事業再構築指針「事業転換」

2023/04/27

事業再構築補助金において、事業再構築指針を構成する5つの要素のどれかに該当していないと申請することができません。この記事では、そのうちの事業再構築指針「事業転換」について説明します。

事業再構築指針とは

「事業再構築指針」とは、事業再構築補助金の支援の対象を明確化するため、事業再構築の定義等について、明らかにしたものです。
「事業再構築」とは、「新市場進出(新分野展開、業態展開)」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」又は「国内回帰」の5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。

事業再構築の類型と要件

事業再構築指針は、第10回公募から一部変更になっています。第9回公募まであった新分野展開と業態転換が一緒になり、新市場進出という項目になりました。また、新たに国内回帰という項目が加わっています。

<事業転換>
「事業転換」とは、新たな製品等を製造等することにより、主なる業種を変更することなく、主なる事業を変更することを指します。
「事業転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」の3つを満たす必要があります。
・製品等の新規性要件
→製品等の新規性要件を満たさない場合
・市場の新規性要件
→市場の新規性要件を満たさない場合
・売上高構成比要件

「事業転換」の要件を満たす例

・飲食サービス業の場合
日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を新たに開業し、3年間の事業計画期間終了後時点において、焼肉事業の売上高構成比が、標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を作成している場合
日本標準産業分類
【大分類】M宿泊業、飲食サービス業、【中分類】76飲食店、
【小分類】762専門料理店
【細分類】7621日本料理店⇒7625焼肉店(細分類ベースで事業転換)
・製造業の場合
プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始し、5年間の事業計画期間終了後において、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を作成している場合
日本標準産業分類
【大分類】E製造業、【中分類】生産用機械器具製造業、
【小分類】269その他の生産用機械・同部分品製造業
【細分類】2691金属用金型・同部分品・附属品製造業⇒2694ロボット製造業
(細分類ベースで事業転換)

事業再構築の要件は、申請にあたって留意いただく事項です。採択されるためには、これらを踏まえた上で、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。事業再構築補助金の申請を検討されておりましたら、認定支援機関にご相談ください。
著者

船着 貴弘

シェアビジョン株式会社取締役