予想!【2025年度新補助金】新事業進出補助金のスケジュールは?複数回公募の可能性も

2024/12/13
この記事のポイント
本記事は、これまでの事業再構築補助金や中小企業庁の発表をもとにシェアビジョン株式会社が予想をもとにまとめたものになります。当社ブログの見解に従った結果、不利益があった場合としも、当社は責任を負いかねます。また、本ページの情報や見解は、予告なしに変更することがあります。

はじめに

2024年12月6日に中小企業庁HPにて令和6年度補正予算案の一部として、新事業進出補助金(中小企業事業進出促進補助金)の情報が公開されました。

ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するため、2021年3月から始まり、最大補助金額が1.5億円と大規模な補助金が受け取れる可能性があった事業再構築補助金の後継としても注目されています。「事業再構築補助金13回公募があるのでは」という予想もありましたが、事業再構築補助金は、コロナ対策としての役割を終えつつありました。

そこで、中小企業の企業規模の拡大や付加価値向上によって賃上げにつなげる目的で、新市場・高付加価値への進出を後押しする新事業進出補助金が創設されることになりました。

まだ限られた情報しか公表されていませんが、公募回数やいつ公募期間となるのかのスケジュール、補助対象経費については中小企業や小規模事業者の皆様は気になるところでしょう。この記事では、どのような補助金になるのかの見通しについて説明します。

新事業進出補助金の概要

中小企業庁の「令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)」資料によると、現在、事業概要や大まかな要件、対象経費の情報しか公表されていません。
内容を見ても、事業再構築補助金の特徴であった「新事業」や「新規性」といったキーワードがあり、事業再構築の定義を示す事業再構築指針と似た要件を満たす必要がありそうです。
新事業進出補助金の概要については以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。

新事業進出補助金は、既存基金の活用で複数回実施か

中小企業等事業再構築補助事業は、令和2年度第3次補正予算以降、令和4年度第2次補正予算から累計2兆4,408億円が措置されました。行政が出している、基金の執行状況や残高を把握できる基金シートによると、2023年度見込みで1兆4,554億円が残高となると見込まれていました。
2023年度にて既存基金のうち1,000億円が省力化投資補助金に再編され、1公募あたり約1,000億円分の採択が行われていると考えても、積み増しした残りの基金は十分に残っていると言えます。

事業再構築補助金の後継として創設される新事業進出補助金は、令和6年度補正予算で新たに予算が計上されたわけではなく、上記の既存基金が再編され1,500億円規模で実施されます。

ここ最近の事業再構築補助金の採択率と予算規模から推察すると、複数回の公募が実施されるのではないかと思われます。

新事業進出補助金の公募スケジュールは?

中小企業に人気のある補助金の一つである、ものづくり補助金(中小企業生産性革命推進事業)の17次・18次公募は、単年度での予算に合わせて実施されています。
単年度予算では、補助金支払いまでの全ての補助事業が年度内に終わるようなスケジュール感で行われることとなります。

ものづくり補助金18次公募は、2024年1月31日に公募要領発表、3月27日に申請締切、6月25日に採択発表がありました。以前のものづくり補助金は、交付決定日から10か月以内(または採択発表から12か月以内)に補助事業を完了するよう定められていましたが、17次・18次公募では、補助事業が完了したことを報告する実績報告の提出期限が12月10日と一律に厳格に決められました。

一方で、事業再構築補助金が再編された省力化投資補助金は、令和8年9月末頃まで継続的に実施されます。補助事業実施期間も交付決定日から原則12か月以内となっており、年度内に全ての事業を終わらせるような単年度予算でのスケジュールとは異なります。

2025年に創設される新事業進出補助金は既存基金の活用で実施され、ものづくり補助金のような単年度予算での実施ではないため、年度内に全ての補助事業を完了させる必要がありません。そのため、2025年3月頃に公募の締切が予想されるものづくり補助金19次公募とは、公募スケジュールのタイミングがズレるかもしれません。

また、現在、中小機構にて、『「中小企業新事業進出促進事業」に係る資料提供依頼・意見募集について』が公募されています。この件は、「実際の調達参加時の評価等に影響を与えることはない」とあるものの、今後の事務局の公募に繋がっていくと考えられます。
資料提供依頼・意見募集期間は2024年12月27日となっており、その後、年明けに事務局の公募があるとすると、新事業進出補助金の公募発表についてはまだ少し先になるかもしれません。
令和5年度補正予算で新設された省力化投資補助金を例に挙げると、2024年2月20日に事務局の公募が締め切られ、3月29日に公募要領が公開、6月25日に第1回目の公募開始~7月19日に締め切られた流れになり、新事業進出補助金の第1回目の公募も2025年半ばの公募開始となる可能性もあります。

新事業進出補助金の補助金額や補助率は?

補助金額・補助上限は未だ発表されていませんが、新設する補助金のため、申請枠や補助上限額など大幅に見直しされると考えられます。上述の、中小機構が意見を募った資料によると、事業目的や概要が掲載されています。
これを見ると、事業スキームの「中小企業等」に向かう矢印に「補助(1/2)」とありますが、1/2は補助対象経費に対する補助率を示します。
これまで事業再構築補助金の過去公募回や他補助金で発表されてきた資料によると、「1/2等」や「1/2以下」と「等」が2/3等の補助率、「以下」が1/3等の補助率があることを示していましたが、今回はそれらが無いため、一律1/2の補助率になることが予想できます。

要件や補助対象経費は?

要件は事業再構築補助金の事業再構築指針や要件が概ね使用されるのでは、と想定されます。
事業再構築指針とは、事業再構築の定義を示すもので、新事業進出補助金の「新事業への挑戦」や「既存事業と異なる事業」について示す指針として類似しそうです。
新たな事業として抜粋した要件を紹介します。
①製品等(製品・商品等)の新規性要件
過去に製造等した実績がないこと、定量的に性能又は効能が異なること(定量的に計測できる場合に限る)
過去に製造等していた製品等を再製造することは事業再構築によって新たな製品等を製造しているとは言えません。新規性とは、事業再構築に取り組む中小企業にとっての新規性であり、2020年4月以降に新たに取り組んでいる事業の場合、新規性があるとみなされます。
新事業進出補助金では、いつからが新規性が見込まれるのかなどは定義が変わる可能性もあります。

認められない場合の例
過去に一度製造していた自動車部品と同じ部品を再び製造する場合

②市場の新規性要件
既存事業と新規事業の顧客層が異なること

新たな市場とは、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、性別・年齢、所得、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を意味します。

認められない場合の例
自動車部品を製造する事業者が、取引先の要請に応じてより小型化した部品を製造する事業計画を策定した場合、顧客層が変わらず市場の新規性要件を満たさないと考えられる。

他にも申請枠や類型によって要件が異なりますが、新しい補助金として多くの部分が見直しされることが想定されるため、詳細は補助金の概要や公募の発表を待ちましょう。

補助対象経費に建物費も!

補助対象経費として、機械装置費、ソフトウェア費の他に、建物費が対象となりました。ものづくり補助金だと建物費は対象経費とはしていないため、新築や改修を検討されている事業者は新事業進出補助金が活用できると言えます。
しかし、新築の場合は、賃貸もしくは改修ではなく新築する必要性があると根拠を十分に説明することができなければ必要性が認められないため、採択への難易度は高くなります。

まとめ

既存事業と異なる新しい事業への挑戦を支援する新事業進出補助金。事業再構築補助金の後継として実施されることとなりました。
公募期間や公募回数については、既存基金の活用であることから、ものづくり補助金のような単年度予算に合わせたスケジュールではなく、複数回の公募が実施されると予想できます。
中小機構が事業再構築補助金とは別の新しい事務局を応募する動きとなれば、第1回目の公募開始は6月頃と早くても2025年半ばの実施になる可能性が高いです。
補助金額や詳細の要件については未だ発表されていませんが、新市場への挑戦を検討している事業者にとっては今後人気の補助金になると考えられます。

新設された新事業進出補助金を活用した設備投資を検討されている事業者の方は、ぜひ一度、認定支援機関にご相談ください。
著者

事業再構築補助金編集部