令和4年度2次補正予算額発表!第10回で創設される枠について

2023/02/22
2022年12月、事業再構築補助金の令和4年度2次補正予算の概要が発表されました。予算額は5,800億円で、令和5年3月下旬頃に公募を開始する第10回から、年度末までに3回程度の公募を実施する予定となっています。

ここでは、第10回公募から創設される枠について、解説します。

①成長枠の創設

第9回まで申請数の多数を占めていた通常枠は撤廃され、市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を支援する「成長枠」が創設されます。成長枠の必須要件は、以下の通りとなります。

【成長枠必須要件】
この枠では、第9回まで必須要件であった売上高減少要件が撤廃されるため、新たに申請を検討する事業者が増えるかもしれません。

②の対象となる業種・業態は事務局で指定され、公募開始時に事務局HPで公開予定となっているため、現時点では明らかになっていません。ただ、指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨のデータを提出し、認められた場合は対象となり得るとなっています。

補助上限額と補助率は、従業員規模によって以下の通りとなっています。

【成長枠 補助上限額・補助率】
事業終了時点で、大規模な賃上げ(①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成する)を行う場合は、補助率がそれぞれ引き上げられますが、そうでない場合、補助率は第9回までの中小企業2/3、中堅企業1/2より引き下げられます。

②グリーン成長枠(エントリー)の創設

第9回までもグリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象としたグリーン成長枠は、要件を緩和した類型(エントリー)が創設され、現行の必須要件は、グリーン成長枠(スタンダード)に引き継がれます

【グリーン成長枠(エントリー)必須要件】
グリーン成長枠(エントリー)と(スタンダード)の相違点
【グリーン成長枠(エントリー)補助上限額・補助率】
【グリーン成長枠(スタンダード)補助上限額・補助率】

③産業構造転換枠の創設

成長枠で市場規模が10%以上拡大する分野が重点的に支援する一方、市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対して、「産業構造転換枠」が新たに創設されます。

【産業構造転換枠の必須要件】
この枠では付加価値額の増加は年率平均3.0%以上と成長枠やグリーン枠に比べ、比較的低く抑えられています。また、給与支給総額の増加については、求められていません。

②については業界団体が要件を満たすことについて示すことや、③については要件を満たす地域であることについて自治体が資料を作成して証明する必要があります。どちらも3月上旬に受付が開始され、その後公表される予定とされています。

【産業構造転換枠 補助上限額・補助率】
※廃業が伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ

従業員規模による補助上限額は成長枠と同じですが、補助率はこちらの方が高くなるため、業種・業態または地域が該当すれば、こちらを選択する事業者も多いでしょう。

④サプライチェーン強靭化枠の創設

部品製造の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靭化及び地域産業の活性化に取り組む製造業者に対し、「サプライチェーン強靭化枠」が創設されます。制度の詳細は検討中となっており、対象となる業種・業態も公募開始時に事務局HPで公開予定となっていますが、従業員規模にかかわらず補助上限額は最大5億円(補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3)となっており、補助上限額としては最大の枠となります。

【サプライチェーン強靭化枠必須要件】
以上が、第10回公募から新設される枠となります。いずれも、売上減少要件が撤廃されることで要件を満たす事業者が増えることから、採択に向けては、事業内容が一層問われることとなりそうです。
著者

小林 卓矢

シェアビジョン株式会社代表取締役