令和5年の公募要領(16次締切)では「革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援する」と書かれていましたが、令和5年度補正予算(17次締切)からは「改善」にかわって「省力化」という単語が用いられています。
2023年度補正予算のものづくり補助金において、中小企業庁から公開された変更点は大きく以下の通りです。
「省力化(オーダーメイド)枠」、「製品・サービス高付加価値化枠」等の新設
大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例の拡充
その他(口頭審査の実施等)
①「省力化(オーダーメイド)枠」、「製品・サービス高付加価値化枠」等の新設
令和5年度補正予算では、生産プロセス等の省力化を進めるべく、「省力化(オーダーメイド)枠」が新設されました。また、従来の枠が見直され、「製品・サービス高付加価値化枠(通常類型・成長分野進出類型<DX・GX>)」、「グローバル枠」に整理統合されました。
従来の申請枠 | 令和5年度補正予算における申請枠 |
---|---|
・通常枠 | ・省力化(オーダーメイド)枠 |
・「省力化(オーダーメイド)枠」とは?
令和5年度補正予算において新たに設けられた「省力化(オーダーメイド)枠」は、人手不足の解消を大きな目的としています。デジタル技術等を活用したオーダーメイド設備を導入することで、生産プロセスやサービス提供方法を革新的に効率化・高度化するために必要な設備やシステム投資等を支援する補助金制度です。
デジタル技術等を活用したオーダーメイド設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(Sler)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のことをいいます。
・補助上限額・補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
5人以下 | 750万円(1,000万円) | 中小企業1/2※ |
6~20人 | 1,500万円(2,000万円) | |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) | |
51~99人 | 5,000万円(6,500万円) | |
100人以上 | 8,000万円(1億円) |
以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書を策定及び実行すること
事業者全体の付加価値額を年平均成長率+3%以上増加させること
給与支給総額を年平均成長率+1.5%以上増加させること
事業場内最低賃金を毎年地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
3~5年の事業計画に基づき事業を実施していただくとともに、毎年、事業化状況報告を提出いただき、事業成果を確認します。また、基本要件等が未達の場合、補助金返還義務があります。
3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること
※労働生産性は「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」とする3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること
外部Slerを活用する場合、3~5年の事業計画内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSler間で締結することとし、Slerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること ※事業終了後、実績報告時点で確認をします
本事業に係る資金について、金融機関(ファンド等を含む)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出すること
・「製品・サービス高付加価値化枠」とは?
「省力化(オーダーメイド)枠」同様、令和5年度補正予算において新たに設けられた「製品・サービス高付加価値化枠」は、中小企業や小規模事業者が付加価値の高い革新的な製品・サービスの開発に取り組むために必要な設備投資等を支援する補助金制度です。
今後成長が見込まれる分野(DX・GX)は成長分野進出類型とし、通常類型よりも補助上限額・補助率において重点的に支援します。また、コロナからの回復を図りつつ、最低賃金の引き上げにも取り組む事業者を通常類型よりも補助率を引き上げて支援します。
・補助上限額・補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合
<通常類型>
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 750万円(850万円) | 中小企業1/2 |
6~20人 | 1,000万円(1,250万円) | |
21人以上 | 1,250万円(2,250万円) |
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 1,000万円(1,100万円) | 2/3 |
6~20人 | 1,500万円(1,750万円) | |
21人以上 | 2,500万円(3,500万円) |
以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書を策定及び実行すること
事業者全体の付加価値額を年平均成長率+3%以上増加させること
給与支給総額を年平均成長率+1.5%以上増加させること
事業場内最低賃金を毎年地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
3~5年の事業計画に基づき事業を実施していただくとともに、毎年、事業化状況報告を提出いただき、事業成果を確認します。また、基本要件等が未達の場合、補助金返還義務があります。
・「グローバル枠」とは?
「グローバル枠とは、海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」または「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援する補助金制度です。
・補助上限額・補助率 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
5人以下 | 3,000万円(3,100万円) | 中小企業1/2 |
6~20人 | 3,000万円(3,250万円) | |
21人以上 | 3,000万円(4,000万円) |
以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画書を策定及び実行すること
事業者全体の付加価値額を年平均成長率+3%以上増加させること
給与支給総額を年平均成長率+1.5%以上増加させること
事業場内最低賃金を毎年地域別最低賃金+30円以上の水準とすること
3~5年の事業計画に基づき事業を実施していただくとともに、毎年、事業化状況報告を提出いただき、事業成果を確認します。また、基本要件等が未達の場合、補助金返還義務があります。
②大幅賃上げに係る補助上限額引き上げ特例の拡充
・基本要件との比較
要件 | 基本要件 | 大幅な賃上げに取り組む事業者 |
---|---|---|
付加価値額 | 年平均成長率3%以上増加 | 同左 |
給与支給総額 | 年平均成長率1.5%以上増加 | 年平均成長率6%以上増加 |
最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以上の水準とする | 毎年地域別最低賃金+50円以上の水準を満たすとともに、事業場内最低賃金を毎年年額+50円以上増額 |
※各申請枠の補助上限引き上げ額は、上記の各申請枠の補助上限額のカッコ内に記載
③その他
これまで口頭審査はなく、基本的に申請書類と事業計画書による審査で採択が決定していました。しかし、第17次締切以降から、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者を対象に、オンラインで口頭審査が実施されます。口頭審査は、事務局が指定のうえ、申請者にご連絡します。日時の変更やご希望は承りかねますのでご了承ください。
2.補助事業は令和6年12月10日まで
令和5年度補正予算に基づく公募は、2回程度実施予定です。補助事業実施期間は、いずれの公募回においても令和6年12月10日までに実績報告を完了する必要があります。延長はできませんのでご注意ください。さらに、実績報告後に修正を依頼される場合もありますが、その内容が事務局により確認後確定し、請求を行う期日も令和7年1月31日までと決まっております。そのため、事務対応は早々に準備をしておくことが必要です。
また、ものづくり補助金の事前準備から事業完了までのスケジュールは以下の通りです。
ものづくり補助金の「製品・サービス高付加価値化枠」で交付決定を受けた中小企業等に対し、昨今の景気変動、産業向上の変化その他の経済上の理由により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた中小事業主等が生産性向上等に必要な新たな人材を雇入れた場合に、当該事業主に対し、当該人材に係る賃金の一部を助成する「産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)」との連携を実施します。
<17次締切の申請スケジュール>
17次締切の申請締切日は、2024年3月1日(金)17:00までとなっています。※時間厳守
日程 | |
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公募開始日 | 2023年12月27日(水)17:00~ |
電子申請受付日 | 2024年2月13日(火)17:00~ |
申請締切日 | 2024年3月1日(金)17:00まで【厳守】 |
口頭審査期間 | 2024年4月1日(月)~2024年4月12日(金) |
補助金交付候補者決定 | 2024年5月中旬頃予定 |
応募者数が少なければ、採択される確率は高くなることが考えられますので、ものづくり補助金の「省力化(オーダーメイド)枠」での申請を検討されている方は、認定経営革新等支援機関に一度ご相談ください。
ものづくり補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。