ものづくり補助金における15次締切の採択結果について

2023/10/23

 今回は、ものづくり補助金15次締切の採択結果について、説明します。

 

 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の15次締切につきましては、令和5年4月19日から令和5年7月28日までの期間において公募を行ったところ、全国で5,694者からの申請がありました。全国採択審査委員会において厳正な審査を行った結果、このうち、2,861者が採択され、採択率は50.2%でした。各申請枠の応募件数と採択件数、採択率は以下の通りです。


15次締切における申請者数、採択者数

 計5つの申請枠のうち、通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠の3つの申請枠が50%前後という採択率となりました。14次では採択率54.9%となっていたグリーン枠は、15次では採択率40.0%と大きく低下しました。グローバル市場開拓枠も14次に引き続き30%台と低い採択率であることから、どの枠で申請するのか十分な検討が必要です。

これまでの申請件数・採択率は?

 過去から直近までの採択率の推移は以下のとおりです。
【申請件数の推移】
 申請者数は1次から4次まで増え続け、4次では1万件を超えました。その後は3,000~6,000件で推移しています。採択率は、平均して40~60%で推移しているが、最近はグラフからも分かるとおり、年々採択率は減少傾向にあります。

採択率の高い業種は?

【申請者の業種】
 ものづくり補助金の申請者の業種別の採択率は、製造業が59.8%と最も高く、次に学問研究専門技術サービス業が53.7%、建設業が50.2%と続いています。

 製造業は、新規商品を開発する機械や自動化をすすめる機械を導入することが多く、補助金の目的との相性がよいためと考えられます。
 一方で、情報通信業や卸売り・小売業の採択率は全体の採択率と比較して低くなっており、採択率の高い製造業や建設業と比較すると約10%低い採択率となっています。これらの業種は、「新商品を開発する」といったわかりやすい新規事業をすることはあまりないため、事業計画書で革新性を示すことが難しいことが採択率が低い要因として挙げられます。

ものづくり補助金における「加点項目」とは?

 「加点項目」とは、公募要領に記載のある項目の基準を達成することにより、審査時に加点をもらうことのできる制度です。項目は大きく分けると、成長性加点、政策加点、災害等加点、賃上げ加点等、女性活躍等の推進の取組加点の5種類があります。申請する際に追加書類を提出することで、加点をもらうことができ、加点項目が増えるほど採択率は高まります。
 加点項目数と採択率は以下のとおりです。
【加点項目の数】
 グラフから分かる通り、加点項目が0個の場合の採択率は34.4%ですが、2個の場合は全体の採択率よりも高い54.9%に上昇し、6個以上達成すれば採択率は74.3%にまで高まります。なお、最大6項目の加点が可能であり、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠の海外市場開拓(JAPANブランド)類型には、それぞれ専用の加点項目があり、基本の加点項目に追加して加点を受けることができます。申請時には加点項目まで考慮すると良いでしょう。

 加点項目に関して注意すべきなのは、申請日の時点で要件を満たすことです。例えば、成長性加点で必要な「経営革新計画」は、行政庁に提出するだけでは加点にはならず、申請時点で計画の承認を得ている必要があります。承認まで相当の時間を要しますので、ものづくり補助金の申請直前に経営革新計画を提出しても間に合いません。そのため、余裕を持ったスケジュールで取り組みましょう。


 この記事では、ものづくり補助金15次締切の採択結果、採択率の推移、加点項目について説明しました。事業再構築補助金の申請を検討されている方は、一度認定支援機関にご相談ください。
著者

小林 卓矢

シェアビジョン株式会社代表取締役