第一回 ものづくり補助金グリーン枠における「炭素生産性」について

2023/02/28
第10次公募のものづくり補助金から「グリーン枠」が追加されました。これは、脱炭素に関わる事業に取り組む事業者に対して、通常よりも補助金額を増額して支援するという枠組みです。
脱炭素とは、地球温暖化の原因となる代表的な温室効果ガスである二酸化炭素の排出量をゼロにしようという取り組みのことです。地球温暖化の加速を受けて、日本では、2021年6月に策定された「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定され、世界全体でも2050年に向けて各国が具体的な指標を定め脱炭素社会に向けた取り組みが推進されています。

グリーン枠申請のための炭素生産性向上

「グリーン枠」の申請要件として、
1)次の①又は②に該当する事業であること

①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発

②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善
が挙げられ、3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であることに該当することが必須となっています。
 それに加えて、
①エネルギーの種類別に使用量を毎月整理している。また、補助対象の事業者あるいは事業所のCO2の年間排出量を把握している。
②事業所の電気、燃料の使用量を用途別に把握している。
このいずれかを満たさなくてはなりません。
本記事では、②の炭素生産性向上について述べていきます。

炭素生産性とは

炭素生産性とは、温室効果ガス排出量当たりの国内総生産(GDP)と定義されます。
炭素生産性は、値が大きいほど経済活動が低炭素型だとされます。2021年時点の日本は5.15(ドル/キロCO2)で、OECD加盟38カ国中32位と低迷しています。主要7カ国(G7)では5位です。過去を振り返ると2000年を境に我が国の炭素生産性は悪化する傾向にあります。これを根拠に、我が国でのさらなる地球温暖化対策の必要性を訴える声もしばしば聞かれます。
炭素生産性は、ものづくり補助金の様式3「炭素生産性向上の取組及び温室効果ガス排出削減等の取組状況」によると、下記の計算式で求めることができます。
炭素生産性:付加価値額÷CO2排出量
付加価値額は営業利益+人件費+減価償却費で、それをCO2排出量(t/CO2)で割った数値が炭素生産性です。これにより、自社事業で付加価値額を上げるために、CO2をどれだけ排出したのかがわかります。
また、CO2排出量の求め方は、電気や都市ガス、その他燃料(灯油や経由等)の使用量に「排出係数」(一定数のエネルギーを供給するためにどの程度のCO2を排出しているかを示す指標)をかけ合わせて、二酸化炭素排出量に換算します。
以上の方法を用いて、ものづくり補助金の「グリーン枠」での事業計画書の中で、炭素生産性を示す必要があります。
具体的には、生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資や、水素・アンモニアを活用する設備導入による燃焼工程と生産プロセスの最適化、複数ラインの作業工程を集約・高効率化等が挙げられます。
さらに、様式3を用いて、事業場単位での炭素生産性を年率平均1%以上増加させる具体的な計画内容と、これまでに自社で実施した温室効果ガス排出削減 の取組内容の有無やその効果等の内容を、具体的かつ詳細に記載しなくてはなりません。

「グリーン枠」の審査項目として、とても重要な項目となっております。ものづくり補助金の「グリーン枠」で申請においてお困りでしたら認定支援機関にご相談ください。
炭素生産性とは、温室効果ガス排出量当たりの国内総生産(GDP)と定義されます。経済協力開発機構(OECD)の「グリーン成長指標2017」によると、現在のわが国の炭素生産性はOECD平均とほぼ同水準ですが、過去を振り返ると2000年を境に我が国の炭素生産性は悪化する傾向にあります。これを根拠に、我が国でのさらなる地球温暖化対策の必要性を訴える声もしばしば聞かれます。

炭素生産性は、ものづくり補助金の様式2「炭素生産性向上の取組及び温室効果ガス排出削減等の取組状況」によると、下記の計算式で炭素生産性を求めることができます。
著者

小林 卓矢

シェアビジョン株式会社代表取締役