのスケジュールは、未定となっていますが、3月15日に実施された『令和6年度当初予算・令和5年度補正予算 関連施策説明会』によると、想定スケジュールとして、

    3月下旬  事業者向け公募開始
    6~7月  申請受付開始

と発表があるため、間もなく公募が発表となり、製品登録や製造事業者登録が行われていくと思われます。

カタログは順次追加されていくようですので、自社で活用できる設備が登録されているかどうか、こまめなチェックが必要です。新しい情報が公開されたら、このブログでもお知らせしていきます。

まとめ

今回の事務局の公募要領により、カタログ型省力化補助金の実施期間や採択予定件数、求められる要件等、これまでよりも詳細な情報が出てきました。

カタログ型省力化補助金は、比較的低いハードルで中小企業の省力化投資を支援し、人手不足の克服や経済的な効果を期待できるものです。ぜひ積極的に活用を検討されてはいかがでしょうか。
筆者・監修

省力化補助金編集部

シェアビジョン株式会社

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