2021年12月に事業再構築補助金の第5回公募と第6回公募以降の概要が「令和3年度補正予算の概要」で発表され、100人以下の従業員数の事業者の場合補助金額の上限が2,000万円減額になると公表されました(通常枠の場合)。補助上限額を始め、第4回公募までと比較して要件の緩和や新しい申請類型などが大きく見直され、補助される金額も大きく変わってしまうため注意が必要です。
この記事では要件が変更されることによって、第5回公募で無理をしてでも申請するべき事業者の条件を解説します。事業再構築補助金を検討されている方で初めて申請する方や再チャレンジされる方はこの変更点を把握しておきましょう。
事業再構築補助金の第5回公募で申請すべき事業者の条件 令和4年1月中に開始される予定の第5回公募とそれ以降の第6回公募以降での補正予算変更による申請要件等が変更され、補助上限額にも影響が出るようになりました。
この記事では要件が変更されることによって、第5回公募で無理をしてでも申請するべき事業者の条件を解説します。事業再構築補助金を検討されている方で初めて申請する方や再チャレンジされる方はこの変更点を把握しておきましょう。
事業再構築補助金の第5回公募で申請すべき事業者の条件 令和4年1月中に開始される予定の第5回公募とそれ以降の第6回公募以降での補正予算変更による申請要件等が変更され、補助上限額にも影響が出るようになりました。
ここでは、第5回公募と第6回公募で申請に影響のある変更点を説明します。
通常枠の補助上限額について、従業員規模に応じて従来の4,000万円、6,000万円、8,000万円→2,000万円、4,000万円、6,000万円、8,000万円に見直しされます。従業員数が101人以上であれば上限は8,000万円と変わりませんが、100人以下の事業者は補助上限額が従来の2,000万円減額してしまいます。
しかし、第5回公募までなら100人以下の従業員規模の事業者は補助上限額が高いため、通常枠で補助上限額最大を狙うのであれば多少無理をしてでも第5回公募に申請を間に合わせることをおすすめします。
【回復・再生応援枠の新設】
緊急事態宣言特別枠では令和3年1~9月のいずれかの月の売上高が対前年又は前々年の同月比で30%以上が減少していることでしたが、第6回公募以降では令和3年10月以降のいずれかの月の売上高が30%以上していることが条件になります。
緊急事態宣言により時短営業や不要不急の外出自粛等による影響ではなく、緊急事態宣言解除後も継続して業況が厳しい事業者が対象となるため、令和3年1~9月の影響の方が30%以上減少しているという事業者は第5回公募を申請します。
【グリーン成長枠の新設】
事業再構築を通じて3~5年の事業計画期間内に中小企業者から中堅・大企業へ成長する中小企業者等が行う卒業枠や、コロナ影響で大きく減少した売上をV字回復させる中堅企業を対象としているグローバルV字回復枠が第6回公募で廃止されます。第6回公募以降はカーボンニュートラルに即したグリーン分野での高い成長を目指す事業者が対象となり、中小企業は従来と同じ1億円が補助金額の上限ですが、中堅企業は1.5億円が上限と大幅な見直しが行われます。
ただし、補助率は卒業枠が2/3、グローバルV字回復枠が1/2に対して、グリーン成長枠は中小企業で1/2、中堅企業で1/3と補助率が引き下げられました。また、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上の増加または従業員1人当たり付加価値額の年率平均5.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定と見直されています。(通常は年率平均3.0%以上増加)そのため、投資金額に対して高い補助金を狙う場合であれば第5回公募で申請すると良いでしょう。
【建物費は原則「改修」の場合に限る】
建物費の補助対象経費が原則で「改修」の場合に限られるようになりました。新築の場合は一定の制限を設けるとされ、詳細については未だ発表されていませんが、新築で検討されている方は第5回公募での申請が要件の対象の範囲内である可能性が高いと言えるかもしれません。
【事前着手の対象期間の見直し】
事前着手とは、補助金の交付決定前であっても、事務局から事前着手の承認を受けた場合、令和3年2月15日以降に購入契約(発注)を行った事業に要する経費を、特例として補助対象経費とすることができる制度です。第6回公募以降はこの期間が見直され、既に事前着手を開始している事業者は、第6回公募以降は対象経費として認められなくなる可能性があるため、期間以降に事前着手を行っている場合は第5回公募を検討すると良いでしょう。
今回発表された変更点により、新たな申請要件や類型が新設されて申請が容易になった部分もありますが、補助金額や補助率の変更により、第5回公募で申請するべき事業者と当てはまる場合は計画的に申請準備を開始し間に合わせるようにしましょう。
事業再構築補助金の申請を検討されている方で、詳細を知りたいという方は公的支援制度の認定支援機関にご相談ください。
著者
小林 卓矢
シェアビジョン株式会社代表取締役
1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。