ものづくり補助金18次公募が発表されました!

2024/02/05

はじめに

先日、ものづくり補助金18次締切分の公募要領が発表され、申請締切が2024年3月27日となることが判明しました。

ものづくり補助金は昨年末に17次締切分(3月1日締切)の公募要領が発表されていました。17次締切に応募した事業者は18次締切回には応募できないとなっていたことからも、17次公募の採択発表前に18次公募が始まることは予想されていましたが、大方の予想よりも早い公募締切となりました。どちらの公募分も補助事業の完了期限が12月10日となっているため、事務局としても早めの公募に踏み切ったものと思われます。

17次公募では、「省力化(オーダーメイド)枠」のみの公募ですが、18次公募では、「省力化(オーダーメイド)枠」に加え、「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」とすべての枠に応募することができます。

ここでは、今回の公募要領で発表になった新しいことを中心に解説していきます。


スケジュール

これまでものづくり補助金は、公募締切があり、採択発表があってから、次の公募が発表されるという流れで、約3か月に1回のペースで締切が設定されていました。

それが今回、令和5年度補正予算に基づく公募については、18次公募が最後となることが明記されました。

ものづくり補助金の活用を考えている事業者の方は、今回の公募要領を確認し、17次公募か18次公募かどちらに申請するべきかを検討し、早急に準備を進めましょう。

公募開始 :2024年 1月 31日(木)17:00~
電子申請受付:2024年 3月 11日(月)17:00~
申請締切 :2024年 3月 27日(水)17:00まで【厳守】
補助金交付候補者採択発表:2024年6月下旬頃(予定)
実績報告:2024年12月10日【厳守】
補助金の請求:2025年1月31日【厳守】

採択発表は6月下旬頃となっており、交付決定が8月中旬頃だとすると、そこから設備の発注・納入・検収・支払等の全ての事業の手続きを完了し、12月10日までに実績報告書を提出しなければなりません。提出期限から逆算すると、10月中に設備を納入することが望ましいですが、交付決定のタイミングや導入する設備の納期によっては、難しいことがあるでしょう。これまでの補助金以上に、スケジュール管理が重要であることを認識して、メーカーや販売店等に協力いただき、準備を進める必要があると思われます。

申請枠・類型

1.「省力化(オーダーメイド)枠」

18次公募では、17次公募から引き続き、「省力化(オーダーメイド)枠」の申請も行うことができます。要件等は、別の記事で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。

参考記事:ものづくり補助金 省力化(オーダーメイド)枠(17次公募)について徹底解説
(https://svltd.co.jp/monodukuri-hojo-col/detail.html?id=1302)

設備を導入して、実績報告を行う期限は、17次公募も18次公募も同じ12月10日です。余裕をもって補助事業を進めるためにも、3月1日締切の17次公募に間に合う場合は、ぜひ早急に準備を進めていくことをお勧めします。

2.「製品・サービス高付加価値化枠」

・「製品・サービス高付加価値化枠」とは?
「製品・サービス高付加価値化枠」は、中小企業や小規模事業者が付加価値の高い革新的な製品・サービスの開発に取り組むために必要な設備投資等を支援する補助金制度です。

単に設備・システムを導入するにとどまり、製品・サービスの開発を伴わないものは該当しませんが、省力化(オーダーメイド)枠で要件となっていた、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入は求められません。この通常類型は、これまでのものづくり補助金の通常枠に近い形で活用できる応募枠となるでしょう。

今後成長が見込まれる分野(DX・GX)は成長分野進出類型とし、通常類型よりも補助上限額・補助率において重点的に支援されます。そのため、取組内容が該当する場合は、こちらで申請した方が、高い補助金を受け取れることになります。
・補助上限額・補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合
<通常類型>
<成長分野進出類型(DX・GX)>
・基本要件
以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書を策定及び実行すること
①事業者全体の付加価値額を年平均成長率+3%以上増加させること
②給与支給総額を年平均成長率+1.5%以上増加させること
③事業場内最低賃金を毎年地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
3~5年の事業計画に基づき事業を実施していただくとともに、毎年、事業化状況報告を提出いただき、事業成果を確認します。また、基本要件等が未達の場合、補助金返還義務があります。
※17次締切の公募要領にもありましたが、今回の18次公募締切でも、年平均成長率(CAGR)は複利計算をもとに算出するよう求められています。
上記の基本要件に加え、以下の追加要件を満たす必要があります。

■通常類型・成長分野進出類型(DX・GX)共通
①3~5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の10%以上となる事業計画を策定すること
②本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出

■成長分野進出類型(DX・GX)のみ
DX:DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること。
DXに資する革新的な製品・サービスの開発とは、例えば、AI、IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等を指します。

GX:グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サー ビスの開発であること。
グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは、「2050年カーボ ンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野を指し、分野毎に「現状と課題」として記載のある「課題」の解決に資する取組であることが必要となります。
グリーン成長戦略「実行計画」14分野:「洋上風力・太陽光・地熱」「水素・燃料アンモニア」「次世代熱エネルギー」「原子力」「自動車・蓄電池」「半導体・情報通信」「船舶」「物流・人流・土木インフラ」「食料・農林水産業」「航空機」「カーボンリサイクル・マテリアル」「住宅・建築物・次世代電力マネジメント」「資源循環関連」「ライフスタイル関連」

・新型コロナ回復加速化特例の要件
通常類型での中小企業の補助率は1/2ですが、中小企業で通常類型に申請する企業でも、以下の要件を満たすことによっては、補助率2/3の補助金を受け取ることができます。

①常時使用する従業員がいること
②2022年10月から2023年8月までの間で、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
③補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額が1.5%以上増加目標を達成していること
④補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の水準を達成していること

③及び④が未達の場合については、補助率引き上げ分について返還が求められます。また、大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例との併用はできません。

3.「グローバル枠」
・「グローバル枠」とは?
グローバル枠は、海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援する補助金制度です。

海外事業とは、①海外への直接投資に関する事業、②海外市場開拓(輸出)に関する事業、③インバウンド対応に関する事業、④海外企業との共同で行う事業を指します。

グローバル枠で申請する際には、「海外事業の準備状況を示す書類」海外事業の専門性について(グローバル枠のうち、輸出を含む計画の場合)を準備する必要があります。

①申請者のみで海外事業に関する業務を自主的に遂行する能力を有する場合には、これまでいつどの国に対し、どのような商品を輸出し、あるいは役務の提供をしたかなど、申請者の遂行能力が分かる情報について、具体的かつ詳細に説明する。

②申請者のみで海外事業に関する業務を自主的に遂行する能力を有さない場合には、海外展開・新市場開拓等に成功した支援実績等を有する外部専門家等を活用するなど、当該外部専門家等がいつどの国に対し、どのような商品の輸出・役務の提供を支援したかなど、外部専門家等の遂行能力が分かる情報について、具体的かつ詳細に説明する。


・補助上限額・補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合

・基本要件に加えた追加要件
基本要件は、省力化(オーダーメイド)枠や製品・サービス高付加価値化枠と同じですが、追加要件は、①海外への直接投資に関する事業、②海外市場開拓(輸出)に関する事業、③インバウンド対応に関する事業、④海外企業との共同で行う事業のどれに当てはまるかによって変わってきます。

18次公募のグローバル枠は、14~16次公募のグローバル市場開拓枠の枠組みが引き継がれているので、以下の記事も参考にしてください。

参考記事:グローバル市場開拓枠の14次公募からの変更点
(https://svltd.co.jp/monodukuri-hojo-col/detail.html?id=0789)

大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例

製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠でも、大幅賃上げに取り組むことによって、補助上限率が引き上げられます。

賃上げ要件についての詳しい解説は、以下の記事を参考にしてください。

参考記事:ものづくり補助金17次公募発表! 賃上げ要件や加点とは?ペナルティはある?
(https://svltd.co.jp/monodukuri-hojo-col/detail.html?id=1303)

まとめ

ものづくり補助金18次締切は大方の予想よりも大幅に早い、3月27日と発表されました。補助金申請の準備を整えるには、通常約2か月程度が必要であることを考えると、申請に向けた準備期間としては、かなりタイトなスケジュールであると言えるでしょう。

ものづくり補助金の令和5年度補正予算での公募は、第17次公募、第18次公募の、2回です。

申請をお考えの事業者の方は、早急に準備を進めることをお勧めします。
著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社