令和6年度補正予算成立!ものづくり補助金概要発表&19次公募スケジュール予想

2024/12/20
この記事のポイント
本記事は、これまでの中小企業庁等の発表をもとにシェアビジョン株式会社が予想をもとにまとめたものになります。当社ブログの見解に従った結果、不利益があった場合としも、当社は責任を負いかねます。また、本ページの情報や見解は、予告なしに変更することがあります。

はじめに

12月17日、臨時国会にて令和6年度補正予算が成立しました。中小企業関連の予算では賃上げ環境の整備として、最低賃金に近い従業員が多い中小企業のIT導入支援強化などに9,127億円が計上されました。

ものづくり補助金を含む、生産性革命推進事業も予算案通り3,400億円が計上されています。また、中小企業庁のHPでは、令和6年度補正予算でのものづくり補助金の詳細についても発表がありました。
主な変更点は、以下の通りです。
令和5年度補正予算で実施された17次・18次公募とは、変更された点も多くあります。この記事では、令和6年度補正予算で実施される19次公募以降のものづくり補助金について、解説します。

令和6年度補正予算ものづくり補助金の概要

新たに発表された基本要件は、以下の通りです。
以下①~④を全て満たす3~5年の事業計画書の策定及び実行
① 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が地域別最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
③ 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
④ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
令和5年度補正予算で実施された17次・18次公募と比較すると、要件②と④が変更されています。②の給与支給総額の要件については、年平均成長率+1.5%→+2.0%へ引き上げられました。また、これについては、給与支給総額だけでなく、1人あたりの給与支給総額の年平均成長率を満たすことでもクリアできます。

④については、18次公募で加点項目となっていた、一般事業主行動計画の公表が、従業員21名以上の事業者では必須要件となりました。
<製品・サービス高付加価値化枠>
革新的な新製品・新サービス開発による高付加価値化
※()は大幅賃上げ特例適用後の上限額
製品・サービス高付加価値化枠は、18次公募では通常類型と成長分野進出類型(DX・GX)とに分かれ、補助金額や補助率も異なっていましたが、19次公募では類型の区分がなくなりました。また従業員規模区分が見直され、これまで21人以上が一律だったところ、21~50人、51人以上という区分に分けられ、補助上限額もアップしました。

<グローバル枠>
海外事業の実施による国内の生産性向上
※()は大幅賃上げ特例適用後の上限額
※大幅賃上げ特例:下記①②両方の達成で、補助上限額を100万円~1,000万円上乗せ
①給与支給総額の年平均成長率+6.0%増加
②事業所内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の水準

また、新たに最低賃金引上げ特例が創設されました。

最低賃金引上げ特例では、最低賃金近傍の事業者(指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の30%以上いる場合)の補助率が1/2→2/3に引き上げられます(小規模・再生事業者は除く)。

収益納付は必要なし!

収益納付とは
補助金の交付を受けて行った事業によって、自己負担金額を超えて直接的な利益が生じた場合、受け取った補助金の一部または全額を納付する仕組みです。収益納付額は、受け取った交付金額が上限となり、計算方法は補助金毎に公募要領に記載されています。
銀行などの金融機関から融資を受ける場合は、借入金の返済が必要なことは言うまでもありませんが、国から受け取れる補助金は返済不要と思っている方も多いのではないでしょうか。国民の税金等が原資となっている補助金は、適正に用いられて運用される必要があり、補助金毎に事業化状況報告書等での報告が義務付けられています。その報告により、補助金の活用によって直接的な利益が生じた場合には、収益納付が求められます。

収益納付制度については、補助金毎に条件などが設定されていますが、ものづくり補助金では、補助事業実施後5年間の事業化状況報告において生じた利益について、受領した補助金の額を上限として収益納付が必要となっていました。

ところが、令和6年度補正予算で実施されるものづくり補助金については、「収益納付を求めない」とあります。

補助金を使って得られた収益を賃上げ等に還元して欲しいという政府の意図があるように思います。

ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠は省力化投資補助金の一般型にスライドか

また、今回のものづくり補助金概要の発表では、令和5年度補正予算で新設され、17次・18次公募で実施された「省力化(オーダーメイド)枠」については、記載がありませんでした。

こちらについては、令和5年度補正予算で創設された、カタログ型の省力化投資補助事業に一般型という枠が新設されることが発表されており、ものづくり補助金とは別の補助事業として支援されるかと思われます。

ものづくり補助金19次公募スケジュール予想

令和6年度補正予算ものづくり補助金の概要発表では、19次公募のスケジュールについては記載されていませんでした。

ただ、中小機構にて現在公募されている事務局公募資料によると、令和6年度補正予算交付金による補助事業実施期間は、令和7年1月23日~令和9年3月31日とあります。
このことから、令和6年度補正予算に基づくものづくり補助金は、年度末までに補助金の受給までを完了させる単年度予算でのスケジュールではなく、16次公募以前のものづくり補助金と同じように、事業実施期限が交付決定後から10か月以内になるのではないかと予想できます。

また、この期間に補助事業が完了する範囲内で、公募が複数回実施されるのではないかとも予想できます。

<ものづくり補助金19次公募スケジュール予想>

まとめ

令和6年度補正予算が成立し、来年実施される補助金についての詳細が次々と発表されています。要件やスケジュール等の詳細は、公募要領の発表を待つ必要がありますが、補助金の具体的な活用方法については、少しずつ準備を進めることをお勧めします。

最近では補助金審査が厳格化しており、採択にあたっては、加点項目の取得や、申請する補助金の目的や指針に合わせて説得力のある事業計画が作れるかどうかが重要になります。

来年度、ものづくり補助金を活用した設備投資をご検討中の事業者の方は、ぜひ一度シェアビジョンへご相談ください。
著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社