ここでは、これまでに発表された第1~4回の採択結果と、第6回から変更となる点を踏まえて、第6回の採択率がどうなるかを推察します。
応募件数と採択件数から出した採択率を見ると、以下のように推移しています。初めての補助金で、公募要領の発表から締め切りまでの時間が短かったこともあり、第1回は応募件数が少なく、採択率もやや高めになっていますが、第2回以降はほぼ同じ採択率で推移しているように見受けられます。
しかし実際のところ、事業再構築補助金は、満たさなければならない要件がいくつもあり、またこれまで補助金申請に不慣れな事業者も多かったことから、書類の不備などで審査前の段階で不受理となるケースも多くありました。第2回では11.9%、第3回では8.8%の事業者が、要件未達で内容を審査されるまでに至っていません。しかし、事務局でも要件の説明を詳しく例を挙げて示しており、また一度不受理となった事業者が不備を正して再申請していることから、要件未達件数は減少したと考えられ、第4回公募の採択発表では、公表されていません。審査件数に対しての採択率を見ると、第4回で大きく落ちたようにも見えますが、公表されていない要件未達件数を考慮すると、ほぼ同じような採択率になっていると考えられるでしょう。
第6回からの見直しにより、応募者が増えることが予想される大きな変更点は、売上高10%減少要件の緩和です。「2020年10月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して5%以上減少していること」という要件が撤廃され、「2020年4月以降10%以上の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前と比較して10%以上減少していること」のみが要件となりました。
コロナ発生後、比較的早く立て直しを図り、売上が回復していった企業でも、初めての緊急事態宣言が発令となり、学校の休校等もあった2020年4~9月は売上が減少していたという企業は多いと思われます。今回の要件緩和により、初めて売上減少要件を満たすことになった企業も増えることから、応募数は増加することが考えられます。
しかし一方で、限られた政策資源でより多くの事業者を支援するため、通常枠の補助上限額の見直しが行われ、従業員規模が100人以下の事業者では補助上限が引き下げられています。これにより、採択件数も増加することが予想されます。
これらのことを総合的に考えると、採択率自体はこれまでと同じような推移となることが予測できますが、補助金予算は限りがあるものであり、不採択になった場合でもブラッシュアップして再チャレンジすることで採択される可能性も高くなることから、申請を検討している事業者の方は、早めに応募することをお勧めします。
応募件数と採択件数から出した採択率を見ると、以下のように推移しています。初めての補助金で、公募要領の発表から締め切りまでの時間が短かったこともあり、第1回は応募件数が少なく、採択率もやや高めになっていますが、第2回以降はほぼ同じ採択率で推移しているように見受けられます。
公募回 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|
第1回 | 5,181件 | 2,866件 | 55.3% |
第2回 | 20,800件 | 9,336件 | 44.9% |
第3回 | 20,307件 | 9,021件 | 44.4% |
第4回 | 19,673件 | 8,810件 | 44.8% |
公募回 | 要件未達件数 | 審査件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|---|
第1回 | 855件 | 4,326件 | 2,866件 | 66.3% |
第2回 | 2,467件 | 18,333件 | 9,336件 | 50.9% |
第3回 | 1,788件 | 18,519件 | 9,021件 | 48.7% |
第4回 | 公表されず | 19,673件 | 8,810件 | 44.8% |
コロナ発生後、比較的早く立て直しを図り、売上が回復していった企業でも、初めての緊急事態宣言が発令となり、学校の休校等もあった2020年4~9月は売上が減少していたという企業は多いと思われます。今回の要件緩和により、初めて売上減少要件を満たすことになった企業も増えることから、応募数は増加することが考えられます。
しかし一方で、限られた政策資源でより多くの事業者を支援するため、通常枠の補助上限額の見直しが行われ、従業員規模が100人以下の事業者では補助上限が引き下げられています。これにより、採択件数も増加することが予想されます。
これらのことを総合的に考えると、採択率自体はこれまでと同じような推移となることが予測できますが、補助金予算は限りがあるものであり、不採択になった場合でもブラッシュアップして再チャレンジすることで採択される可能性も高くなることから、申請を検討している事業者の方は、早めに応募することをお勧めします。
著者
小林 卓矢
シェアビジョン株式会社代表取締役
1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。