ここでは、第10回公募から創設される枠について、解説します。
①成長枠の創設
【成長枠必須要件】
補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率平均4.0%以上増加する事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定して、事業再構築に取り組むこと
取組む事業の市場規模が、過去~今後いずれか10年間で10%以上拡大する業種・業態に属していること
補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
②の対象となる業種・業態は事務局で指定され、公募開始時に事務局HPで公開予定となっているため、現時点では明らかになっていません。ただ、指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨のデータを提出し、認められた場合は対象となり得るとなっています。
補助上限額と補助率は、従業員規模によって以下の通りとなっています。
【成長枠 補助上限額・補助率】
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 2,000万円 | 【中小企業】1/2(大規模な賃上げを行う場合2/3) |
21~50人 | 4,000万円 | |
51~100人 | 5,000万円 | |
101人以上 | 7,000万円 |
②グリーン成長枠(エントリー)の創設
【グリーン成長枠(エントリー)必須要件】
補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率平均4.0%以上増加する事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定して、事業再構築に取り組むこと
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の5%以上に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行うこと
補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
エントリー | スタンダード | |
---|---|---|
付加価値額の増加率 | 年率平均4.0%以上 | 年率平均5.0%以上 |
研究開発・技術開発期間 | 1年以上 | 2年以上 |
年間20時間以上の人材育成 | 従業員の5%以上 | 従業員の10%以上 |
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 | |
---|---|---|---|
中小企業 | 20人以下 | 4,000万円 | 【中小企業】1/2(大規模な賃上げを行う場合2/3) |
21~50人 | 6,000万円 | ||
51人~ | 8,000万円 | ||
中堅企業 | ― | 1億円 |
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 | |
---|---|---|---|
中小企業 | ― | 1億円 | 【中小企業】1/2(大規模な賃上げを行う場合2/3) |
中堅企業 | ― | 1.5億円 | 中堅企業】1/3(大規模な賃上げを行う場合1/2) |
③産業構造転換枠の創設
【産業構造転換枠の必須要件】
補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率平均3.0%以上増加する事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定して、事業再構築に取り組むこと
過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属していること
地域における機関大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること
②については業界団体が要件を満たすことについて示すことや、③については要件を満たす地域であることについて自治体が資料を作成して証明する必要があります。どちらも3月上旬に受付が開始され、その後公表される予定とされています。
【産業構造転換枠 補助上限額・補助率】
従業員規模 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
20人以下 | 2,000万円 | 【中小企業】2/3 |
21~50人 | 4,000万円 | |
51~100人 | 5,000万円 | |
101人以上 | 7,000万円 |
従業員規模による補助上限額は成長枠と同じですが、補助率はこちらの方が高くなるため、業種・業態または地域が該当すれば、こちらを選択する事業者も多いでしょう。
④サプライチェーン強靭化枠の創設
【サプライチェーン強靭化枠必須要件】
補助事業終了後3~5年で付加価値額が年率平均5.0%以上増加する事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定して、事業再構築に取り組むこと
取引先から国内での増産要請があること
取組む事業の市場規模が、過去~今後いずれか10年間で10%以上拡大する業種・業態に属していること
交付決定時点で、設備投資する事業場内最低賃金が地域別最低賃金より30円以上高いこと。補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
小林 卓矢
シェアビジョン株式会社代表取締役
1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。