ものづくり補助金17次公募の加点・減点について徹底解説!

2024/01/30

ものづくり補助金17次公募はじめに

本記事では、ものづくり補助金17次公募の加点・減点項目について解説します。ものづくり補助金17次公募では、これまでとは異なっている部分も多々ありますので、よく内容を確認した上で申請を行うようにしましょう。

ものづくり補助金17次公募の加点とは

補助金の審査では、複数の審査員が審査項目に対して点数をつけ、その点数によって、採択・不採択が決定します。項目に対しての点数配分などは公表されていませんが、「補助対象事業としての適格性」「技術面」「事業化面」「政策面」「大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(上限額引上の特例のみ)」が審査項目になります。

加点とは、公募要領に記載されている加点項目に関して、事務局が設定している審査基準をクリアすることにより、上述した審査項目の点数に、点数が加算されることを指します。加点が多ければ、それだけ採択される可能性が高まります。

ものづくり補助金のデータポータルサイトで発表されている、これまでの申請及び採択状況のデータを見ると、加点が5個の箇所において採択率が下がってはいるものの、基本的に加点数が多ければ多いほど採択率も上がっています。
最新回16次公募の採択率を見ると、加点項目が0個の事業者では採択率が33.4%と、全体の採択率48.8%と比べて、大きく下回っていることが分かります。このことから、できれば2個以上の加点は取得できるよう、準備を進めていきたいものです。

ものづくり補助金17次公募での加点申請は最大6項目

それぞれの内容は、下記項目で詳しく解説していきますが、ここに含まれる18個の加点項目に対して、最大6個まで加点申請できます。内容を確認しながら、自社でも取得、申請できる加点項目がないか、確認してみましょう。

ものづくり補助金17次公募成長性加点とは

成長性加点とは、将来を見据え自社の成長を実現するために努力し、経営計画を策定している事業者であると認定されている場合に加点される項目です。具体的には有効な期間の「経営革新計画」を都道府県担当部局等に申請し、すでに都道府県知事の承認を得ている事業者のことを指します。

経営革新計画が承認されるためには、3年から5年の事業期間終了時において、「付加価値額」または「一人当たりの付加価値額」の伸び率が年率3%以上、「給与支給総額」の伸び率が1.5%以上向上している必要があります。

経営革新計画が承認されると、都道府県から様々なサポートや支援策が受けられます。しかしながら、申請から取得まで数ヶ月を要するうえ、取得も簡単ではありませんので事前準備をしっかりと行っておきます。

ものづくり補助金17次公募政策加点とは

政策加点は、国の政策に沿う取り組みを行う事業者に対して加点される項目です。政策加点を通して国は、ともに政策を推進してくれる企業を応援します。

また政策加点があることによって、企業は難易度が低い項目に積極的にチャレンジができ、より多くの加点を達成できるように配慮されています。政策加点には以下の項目があります。
創業・第二創業後間もない事業者
この項目では創業間もない事業者である場合に加点されます。会社設立年月日または代表取締役の就任日が応募締切日から5年以内であることが条件です。また第二創業とはM&Aや事業継承などで経営者が変わった場合を言います。

添付する履歴事項全部証明書や開業届(個人事業主の場合)で確認されます。
パートナーシップ構築宣言を行っている事業者
パートナーシップ構築宣言は、大企業と中小企業がともに成長していけるような持続可能な関係を構築できるようにする目的で、2020年5月にその仕組みが関係閣僚等により創設されました。

具体的にはサプライチェーン全体としての共存共栄、およびそれらの規模や系列の枠を超えた新たな連携を目指し、親事業者と下請事業者の適切な取引慣行を遵守することを宣言するものです。

発注者側の立場から、企業の代表者名でパートナーシップを構築することを宣言し、自社の取り組みの「見える化」に協力します。パートナーシップ構築宣言を行う場合は「パートナーシップ構築宣言ポータルサイト」より手続きを行います。

不備等がなければ数日程度で登録が完了し、その後ポータルサイトに企業名が公表されます。申請はとても簡単で数十分程度で行えますので、積極的に登録申請を行うことをおすすめします。
再生事業者
再生事業者に該当する場合はそれだけで加点されます。ものづくり補助金における再生事業者は、中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受けており、以下のいずれかに該当するものと定義づけられています。
上記に該当する事業者は申請を行うだけで加点対象となります。DX認定事業者
DX認定事業者とはDX認定制度により認定された事業者のことを指します。

DX認定制度はデジタル技術による社会変革を行う経営者に求められる事項をまとめた「デジタルガバナンスコード」に対応していると国に認められた場合に認定される制度です。IPA情報処理推進機構でWeb申請することができ、申請から認定取得までおよそ60営業日の審査期間とされています。

認定された事業者は、DX推進ポータルで公表されます。これにより、「当該事業者はDX推進事業を行うだけの準備が整っている」と認められることになり、こういった場合に加点対象となります。
サイバーセキュリティお助けサービス利用事業者
こちらの項目は「独立行政法人情報処理推進機構=IPA」が提供する「サイバーセキュリティお助け隊サービス制度」を利用している事業者に加点される項目となります。申請にはサイバーセキュリティお助け隊サービス制度の契約書、及び利用申込書の写しが必要となります。
健康経営優良法人認定
健康経営優良法人とは、健康経営への積極的な取り組み及び実践を行っていると認定された企業のことです。企業が従業員への健康管理も経営の一環として捉え課題に取り組むことで、業績を底上げし企業全体のパフォーマンス向上を目指していきます。

健康管理は従来企業内において、個個人で行うものとの認識がありましたが、経済産業省が「従業員の健康保持が将来的に収益性等を高める投資である」と位置付け、健康経営の考え方が示されました。

中小企業では主に、健康保険組合連合会等が実施している健康宣言事業に参加し、その後日本健康会議認定事務局へ申請することで、健康経営優良法人認定審査を受けられます。
技術情報管理認証制度の認証取得事業者
こちらの項目では技術情報管理認証制度の認証を取得している事業者が加点対象となります。技術情報管理認証制度は、国の認証を受けた機関が国の策定した基準に基づいて当該企業を審査、及び認証を行う制度です。

技術情報管理認証制度の認証を取得することで企業としての信頼度が向上し、また日本政策金融公庫から特別融資などの支援を受けられるようになります。申請は国認定の認証機関に申し込みを行うことで審査を受けられます。

認証取得までには早くても1、2ヶ月を要し、また数十万円程度の費用も必要となりますので事前によく確認しておきます。
J-Startup/J-Startup地域版認定事業者
経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラムである「J-Startup」及び「J-Startup地域版」において、認定された事業者が加算対象となります。「J-Startup」は大企業の新事業担当者等の外部有識者が推薦する「潜在力を秘めた企業」に対して、集中的に支援を行う育成プログラムのことです。

この育成プログラムから、世界で戦える企業を生み出すことが目的です。そしてさらに、J-Startupプログラムを日本全国各地域へ展開しJ-Startup地域事務局を各地に置くことで、地域に根差した有望スタートアップ企業の選定を行っていきます。これが「J-Startup地域版」です。

いずれも募集が開始されれば、J-Startupポータルサイトなどからお知らせがあり、指定のWebサイトより登録申請することで審査を受けられます。しかしながら、募集は不定期のうえ審査にも一定期間かかるため、ものづくり補助金の加点目的で応募する場合はタイミングも考慮する必要があります。
グリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている事業者
この項目は、取引先企業が「グリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている事業者」である場合にのみ加点されます。
J-クレジット制度を活用している事業者
J-クレジット制度とは、例えば自社で省エネルギー設備を導入したり再生可能エネルギーを利用したりして、CO2(二酸化炭素)の削減ができた量(値)等をクレジットとして国が認証する制度のことを言います。

つまり実際に削減できたCO2の削減量を成果とし、削減量に応じてクレジット化することで売買ができるようにしたものです。こういったJ-クレジット制度を活用している事業者は、この項目が加点対象となります。
GXリーグに参画している事業者
GXとはグリーントランスフォーメーションの略で、温室効果ガスを発生させる化石燃料の依存から脱却し、太陽光や風力などのクリーンなエネルギーへと経済社会全体を移行させようとする取り組みのことです。

そしてこの取り組みから新たな市場創出へとつなげるための「実践と議論の場」として位置付けられたのが「GXリーグ」です。2050年までのカーボンニュートラルを目指します。このGXリーグに参画している事業者が当項目の加点対象となります。
カーボンフットプリント(CFP)を算定している事業者
カーボンフットプリント(CFP)とは、原材料の調達から、生産、流通、使用、廃棄までのいわゆる商品のライフサイクルにおいて、各プロセスで排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品にその値を表示することを言います。

事業者が消費者にCO2の削減量を「見える化」することで、消費者がより低炭素でエコノミーな消費生活を意識することを目指します。このようなカーボンフットプリント(CFP)を算定している事業者が当項目では加点対象となります。

災害等加点

災害等加点の項目では「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」と指定されています。「事業継続力強化計画=BCP」とは、自社が被災したり緊急事態に遭遇したりした場合において、事業資産の損害を最小限に食い止めながらも早期復旧を行えるような計画を事前に立案しておくことを言います。

BCPの認定を取得すると、ものづくり補助金の加点対象となる以外にも、金融支援や税制措置などさまざまな支援が受けられるようになります。作成自体はそれほど難しいものではないため1日程度あれば作成できますが、BCPは審査から承認までおよそ2ヶ月程度かかるため、加点として申請するためには、計画的に準備する必要があります。

事業継続力強化計画

ものづくり補助金17次公募賃上げ加点等とは

ものづくり補助金の基本要件は「付加価値額」「給与支給総額」「事業場内最低賃金」の3つです。いずれも従業員の賃上げにつながる取り組みを行うことが目的ですので、賃上げは必須です。こういったことから基本要件よりも高い水準を計画できる場合には加点対象となります。賃上げ加点
ものづくり補助金では、基本要件として、給与支給総額が年平均成長率1.5%以上増加する計画を策定する必要がありますが、賃上げ加点では、それを上回る計画を策定し、実行していくことで、加点を申請することができます。
また、事業場内最低賃金を毎年3月時点で、地域別最低賃金より+50円以上の水準を満たした上で、毎年+50円以上ずつ増加させる必要があります。

3%と6%では、6%の方が、加点される点数としては高くなります。しかし、この賃上げ加点に関して、前回の公募までは、結果的に達成できなかったとしてもペナルティがありませんでしたが、ものづくり補助金17次公募より、加点を受けた上で採択された上で達成できなかった場合には、ペナルティが実施されると公表されています。

2024年1月24日に更新された公募要領では、賃上げ加点について、事業化状況報告において未達が報告された場合は、当該報告を受けてから18か月、当補助金の次回公募及び中小企業庁が所管する他補助金*への申請において、正当な理由が認められない限り大幅に減点するとあります。
*ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、サービス等生産性向上IT導入支援事業、小規模事業者持続化補助金、事業承継・引継ぎ補助金、成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)、事業再構築補助金(中小企業省力化投資補助事業を含む)
加点として申請する時には、確実に目標を達成できることを見込んで、慎重に行いましょう。被用者保険
2022年10月からパート・アルバイトなどの短時間労働者の社会保険加入が、従業員数等に応じて段階的に義務化されています。22年10月から従業員数101人以上、24年10月から従業員数51人以上の事業所と段階的に義務化されていっていますが、被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、加点の対象となります。

ものづくり補助金17次公募女性活躍等の推進の取り組み加点とは

女性活躍等の推進の取り組み加点では「えるぼし認定」や「くるみん認定」を受けている事業者が加点対象となります。
えるぼし加点
えるぼし加点は以下に当てはまる事業者が加点対象となります。
えるぼし認定は職場環境において、女性の活躍推進に関して積極的な取り組みを行い、一定の基準を満たした優良企業であると評価された場合に認定されます。ちなみに「えるぼし」は一般公募により決定され「星のように輝く女性へのエール」という願いが込められています。くるみん加点
くるみん加点は以下に当てはまる事業者が加点対象となります。
くるみん認定は職場環境において、従業員の子育てに関して積極的な取り組みを行い、子育てサポート企業として一定の基準を満たしていると評価された場合に認定されます。ちなみに「くるみん」は一般公募により決定され、赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で子供の育成に取り組もう、という意味が込められています。

ものづくり補助金17次公募減点項目について

ものづくり補助金17次公募では、以下に該当する場合は減点対象となります。
どちらも、過去にものづくり補助金の交付決定を受けている事業者に関する減点項目となります。該当する場合は、より多くの加点の申請することで、減点分をカバーして採択に近づくことができるでしょう。

まとめ

本記事では、ものづくり補助金17次公募の加点・減点項目について解説しました。

データを見てもわかるように、加点項目は採択率にも影響するため、申請できる加点項目があれば、積極的に活用すべきです。しかし、それぞれの加点項目は、申請する時点で取得・認定されている必要があり、取得や認定に時間がかかる項目もあります。自社で活用できる加点項目がないか、早めに検討した上で、準備を進めていきましょう。
著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社