ものづくり補助金の申請において、補助金額はいくらになるのか、申請における要件など参考にしてみてください。
【ものづくり補助金】グローバル市場開拓枠とは
今回の令和4年度2次補正予算では、令和元年度補正予算から創設されたグローバル展開型から、「新規輸出中小企業1万者支援プログラム」の一環として、ものづくり補助金でもグローバル市場開拓枠として改め、支援内容が拡充されました。
【ものづくり補助金】グローバル市場開拓枠の補助金額
【補助金額と補助率】
類型 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
①海外直接投資 | 100万円~3,000万円 | 1/2 |
仮に、従業員数25人の事業者(製造業)が3,000万円の設備投資を行い申請する場合、
3,000万円×1/2(補助率)=1,500万円
補助上限額は3,000万円のため、補助金額は1,500万円となります
また、②海外市場開拓(JAPANブランド)類型ではブランディングやプロモーション等に要する広告宣伝・販売促進費を補助対象経費に追加されるようになり、使い勝手の向上や支援内容の拡充が図られました。
さらに、大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例が追加され、グローバル市場開拓枠も該当します。補助上限を従業員数に応じて、100万円、250万円、1,000万円引き上げが可能です。ただし、各申請枠の補助上限額に達していない場合、つまりグローバル市場開拓枠では補助金額が3,000万円に達していない場合は活用不可となります。
【ものづくり補助金】グローバル市場開拓枠の要件
基本要件 | 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加 |
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事業計画期間において、事業場内最低賃金を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする | |
事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加 |
グローバル市場開拓枠「海外直接投資類型」
〈海外直接投資類型の要件〉
国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、国内拠点の生産性を高めること。
補助対象者は国内に所在する本社。補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社の事業活動に対する外注費、貸与する機械装置・システム構築費に充てられること。
国内事業所においても、単価50万円(税抜)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得すること。
応募申請時に海外子会社の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、実績報告時に委託契約書とその事業完了報告書を提出すること。
グローバル市場開拓枠「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」
〈海外市場開拓(JAPANブランド)類型の要件〉
国内に事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
応募申請時に、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。
しかし、本事業の2分の1以上が海外売上高となる必要があるため、海外に進出することで十分な売上高を達成する計画を策定しなければなりません。
グローバル市場開拓枠「インバウンド市場開拓類型」
〈インバウンド市場開拓類型の要件〉
国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書、実績報告時にプロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること。
国内での旅行業者、観光業者、宿泊業者、飲食店、小売店等を申請者として想定していることが見受けられます。
グローバル市場開拓枠「海外事業者との共同事業類型」
〈海外事業者との共同事業類型の要件〉
国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利が補助事業者に帰属すること。
応募申請時に共同研究契約書又は業務提携契約書、実績報告時に、当該契約の進捗が分かる成果報告書を追加提出すること。
そのため、単なる研究ではなく、成果が見込した研究開発・事業開発に取り組む必要があると考えられます。
グローバル市場開拓枠の注意点や審査項目
海外展開等に必要な実施体制や計画が明記されているか。また、グローバル市場開拓に係る専門性を申請者の遂行能力又は外部専門家等の関与により有しているか。
事前の十分な市場調査分析を行い、国際競争力の高い製品・サービス開発となっているか。
国内の地域経済に寄与するものであるか。また、将来的に国内地域での新たな需要や雇用を創出する視点はあるか。
ブランディング・プロモーション等の具体的なマーケティング戦略が事業計画書に含まれているか(②海外市場開拓枠のみ)。
ものづくり補助金の申請を検討されている方は、どの申請枠が適切か見極める必要があります。海外事業を拡大したいと考えている事業者は、グローバル市場開拓枠の申請が可能か認定支援機関にご相談ください。
小林 卓矢
シェアビジョン株式会社代表取締役
1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。