グローバル市場開拓枠の14次公募からの変更点

2023/02/28
ものづくり補助金の申請枠である「グローバル市場開拓枠」の概要や補助上限額、補助率について解説します。令和4年度2次補正予算で内容が大幅に変更され、補助上限金額も大幅に拡大されたため、グローバル市場開拓枠での申請を検討されている方は必見です。
ものづくり補助金の申請において、補助金額はいくらになるのか、申請における要件など参考にしてみてください。

【ものづくり補助金】グローバル市場開拓枠とは

グローバル市場開拓枠は、海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援する申請枠です。
今回の令和4年度2次補正予算では、令和元年度補正予算から創設されたグローバル展開型から、「新規輸出中小企業1万者支援プログラム」の一環として、ものづくり補助金でもグローバル市場開拓枠として改め、支援内容が拡充されました。

【ものづくり補助金】グローバル市場開拓枠の補助金額

【補助金額と補助率】​

仮に、従業員数25人の事業者(製造業)が3,000万円の設備投資を行い申請する場合、
3,000万円×1/2(補助率)=1,500万円
補助上限額は3,000万円のため、補助金額は1,500万円となります
グローバル市場開拓枠の変更点としては、補助金額の下限は従来1,000万円でしたが、14次公募からは100万円に引き下げられました。
また、②海外市場開拓(JAPANブランド)類型ではブランディングやプロモーション等に要する広告宣伝・販売促進費を補助対象経費に追加されるようになり、使い勝手の向上や支援内容の拡充が図られました。

さらに、大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例が追加され、グローバル市場開拓枠も該当します。補助上限を従業員数に応じて、100万円、250万円、1,000万円引き上げが可能です。ただし、各申請枠の補助上限額に達していない場合、つまりグローバル市場開拓枠では補助金額が3,000万円に達していない場合は活用不可となります。

【ものづくり補助金】グローバル市場開拓枠の要件

基本要件に加えて、以下4つの類型のいずれかを満たす必要があります。

グローバル市場開拓枠「海外直接投資類型」

〈海外直接投資類型の要件〉

海外直接投資類型の補助対象者は国内の事業者ですが、国内の事業と海外の支店、営業所、子会社等の事業が一体となって強化される必要があり、海外事業者への直接投資を行うことができます。

グローバル市場開拓枠「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」

〈海外市場開拓(JAPANブランド)類型の要件〉

海外市場開拓枠は、海外への新製品・新サービスの販売を目的とした需要開拓を行うことで、海外市場への販路開拓を行うことを目的としています。
しかし、本事業の2分の1以上が海外売上高となる必要があるため、海外に進出することで十分な売上高を達成する計画を策定しなければなりません。

グローバル市場開拓枠「インバウンド市場開拓類型」

〈インバウンド市場開拓類型の要件〉

インバウンド市場開拓枠は、外国人観光客を対象とした製品、商品、サービスの提供を目的とした需要開拓を目的としています。
国内での旅行業者、観光業者、宿泊業者、飲食店、小売店等を申請者として想定していることが見受けられます。

グローバル市場開拓枠「海外事業者との共同事業類型」

〈海外事業者との共同事業類型の要件〉

海外事業者との共同事業類型は、「設備投資等」を行うことによって、共同研究・共同事業開発を行い、成果物の権利(知的財産権等)が発生する必要があります。
そのため、単なる研究ではなく、成果が見込した研究開発・事業開発に取り組む必要があると考えられます。

グローバル市場開拓枠の注意点や審査項目

グローバル市場開拓枠のみ、グローバル市場開拓の取組等の妥当性を示す必要があり、審査項目にも以下のように明記されています。
審査項目から見て取れるように、実現性は高いのか、海外に市場開拓を行うことで国内の経済成長に関与する取り組みであるかどうかが問われることがわかります。

ものづくり補助金の申請を検討されている方は、どの申請枠が適切か見極める必要があります。海外事業を拡大したいと考えている事業者は、グローバル市場開拓枠の申請が可能か認定支援機関にご相談ください。
著者

小林 卓矢

シェアビジョン株式会社代表取締役