2025年新設!成長加速化補助金とは?生産性革命推進事業って!?

2024/12/27
この記事のポイント

はじめに

令和6年度補正予算の成立に伴い、「中小企業生産性革命推進事業」として3,400億円の予算が計上されることになりました。

「中小企業生産性革命推進事業」には、毎年度補正予算で計上されている「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・M&A補助金」が盛り込まれており、設備投資、IT導入、販路開拓、円滑な事業承継・引継ぎ等を検討している事業者は注目したい施策です。

中小企業生産性革命推進事業とは

中小企業・小規模事業者は、人手不足等の構造変化に加え、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など複数年度にわたり、相次ぐ制度変更に対応することが必要となっています。

中小企業生産性革命推進事業は、こうした断続的に行われる大きな制度変更に直面することに柔軟に対応していただくため、中小企業・小規模事業者の制度変更への対応や生産性向上の取組状況に応じて、設備投資、IT導入、販路開拓、円滑な事業承継・引継ぎ等の支援を一体的かつ機動的に実施し、複数年にわたって中小企業・小規模事業者の生産性向上を継続的に支援する取り組みです。

先進事例・支援策の周知広報や相談対応・ハンズオン支援のほか、補助金事業の実施で中小企業の設備投資を支援しています。

中小企業生産性革命推進事業にかかる補助金は以下の5つです。
この記事では、中小企業生産性革命推進事業にかかる5つの補助金について解説します。
「成長加速化補助金(正式名称:中小企業成長加速化支援事業)」は、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業を対象に、設備投資をはじめとして、新分野への進出、M&A、海外展開、人材育成などを支援する補助金です。

この補助金は、企業が抱える多様な経営課題を解決し、成長の潜在力を最大限に引き出すことを目的としており、「令和6年度補正予算(中小企業・小規模事業者等関連予算)」にて、「持続的な賃上げを実現するための生産性向上・省力化・成長投資支援」の一つとして創設されます。

中小企業生産性革命推進事業で実施する補助金施策の最初に挙げられていることから、予算配分でも大きな割合を占めることが考えられます。

2024年12月25日に中小機構にて公表された「中小企業成長加速化支援事業 事務局公募要領(案)」によると、原則、令和8年度末までに公募を3回行い、全体で600者程度の事業者等に対して中小企業成長加速化補助金を交付するとしています。

現時点で公表されている中小企業成長加速化補助金の詳細は以下のとおりです。
公募要領は令和7年3月末までに公開するとしており、中小・小規模事業者等から交付申請の受付は5月から開始される予定です。「売上高100億円を目指す宣言」を策定し、公表することが、必須要件になっています。

宣言の内容は、詳細検討中となっており、「売上高100億円を目指す宣言」の募集要領は令和5年2月に公開予定となっています。

売上100億円を目指すビジョン・潜在力、賃金要件等が掲げられているため、これまでの補助金以上に明確かつ説得力のある事業計画が求められ、また実現可能、かつ思い切った賃上げ計画の策定が必要になると想定されます。

補助上限額最大4,000万円!「ものづくり補助金」   

「ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業)」は、生産性革命推進事業の中でも、中核の役割を担う補助金制度で、中小企業・小規模事業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた新製品・新サービスの開発に必要な設備投資を支援する補助金です。

2025年の実施に向けて、中小企業庁は令和6年度補正予算をもとに、ものづくり補助金の事業概要を公表しました。

補助上限額は最大4,000万円、補助率は1/2~2/3で、補助金交付額を限度に収益分を返納する「収益納付」は求めないと明記されています。
<支援枠>
令和5年度補正予算で実施された17次・18次公募では、省力化(オーダーメイド)枠が新設され、製品・サービス高付加価値化枠の中で通常類型と成長分野進出類型(DX・GX)が分かれて、補助上限額や補助率も異なっていました。

令和6年度補正予算では、省力化(オーダーメイド)枠での内容は、省力化投資補助金の方で支援されるようで、ものづくり補助金では、上記2つの枠で支援が実施されます。

製品・サービス高付加価値化枠では、従業員21人以上の事業者については、補助上限額が引き上げられています。また、最低賃金近傍の事業者(3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上)の補助率が1/2→2/3となります。

ものづくり補助金の第19次公募の開始時期について、現在は公式な発表はありません。(2024年12月26日時点)
しかし、事務局公募の資料などから、2025年1月下旬には公募が開始される可能性があると予想しています。

ものづくり補助金の詳細については、以下の記事をお読みください。

最賃引き上げで補助率アップ! IT導入補助金

ものづくり補助金度同様、IT導入補助金(正式名称:サービス等生産性向上IT導入支援事業)」も2025年の実施に向けて、事業概要が公表されました。
補助額は最大450万円/者、補助率は1/2~4/5となっており、インボイス対応や安価なITツールの導入にも活用可能です。

「IT導入補助金」とは、中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援する補助金です。

<支援枠>
今年度、拡充した点は、以下の3点です。

通常枠では、ものづくり補助金同様、最低賃金近傍の事業者(3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上)の補助率が1/2→2/3となります。

また、通常枠、複数社連携IT導入枠、インボイス枠のインボイス対応類型では、ソフトウェア購入費、クラウド利用料に加え、今年度からは、IT活用の定着を促す導入後の“活用支援”も対象化するとして、導入関連費が補助対象となります。

さらに、サイバーセキュリティ対策への支援が強化されました。昨年度は100万円だったセキュリティ対策推進枠の補助上限額が、150万円に引き上げられており、また小規模事業者では補助率が1/2→2/3に引き上げられています。

今後のスケジュールについては、現時点では発表されていませんが、準備が整い次第速やかに公募を開始する予定とのことです。

特例活用で最大250万円!「持続化補助金(通常枠)」 

「持続化補助金(正式名称:小規模事業者持続的発展支援事業)」は、小規模事業者等が自ら経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取り組みを支援する補助金です。
「持続化」という文言は、小規模事業者が自社の経営を見直して、「持続的な経営」に向けた経営計画を作成したうえで行う「販路開拓」を支援するという、補助金の目的を表しています。

持続化補助金では、政策の原点回帰を行い、経営計画の策定に重点化するため、複数ある特別枠の整理が行われます。これにより、卒業枠、後継者支援枠は廃止となり、以下の類型が設置されます。

<支援枠>
申請枠によって異なりますが、補助上限額は最大5,000万円、補助率は2/3~3/4または定額となっています。

最も申請数が多いと想定される一般型<通常枠>の概要は以下のとおりです。
<特例要件>
インボイス特例:免税事業者のうちインボイス発行事業者の登録を受けた事業者
賃金引上げ特例:事業場内最低賃金を+50円以上とした事業者

名称変更! 「事業承継・M&A補助金」

2025年度では、これまで「事業承継・引継ぎ補助金」という名称で呼ばれていた補助事業が「事業承継・M&A補助金」に名称を変更して実施されます。
「事業承継・M&A補助金(正式名称:事業承継・M&A支援事業)」は、中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて事業承継に際しての設備投資や、M&A・PMI※の専門家活用費用などを支援する補助金です。
※PMIとは、主に M&A 成立後に行われる統合に向けた作業を指します。

<支援枠>
支援枠によって異なりますが、補助上限額は最大2,000万円、補助率は1/3~2/3となります。
令和5年度補正予算にて実施されていた事業承継・引継ぎ補助金と比較して、申請要件等が異なっておりますので、ご注意ください。
<主な変更点>
・従来の「経営革新枠」が新たに「事業承継促進枠」として名称が変更され、補助上限が引上げられるとともに、応募要件も「今後5年以内に親族又は従業員に承継を予定するもの」に変更
・新たに「PMI推進枠」が創設

まとめ

令和6年度補正予算が成立し、「中小企業生産性革命推進事業」の予算額3,400億円となりました。「中小企業生産性革命推進事業」で活用できる補助金は以下のとおりです。
2025年度も引き続き、ものづくり補助金やIT導入補助金、持続化補助金等が活用できることに加え、新たに中小企業成長加速化補助金が創設されました。

2024年12月27日時点では、上記5つの補助金における公募スケジュール等の詳細は公表されていません。しかし、先日令和6年度補正予算が成立したことから、現在準備が進められており、1~3月の間には、公募が開始されるのではないかと思われます。

補助金の種類もたくさんあり、自社の事業にどの補助金が活用できるか悩まれる事業者の方も多いのではないでしょうか。来年度、補助金の活用をご検討されている事業者の方は、ぜひ一度認定支援機関までご相談ください。
著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社