新事業進出補助金、事業再構築補助金からどう変わった!?

2025/05/22

はじめに

「事業再構築補助金が終わって、新しい補助金が出るらしいけど、何が違うの?」
「うちの会社でも使える補助金なのかな?」

ポストコロナを見据えた企業の挑戦を支援してきた「事業再構築補助金」の公募が終了し、新たに「新事業進出補助金」が令和7年4月22日から始まりました。
この新しい補助金について、多くの中小企業の経営者の皆様が関心をお持ちのことと思います。特に、これまで事業再構築補助金の活用を考えていた方にとっては、制度がどう変わったのか、気になるところでしょう。
このコラムでは、そんな疑問にお答えするため、新しく始まる「新事業進出補助金」と、これまでの「事業再構築補助金」を比較し、何がどう変わり、何が似ているのか(引き継がれたのか)、そのポイントを分かりやすく解説します。

これまでの「事業再構築補助金」ってどんな制度だった?

新しい補助金を理解するために、まずは比較対象となる「事業再構築補助金」のポイントを簡単におさらいしましょう。事業再構築補助金は、コロナの影響が大きかった2021年3月から始まり、最終公募の第13回公募が2025年3月26日に締め切られました。この4年の間に、社会情勢も大きく変化したため、それに合わせて制度も変更されていきました。ここでは、直近の第13回公募と比較したいと思います。

<事業再構築補助金>

新しい「新事業進出補助金」ってどんな制度?

では、今回新しく始まる「新事業進出補助金」は、どんな制度なのでしょうか?事業再構築補助金との違いに注目しながら見ていきましょう。

<新事業進出補助金>

基本要件①の「新事業進出」とは、以下の3つの条件をすべて満たす計画が必要です。
(1)製品等の新規性要件
  ⇒既存事業で、過去に製造したことがある製品等の製造は対象になりません。(第1回公募開始日である令和7年4月22日以降に初めて取り組んでいる事業は、「新規性」を有するとみなされます)

(2)市場の新規性要件
  ⇒新たに取り組む製品の属する市場が、既存事業とは異なる顧客層である必要があります。

(3)新事業売上高要件
  ⇒新たな製品等の売上高(又は付加価値額)が、応募申請時の総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上となる計画を策定することが必要です。

基本要件③賃上げ要件と④事業場内最賃水準要件では、応募申請時に目標値を設定する必要があり、目標値未達の場合、補助金返還義務があります。そのため、計画時の目標については、自社の実現可能性についてこれまで以上に慎重に見極める必要があるでしょう。

基本要件⑤の一般事業主行動計画の公表は、事業再構築補助金第13回公募では、加点項目となっていましたが、新事業進出補助金では、全社必須の基本要件となりました。

事業再構築補助金では、金融機関の融資を受ける場合には「金融機関による確認書」、融資を受けない場合には「認定経営革新等支援機関による確認書」のいずれかが必要でしたが、新事業進出補助金では、金融機関から借り入れを行わず、自己資金で行う場合には、いずれの確認書も不要となりました。

補助対象経費はここに注目!

事業再構築補助金は、他の補助金ではあまり対象とならない「建物費」が対象になっていたことが大きな特徴でした。この点は、新事業進出補助金にも引き継がれ、建物費が補助対象となっています。ここでいう建物費は、新築だけでなく、改修や改装も対象となります。

新事業進出補助金では、「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていなくてはなりません。

一方で、事業再構築補助金では補助対象となっていた「研修費」は、新事業進出補助金では、補助対象ではないので、注意しましょう。

新しい補助金、うちの会社には合う? 見極めポイント

この新しい「新事業進出補助金」は、どんな会社や計画に向いているのでしょうか?
一番のポイントは、やはり「賃上げ」です。補助金をもらうためだけでなく、会社の成長と従業員の幸せを両立させる具体的な計画が求められます。

申請を考えるなら、ここに注意! 頼れる専門家も活用しよう

もし、この新しい補助金に挑戦してみようと思ったら、以下の点に注意して準備を進めましょう。これは事業再構築補助金と共通する部分も多いです。
そして、ここで重要なのが「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」の存在です。
認定支援機関とは、中小企業に対して専門性の高い支援を行う機関として国が認定した、専門家や組織のことです。
今回の「新事業進出補助金」では、事業再構築補助金のように金融機関や認定支援機関の確認書が必須ではなくなりました(融資を受ける場合を除く)。しかし、質の高い事業計画書を作成し、採択の可能性を高めるためには、認定支援機関のサポートを受けることが非常に有効です。
まずは、自社の状況をよく理解してくれる専門家や金融機関に相談してみるのも良いでしょう。

まとめ:新しいチャンスを活かすために

「事業再構築補助金」から「新事業進出補助金」へ。国の支援策は、「新しい挑戦」と「賃上げ」を両輪で進める企業を応援する方向へと舵を切りました。
新しい制度では、賃上げや最低賃金の引き上げが「絶対条件」となり、その達成が求められます。会社の成長と従業員の幸せを本気で考える企業にとっては、大きなチャンスとも言えます。
このコラムを参考に、まずは新しい補助金制度をしっかり理解し、自社の計画がそれに合っているか、そして条件を満たせるかを見極めてみてください。
その上で、「よし、挑戦しよう!」と決めたなら、しっかりと準備を進め、この新しいチャンスを会社の未来を切り拓く力に変えていきましょう。
筆者・監修

新事業進出補助金編集部

シェアビジョン株式会社

カテゴリー