この記事のポイント本記事は、4月22日時点で発表された内容をもとに、シェアビジョン株式会社がまとめたものになります。当社ブログの見解に従った結果、不利益があった場合としても、当社は責任を負いかねます。また、本ページの情報や見解は、予告なしに変更することがあります。
新事業進出補助金第1回公募が発表
7月10日が申請締切に
申請枠は1つ
大胆な新事業進出を支援
はじめに
電子申請開始が6月頃(予定)、7月10日18時が申請締切というスケジュールとなっており、
申請締切まで約2ヵ月と、タイトなスケジュールとなっています。
新事業進出補助金は、事業再構築補助金の後継制度として、新たに創設された補助金であり、予算は約1,500億円。事業再構築補助金の基金を活用する形で発表されました。
この記事ではスケジュールや基本的な要件など、第1回公募の新事業進出補助金について解説します。
新事業進出補助金第1回公募のスケジュール
公募開始 | 2025年4月22日 |
電子申請受付 | 2025年6月頃(予定)~ |
申請締切 | 2025年7月10日18時 |
採択発表 | 2025年10月頃(予定 |
事業実施期間 | 事業実施期間 交付決定日から14ヵ月以内(採択発表日から16ヵ月以内) |
事業実施期間は、交付決定日から14ヵ月以内(採択発表日から16ヵ月以内)となっており、前身の事業再構築補助金の成長分野進出枠(GX進出類型)と同期間となっています。
また、交付申請は採択発表日から2ヵ月以内と明記されており、採択発表後は速やかに動き出して事業を計画的に進めることが求められています。
新事業進出補助金の目的等
特に重要視されているポイントは「新市場・高付加価値事業」への進出です。この点に関しては別のコラムで詳しく解説しますが、
・実施する事業が実施企業にとって新規性があるか
・その事業が世界的にも新市場、もしくは高付加価値事業であるか
という点が重要視されています。比較的容易な新事業進出よりも、さらに大胆な新事業進出をより強く後押しする意図があるようです。
活用イメージとしては以下の通りです。
・活用イメージ①:
ガソリン車の部品を製造していた事業者が、車両部品の製造で培った技術を活かして、新たに半導体製造装置の部品の製造に着手する
・活用イメージ②:
注文住宅の建設を行っていた事業者が、建設業で培った木材の知見を活かして、新たにオーダーメイドの木材家具の製造に取り組む
また、事業再構築補助金と同様、建物費も補助対象経費として認められている点が特徴的と言えるでしょう。
新事業進出補助金の要件
基本要件は以下の6つです。事業再構築補助金と比較し、さらに新事業進出に特化した補助金となっています。
新事業進出指針に示す「新事業進出」に該当する事業
付加価値額(または1人当たりの付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上
1人当たりの給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県の最低賃金の年平均成長率以上。または給与支給総額の年平均成長率が2.5%以上(返還義務あり)
事業所内の最低賃金が事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準であること(返還義務あり)
一般事業主行動計画の策定、公表
金融機関から事業計画書の確認を受けること(金融機関からの資金調達を行う場合のみ)
また、賃上げに係る特例要件も設けられています。
・補助事業実施期間内に、給与支給総額の年平均成長率6.0%以上、かつ事業場内最低賃金+50円以上
こちらの特例要件は、対象期間が3~5年の事業計画期間ではなく、補助事業実施期間であることに留意が必要です。初回の事業化状況報告時に成果を報告し、未達の場合は上乗せ分の補助金額を返還する義務を負います。
新事業進出補助金の補助上限額及び補助率
補助率は一律1/2、補助率引上げに係る特例はありません。
従業員数 | 補助金額 |
20人以下 | 750万円~2,500万円(3,000万円) |
21~50人 | 750万円~4,000万円(5,000万円) |
51~100人 | 750万円~5,500万円(7,000万円) |
101人以上 | 750万円~7,000万円(9,000万円) |
補助率 | 一律1/2 |
今回初公募となる新事業進出補助金では、収益納付が求められていません。他の中小企業向けの補助金でも同様の傾向があるようです。
新事業進出補助金に申請できない事業者とは
また、新事業への進出を後押しするという観点から、従業員数や創業年数にも対象外が存在します。
申請締切日を起点に16ヵ月以内に事業再構築補助金、ものづくり補助金の交付候補者となっている事業者。または、交付決定を受け、補助事業を完了していない事業者。
事業再構築補助金の事業化状況報告を怠った事業者
申請時点の従業員数が0人の事業者
創業後1年を満たさない事業者
新事業進出補助金の加点項目、減点項目
加点項目においては、事業再構築補助金にあった「コロナ借換加点」が無くなったことが大きなポイントと言えるでしょう。コロナ対策として生まれた事業再構築補助金との明確な違いが表れている点と言えます。
減点項目においては、4月20日に先んじて公募開始となったものづくり補助金の20次公募と同じく「他の補助事業の事業化が進展していない(事業化段階3以下)事業者」という項目が新たに設けられています。この項目を満たさないと、国の税金が原資となっている補助金を受け取っているのに、効果を発揮できない(事業を実現できない)事業者と見なされるということになると思います。現状、対象となる補助金は、事業再構築補助金とものづくり補助金ですが、新事業進出補助金も対象として記載されているため、2回目以降も減点項目として設けられることが予想されます。
パートナーシップ構築宣言加点
くるみん加点(トライくるみん、くるみん、又はプラチナくるみん)
えるぼし加点(えるぼし1~3段階、又はプラチナえるぼし)
アトツギ甲子園加点(アトツギ甲子園のピッチ大会に出場)
健康経営優良法人加点
技術管理認証制度加点
成長加速マッチングサービス加点
再生事業者加点
特定事業者加点
加点項目要件未達事業者(未達報告から18ヵ月間大幅に減点)
過剰投資の抑制(類似テーマ・設備等に申請が集中した場合、別途審査)
他の補助事業の事業化が進展していない事業者(事業化段階3以下)
まとめ
申請開始日やフォーマットはまだ公開されていませんが、補助金額が最大9,000万円と高額であることや、新事業ヘ特化した補助金であることから、より綿密な事業計画の策定が必要になるのではないかと予想できます。
補助金の採択においては、事業の内容が補助金の目的に沿っていることや、審査項目を漏れなく記載すること、内容の算出根拠を明確に記載することなどが求められます。特に、本補助金においては、新事業の進出が要件となっており、早めの計画立案が必須となります。
今回の発表は第1回公募となっており、今後も公募が続いていくことが予想されます。
これまでの他の補助金でも、第1回公募は採択率が高い傾向にありますが、今回は特に、ものづくり補助金と締切が近く、どちらかを選ぶ企業が現れる可能性があります。その結果、競合相手が分散し、採択可能性が高まることも予想されます。
新事業進出補助金の活用をご検討中の事業者の方は、ぜひお早めにご相談ください。
新事業進出補助金編集部
シェアビジョン株式会社
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
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