ものづくり補助金17次・18次公募はスケジュールに要注意!

2024/01/30

はじめに

ものづくり補助金では、申請から事業化状況報告までのスケジュールが細かく決められています。補助金の申請時には、申請締切に注目しがちですが、経営においては、いつ頃設備が導入できるのか、いつ頃補助金が入金されるのか重要であることは言うまでもありません。さらに、補助金を活用した補助事業には実施期間が定められており、その期間内に補助事業を完了できなければ、補助金を受給することができません。
令和5年度補正予算で発表された、ものづくり補助金の17次・18次公募では、これまで以上にスケジュールについての注意が必要になります。
ここでは、最新のスケジュールに沿って、その内容と注意点について整理していきましょう。

①公募開始

2023年12月27日(水)公募要領が公表されました。

②申請受付

申請は電子申請システムのみで受け付けています。申請には、「GビズIDプライムアカウント」が必要です。ID取得には一定の期間を要しますので、まだ取得していない方は、
早めにGビズIDプライムアカウントの取得手続きを行いましょう。

電子申請受付:2024年2月13日(火)17:00~
申請締切:2024年3月1日(金) 17:00まで

申請に必要な書類は以下の通りです。
〈提出必須〉
事業計画書/補助経費に関する誓約書/賃金引上げ計画の誓約書/決算書等/従業員数の確認資料
〈該当する場合のみ提出〉
労働者名簿/「再生事業者」であることを証明する書類/大幅な賃上げ計画書/金融機関による確認書/その他加点に必要な資料(任意)

③審査

提出した事業者情報、事業計画書に基づき、事務局が内容の審査を行います。
・書面審査
書面審査では、公募要領に記載されている審査項目・加点項目に基づき、事務局が内容の審査を行います。
・口頭審査
今回の申請では初めて、口頭審査が実施されます。口頭審査は、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者を対象にオンライン(Zoom等)にて、1事業者につき15分程度実施されます。
口頭審査期間は以下の通りです。下記日程のうち、事務局が指定のうえ、申請者に連絡があります。日時の変更や希望はできません。また事前に顔写真付きの身分証明書、安定したインターネットに接続されたPC等の準備が必要です。
2024年4月1日(月)~2024年4月12日(金)
口頭審査では、申請された事業計画の適格性、革新性、優位性、実現可能性等が審査されます。加えて事業の申請に係る意思決定の背景や事業実施に際しての事前のマーケティング調査等、計画書に記載のない内容についても問われる場合があります。また審査は申請事業者自身(法人代表者等)が対応しなければなりません。事業計画書作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等の申請事業者以外の者の対応や同席は一切認められないため、注意が必要です。

④補助金交付候補者決定

審査結果に基づき、補助金交付候補者が決定されます。
17次公募では2024年5月中旬頃になる予定です。

⑤交付申請・決定

補助金交付候補者が決定し、対象に選ばれた場合、まず「交付申請」を行う必要があります。「交付申請」とは「交付決定」を受けるための手続きを指します。

交付申請については、手続きが分かりにくいことから、事務局のホームページで説明動画が掲載されています。

「交付申請」では、見積書、相見積書、履歴事項全部証明書等を提出します。
添付書類に不備や不足があると、事務局から事業内容や補助対象経費の修正や、提出書類の修正・再提出等が求められます。この時点で公募要領や事業計画書に沿わないことが判明した場合、交付決定に至らないこともあります。

この時点で交付申請に必要な書類が全て揃って、補助事業で要した経費が事業計画に沿ったものであるということが認められないと交付決定が下りないため、結果として事業実施期間が短くなってしまいます。

この交付申請から決定までにかかる時間は、事業者によってばらつきがあるため一概には言えません。当社が支援しているケースでは、早いところで申請から決定まで1週間、遅いところでは差し戻しや修正等で3か月かかることもあり、平均でも1か月程度はかかります。

導入設備が機械装置1台といった単純な場合には、交付決定までの時間も短い傾向がありますが、17次公募はオーダーメイド枠ということで、取り組み内容も導入設備も複雑になることから、通常より審査に時間を要することも想定されます。

提出の準備にも時間がかかりますので、補助金交付候補者が発表されたら、速やかに準備にかかることを強くお勧めします。

⑥補助事業実施期間

無事交付決定が下りれば、補助事業を開始することができます。
ここで注意が必要なのが、補助対象設備の「契約」「発注」です。交付決定日よりも前に契約・発注した経費は補助対象とならないため、必ず交付決定後に実施しなければなりません。
機械装置・システムの導入時期について、期限はありません。しかし補助事業完了時には、交付申請書に記した事業計画に基づく設備投資に加え、購入物品等の納品・検収・支払等の事業上必要な手続きが全て完了している必要があります。また2024年12月10日までに補助事業の実施結果を記した実績報告書を事務局に提出しなければなりません。期限までに実績報告書を提出することができなければ、補助金の支払いがなされないため、事業の実施は実績報告書の作成時間を考慮し、計画的に行う必要があります。

以上のことから、設備導入は遅くとも10月納入が望ましいと言えます。

また、実績報告が2024年12月10日厳守と定められている点も注意が必要です。
補助事業完了時には、補助事業の実施結果を記載した「補助事業実績報告書」を作成し、事務局に提出しなければなりません。
これまでの公募回では、交付決定日から10カ月間の補助事業実施期間が設けられていました。しかし17次公募では、補助金交付候補者決定が2024年5月中旬頃の予定となっており、事業実施スケジュールが非常にタイトに設定されています。したがって前述した通り、2024年12月10日の実績報告期限を見据え、余裕を持った補助対象設備の導入と補助事業の実施、実績報告書の作成が必要となります。

⑦確定検査

「実績報告書」の内容に基づき書類を検査し、機械設備等の入手・支払、補助事業の成果等を事務局が確認します。必要に応じて、事務局が事業実施場所を訪問することもあります。

補助対象となる経費は、補助事業期間中に発注から支払までを完了している経費のうち、使用実績があり、補助事業にのみ使用したものが補助対象となります。「補助金交付決定通知書」で認められた経費であっても補助事業以外に支出したものや、機械装置等で補助事業以外の用途と共用した物件は補助対象にならないため、注意が必要です。

実績報告書の内容と確定検査の結果、問題がなければ、ここで事務局より「確定通知書」が通知され、受け取ることができる補助金額が確定します。

⑧補助金の請求

交付額の決定後の補助金の請求は2025年1月31日までに必要書類を事務局に提出する必要があります。期限までに「実績報告書」の提出及び「精算払請求」がされない場合や提出内容に不備がある場合は、補助金の支払いができないため、早めに準備し、必ず期限までに提出しなければなりません。

18次公募では、さらにタイトなスケジュールに

また18次公募においても、補助事業実施の期限が最遅で2024年12月10日となっている点には注意が必要です。

というのも、直近の17次公募では、省力化(オーダーメイド)枠のみの募集しか行われません。製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠での申請を検討している場合、18次公募を活用するしかありませんが、2024年1月25日の現時点では18次締切の公募要領は発表されていません。

「17次締切の公募に応募する事業者は、18次締切の公募には応募できない」となっていることと、補助事業実施期間の期限が2024年12月10日であることから、18次締切の公募要領は2024年5月中旬頃とされている補助金交付候補者決定(従来の採択発表)よりは、前になると予想できます。これまでの公募と同様に、公募発表から申請締切までが2か月、交付候補者決定までに1か月半、交付申請から決定までに1か月かかるとすると、18次公募では交付決定から設備導入までの期間が17次公募以上にかなりタイトなスケジュールになることが予想されます。

申請を検討している方は、メーカーや販売業者と相談し、随時進捗状況を確認するなど、綿密なスケジュール調整が必要です。

まとめ

このように、令和5年度補正予算で発表された、ものづくり補助金の17次・18次公募では、これまで以上にスケジュールについての注意が必要になります。特に、導入設備の納期については、メーカーや販売店、システムの構築を外部に依頼する場合は外部SIerとのスケジュール調整、管理が特に重要となります。確実に補助金を受け取るためには、申請前からこれらのスケジュールを押さえておきましょう。
認定支援機関でもある当社では、補助金申請のサポートだけでなく、その後、事業者の方が確実に補助事業を実施し、補助金を受け取ることができるよう、サポートを行っています。補助金申請や、その後の手続きが心配な事業者の方は、ぜひ一度ご相談ください。
著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社