事業再構築補助金 小売業が申請する場合の注意点

2022/04/26
小売業の方で事業再構築補助金を検討している方も多いかと思います。特に実店舗を中心に事業展開している方は、コロナ禍で非対面が推奨されている状況では、苦しい戦いを強いられているかと思います。
そこで、小売業で事業再構築補助金を活用する場合の採択例や注意点について解説します。

最も代表的な事業再構築補助金の採択事例は、ECサイトの構築です。 
小売業の事業再構築では最も多い業態の一つと言えるでしょう。 
事業再構築補助金ではECサイトの構築も補助対象となっています。 

ただし、製造方法の新規性要件においては「過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと」があります。 
これは例えば、衣料品販売店を経営する企業が、既に行っているネット販売事業を拡大する場合や、従来の商品を単に既存のECサイトを用いて販売網を拡大するなど、新たな設備投資を伴わない場合は該当しません。 
その一方で、現在試行的に運営しているECサイトを拡張する場合や、従来ECプラットフォームサービスを利用していたが、これに替えて自社独自のECサイトを立ち上げる場合は、新たな機能をECサイトに導入することなどによって、過去の販売方法とは異なる販売方法と説明できれば、要件を満たし得ると考えられます。 

次に、小売業が事業再構築補助金を有効活用するためのポイントを解説します。 
ポイントの1つは、経費として申請できる「補助事業対象経費」であるかをしっかりと見極め、活用することです。 

たとえば、広告宣伝・販売促進費も対象となります。 
具体的には補助事業に関わるパンフレット、写真、動画等の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツールの活用等に関わる経費のことです。これまで行っていた事業とは別の方向に舵を切るため、新たな顧客獲得に向けた取組みを盛り込むと良いでしょう。 

さらに、システム構築費の活用も有用です。 
予約管理システム、EC構築費用、業務改善ツールの導入など事業再構築に係わるシステム費用は軒並み対象になる可能性が高いです。
「システムが高額だったため、システム導入が進んでいない」「アナログな部分が多く、非効率な業務が多い」「ECによる販路拡大をしたい」という方は是非、検討してみてください。 

その一方で、例えば、乗用車、事務所、パソコンなどの情報端末、従業員の給与、製品の原材料など、既存の事業でも併用できるものは補助の対象外で経費にできませんのでご注意ください。 
著者

船着 貴弘

シェアビジョン株式会社取締役