令和6年度補正予算案閣議決定!ものづくり補助金の拡充、新たな補助金が創出

2024/12/05

この記事のポイント

※2024年12月13日更新 中小企業庁のHPに令和6年度中小企業・小規模事業者向け補正予算(案)が掲載されました。

≪参考≫中小企業庁HP 令和6年度中小企業・小規模事業者向け補正予算(案)

令和6年度補正予算のポイント

2024年11月29日、政府は新たな経済対策「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」の財源の裏付けとなる令和6年度補正予算を閣議決定しました。

令和5年度補正予算に基づくものづくり補助金は18次公募で終了し、19次以降の継続が不確定でしたが、ものづくり補助金の実施も明記されました。

他にも、事業再構築補助金の後継となる補助金「新事業進出補助金(仮称)」や、売上高100億円超を目指す中小企業の設備投資やM&A等の多様な経営課題に対する補助金「中小企業成長加速化補助金(仮称)」など、新たな支援が展開されるという声もあります。

⇒2024年12月6日更新
中小企業庁の「中小企業・小規模事業者等関連予算」にて、「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」として新しい補助金の実施が公表されました。


この記事では、この閣議決定を受けて、ものづくり補助金などの来年度に中小企業が活用できる補助金を中心に、ポイントをお伝えします。

国民の暮らしが豊かになったと感じるためには、現在や将来の賃金・所得が増えていくことが必要あるとして、経済対策として三つの柱が掲げられました。

一般会計補正予算の経済対策関連経費は次の通りです。

このうち、4.4兆円が経済産業省に割り当てられました。3つの経済対策における予算規模や概要は次の通りです。

※国庫債務負担行為による複数年度分含めると、4.9 兆円(うち GX:0.7 兆円)具体的に中小企業が活用できる補助金関連の予算は、以下の項目から読み取ることができます。

中小企業支援のための予算項目① 中小企業生産性革命推進事業

1. 日本経済・地方経済の成長
(1) 賃上げ環境の整備
① 中小企業生産性革命推進事業【3,400 億円】
物価高や最低賃金引上げへの対応、中小企業における持続的な賃上げの実現のためには、稼ぐ力を強化することが必要。そこで、革新的な製品・サービスの開発やデジタル化、販路開拓、事業承継・M&A を加速するため、ものづくり補助金、IT 導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・M&A補助金によって、中小企業・小規模事業者の生産性向上を実現する。
また、売上高 100 億円を目指す成長志向の中小企業・小規模事業者の成長投資をハード・ソフトの両面で支援する。
ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・M&A補助金(事業承継・引継ぎ補助金の名称が変更)で構成されている事業への予算計上です。
物価高や最低賃金引上げへの対応、中小企業における持続的な賃上げの実現のためには、稼ぐ力を強化することが必要とし、多くの予算が割り当てられました。

中小企業生産性革命推進事業の令和6年度補正予算として、令和5年度補正予算2,000億円から1,400億円増となる3,400億円が計上されていることから、政府も力を入れていることが分かります。
各補助金の補助上限・枠・要件は前回より見直しされる見通しで、使い勝手がよく政策効果の高い支援制度となることが目指されます。
特に、12月6日に中小企業庁が発表した資料「令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)」によると、ものづくり補助金とIT導入補助金にて最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率をが従来の1/2から2/3に引上げられると公表されました。

他に、ものづくり補助金では製品・サービス高付加価値化枠の従業員区分21人以上の中小企業は補助上限が引き上げられ、賃上げ要件や運用が見直されます。
IT導入補助金では、セキュリティ枠の補助上限引き上げ、要件見直し、汎用ツール・導入後支援の補助対象化が主な変更点です。
小規模事業者持続化補助金では、経営計画の策定に重点化し、通常枠や創業枠などへの枠の整理、制度の簡素化が図られます。
事業承継・M&A補助金では、PMI(M&A後の統合プロセス)推進枠の創設、早期承継促進のための枠の再編、M&Aトラブル防止に向けたDD(デューデリジェンス:買収監査)費用の支援拡充・100億円企業創出を加速化させるための補助上限引き上げが行われる予定です。
さらなる詳細は、公募要領の発表を待つ必要がありそうです。

中小企業生産性革命推進事業の令和6年度補正予算として、令和5年度補正予算2,000億円から1,400億円増となる3,400億円が計上されていることから、政府も力を入れていることが分かります。

中小企業支援のための予算項目② 大規模成長投資補助金

1. 日本経済・地方経済の成長
(1) 賃上げ環境の整備
② 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
【1,400 億円、国庫債務負担行為を含め 3,000 億円規模】
地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応し、成長していくことを目指して行う大規模投資等を促進することで、地方においても持続的な賃上げを実現する。
3年総額3,000億円の予算で実施されている補助金で、2024年は2回の公募が実施された大規模成長投資補助金の予算計上です。工場などの拠点新設や大規模な設備導入等、10億円以上の設備投資を考えている事業者にとっては、大きな支援が受けられるチャンスになります。

中小企業支援のための予算項目③ 省エネ補助金

二番目の柱として挙げられている「2.物価高の克服」の中では、「(2)エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現」として2,724億円が割り当てられ、以下が発表されています。

2.物価高の克服
(2) エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現
① 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金【300 億円、国庫債務負担行為を含め 2,000 億円規模】(GX)
② 省エネルギー投資促進支援事業費補助金
【300 億円、国庫債務負担行為を含め 350 億円規模】
省エネ性能の高い設備への更新に係る費用を補助する「省エネ補助金」。企業の複数年の投資計画に対応する形で支援を実施し、中小企業等の省エネ機器等への更なる投資拡大を促す。
国際的にも地球温暖化への対策が求められる昨今、省エネ関連も政府が力を入れている政策の一つです。省エネ性能の高い設備への更新に係る費用を補助する省エネ補助金への予算計上です。

SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、登録されている指定設備の導入ができる「省エネ補助金(Ⅲ 設備単位型)」が含まれる②省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、令和5年度補正予算より50億円増となっています。

新たな補助金が創設

また、中小企業生産性革命推進事業には既存の4つの補助金に加え、新たな補助金が創設されることが内々で噂されていましたが、ついに中小企業関連予算にて公表されました。
売上高100億円を目指す中小企業への設備投資支援や、中小機構によるM&A・海外展開・人材育成等といった多様な経営課題に対して支援する「中小企業成長加速化補助金」が新たに創設されました。
予算については、3,400億円の内数である1,000億円が予算として計上されるとの噂でしたが、今回発表された中小企業等関連予算では公表されませんでした。

他に、新しい補助金として事業再構築補助金の後継となる「新事業進出補助金」が創設されました。事業再構築補助金は13回公募については告知されておらず令和5年度補正予算にて「必要な見直しを行う」と言われ、省力化投資補助金に予算が再編されました。
しかしながら、中小企業の成長につながる新事業進出・構造転換への投資に重点支援する新たな支援措置として、既存基金から1,500億円が計上されました。
建物費や機械装置費などが補助対象経費にあるなど、要件や補助対象経費は、従来の事業再構築補助金とおおよそ同様である可能性が高いといえます。

まとめ

これらの補正予算案は11月28日からの臨時国会で審議され、政府では会期中(12月21日)での成立を目指しています。

閣議決定した補正予算情報に加え、中小企業・小規模事業者等関連予算にて、事業再構築補助金の後継となる新たな補助金の登場や、売上高100億円の企業を目指す新補助金が登場。
現在実施されている省力化投資補助金はオーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援が新設され、カタログ型式の運用改善など、全方位型の省力化投資支援へと従来の既存基金の活用が見直されます。

予算成立後、それぞれの補助金についての詳細が発表されていきますので、詳細が分かり次第、またこのブログでもお知らせしていきます。

著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社