事業再構築補助金13回公募は事業類型が集約!12回との変更点

2025/01/23

この記事のポイント

はじめに

2025年1月10日に事業再構築補助金13回公募の実施が発表され、公募が開始しました。

3月26日締切とタイトなスケジュールでの実施となります。11回公募から12回公募のように、申請枠・事業類型の見直し、基本要件や補助金額、審査の基準となる審査項目の大幅な変更は見られず、ほぼ12回公募の内容が引き継がれて行われるようです。
しかし、前回公募とは異なる点もいくつかありますので、この記事では12回公募との変更点について詳しくお伝えします。

事業再構築補助金13回公募の概要

事業再構築補助金13回公募のスケジュールと事業類型は以下になります。

<事業再構築補助金13回公募のスケジュール>

<事業再構築補助金13回公募の事業類型>
2024年4月23日~7月26日まで公募が実施された12回公募では、事業類型が大幅に見直されました。
12回公募にて、「今なおコロナの影響を受ける事業者への支援及びポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者への支援」を重点化するとして、コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者等への支援である「コロナ回復加速化枠(通常類型)」が創設されました。

13回公募では、本補助が創設当初のコロナ対策の役目を終えたとして「ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者の取組」が重点化されるようです。
そのため、コロナ回復加速化枠は残しつつも、「コロナ回復加速化枠(通常類型)」は13回公募では実施されず、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業再構築の支援として、「コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)」が残る形となります。

また、ポストコロナに対応した、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を促進する「サプライチェーン強靱化枠」は13回公募では見送られました。

それに伴い、事業再生を行う者に対する加点と、サプライチェーン加点に関する記述も削除されています。

具体的なスケジュールや事業類型別補助金額などの概要については、以下の記事を参考にしてみてください。

コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の最低賃金要件の期間が変更

コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)の最低賃金要件を満たす必要があります。特定の期間で3か月以上+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いることが必要ですが、その期間が変更されました。
12回公募「2022年10月から2023年9月までの間に」
13回公募「2023年10月から2024年9月までの間に」

成長分野進出枠(通常類型)の市場拡大・市場縮小要件の留意事項が変更

市場拡大要件の留意事項の以下の記載が削除となりました。
留意事項ウ.
また、「今後」のトレンドを優先した結果、【市場拡大要件】の対象とならないこととなる業種・業態の指定は、以降見直しを行います。

留意事項エ.
小分類ベースで市場規模が10%以上拡大するが、当該小分類に含まれる細分類ベースでは市場規模が10%縮小するというように、より細かい基準で妥当なデータ等が示された場合、対象となる業種・業態の指定は以降見直しを行います
留意事項ウに関しては、
「②過去10年間で市場規模が10%以上拡大し、今後10年間で市場規模が10%以上縮小する場合、【市場拡大要件】及び【市場縮小要件】の両方を満たしますが、その場合「今後」のトレンドを優先します。」に対しての補足説明です。
業種業態の指定について、今後見直しがされないと明記されたことになります。

市場縮小要件の留意事項についても、同様の内容が削除となっています。

補助率引上要件の新事業場での引き上げについて記載追加

成長分野進出枠の通常類型とGX進出類型の場合、補助率引上要件を満たせば、補助率が中小企業だと1/2→2/3へ、中堅企業の場合1/3→1/2に引き上げることができます。
本補助金で事業再構築を新しい事業場で行う場合の引上げ水準について、事業場での水準が決まっていないため、「既存の事業実施場所の事業場内最低賃金の水準をもとに年額45円以上引き上げる」と明記されました。

事前着手制度は完全廃止へ

コロナ影響からの救済措置として新設した事業再構築補助金は、他の補助金と大きく異なる「事前着手制度」というものがありました。
これは、特定の期間から行っている新事業に対して、交付決定前に購入契約(発注)した設備でも承認を受ければ補助対象であると認められる制度です。
補助金は採択しても交付申請を行い、交付決定を受けなければ購入(発注)ができないものが多くあります。
しかし、申請から3か月程度で採択発表、発表から交付決までも2~3か月はかかるため、コロナ影響が深刻な企業にとっては早期の事業再構築を図るための特別措置が取られていました。
12回公募でも原則廃止となっていましたが、10回、11回公募で物価高騰対策・回復再生応援枠もしくは最低賃金枠、10回公募でサプライチェーン強靭化枠に申請し、不採択だった事業者に関しては、12回公募に申請する場合、制度の活用が認められていました。
今回の公募回では経過措置も撤廃され、完全廃止となりました。

補助事業で取得した資産の使用用途について明記

補助事業で取得した資産は、原則、「専ら補助事業に使用」する必要があります。既存事業や補助事業以外で使用すると、目的外使用として事務局に判断され、補助金額を返納しなければなりません。
これに関して、13回の公募要領では、新たに取り組む事業として事業計画書に記載されている事業のみ使用することを指す、と明記されました。
つまり、過去から行っている既存の事業や、事業計画書に記載されている事業とは異なる事業に取得財産を用いる場合には、補助対象経費とは認められません。

加点項目の追加

応募締切日時点で、「成長加速マッチングサービス」に登録している事業者に対する加点が追加されました。
成長加速マッチングサービスとは、2025年3月にリリースされる予定で、事業拡大や新規事業の立ち上げなど、成長志向のある事業者が支援者とつながることができるマッチングプラットフォームサービスです。資金調達を希望する事業者の場合、金融機関とのマッチングに活用することが可能です。他にも、事業承継や経営相談など、支援を希望する事業者の成長を後押しする目的でリリースされます。

マスキング処理は不要に

12回公募から、事業計画書の策定において、客観的な審査を実施すべく、原本と申請者が特定できる事業者名や代表者名はマスキング処理したバージョンも提出する必要がありました。
しかし、13回公募では、引き続き事業内容に直接関係ない申請者・従業員、顧客の顔写真等の掲載は控えるようにされつつ、マスキング処理版の事業計画書の提出は不要となりました。

まとめ

事業再構築補助金は、13回公募の実施有無について未確定だった中で、突如公募が開始されました。
令和6年度補正予算にて事業再構築補助金と似た新事業進出補助金の新設が発表されましたが、給与支給総額の年平均成長率は事業再構築補助金よりも+0.5%の2.5%以上の増加や、事業場内最低賃金の引き上げが基本要件に加えられています。
企業規模の拡大・付加価値向上を通じて賃上げを目的とした補助金のため、要件が事業再構築補助金とは異なるため、現状の制度では、今回の公募でラストチャンスになるかもしれません。

新たに実施したい事業を考えていらっしゃる事業者の方は、事業類型の集約や事前着手制度の廃止などの事業再構築補助金13回公募での変更点を踏まえて本補助金の活用に備えましょう。
公募開始から締切まで2カ月程度の期間が設けられていますが、採択に向けて事業計画の策定や必要書類の準備には、1ヵ月以上かかることも考えられます。余裕を持って事前準備しておくために、認定支援機関などの専門家に早めに相談しておくことをおすすめします。
著者

事業再構築補助金編集部