(予想!)ものづくり補助金22次公募に注目! 要件緩和と審査での優遇

2025/10/06

この記事の注目ポイント

はじめに

地域別最低賃金の改定は、毎年行われていますが、今年は全国加重平均1,121円(引き上げ率6.3%、引上げ額66円)と過去最大の引上げ幅となりました。最低賃金の引上げに伴う人件費の増加に、頭を悩ませている経営者の方も少なくないのではないでしょうか。

そこで国としても、中小企業や小規模事業者が、持続的な賃上げ原資を確保できるよう支援策を強化するとしています。9月9日には、経済産業省より、価格転嫁対策や補助金、税制面での支援策が公表されました。
経済産業省の中小・小規模企業への支援策
このコラムでは、「(3)中小・小規模企業の生産性向上における賃上げ支援機能の強化」にあたる、ものづくり補助金を含む補助金の要件緩和と審査での優遇について解説します。

ものづくり補助金は次回22次公募から適用の可能性大

要件緩和が発表されている補助金は、ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)の3つです。

ものづくり補助金は、現在21次公募が開始されており、10月3日から申請開始、10月24日が申請締切となっています。現段階で、どの公募から適用されるかは明言されていませんが、公募途中で要件が変更になることは考えにくいでしょう。一方で、地域別最低賃金の改定は10月以降各都道府県で順次発効となり、国としてもスピーディな支援を目指していることを考えると、次回22次公募から適用されるのではないかと予想しています。

ものづくり補助金22次公募 スケジュール予想

最低賃金引上げ特例の対象企業が拡大

ものづくり補助金21次公募の最低賃金引上げ要件は以下の通りです。要件を満たす事業者は通常1/2の補助率が2/3に引き上げられます。

≪現行≫
2023年10月~2024年9月までの間で、3ヶ月以上、地域別最賃+50円以内で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いること
今年度の最賃引上げ額は、全国加重平均で66円の引上げとなっており、これまで最賃が低く抑えられていた地域では、さらにそれを上回る引上げ額となっています。それを踏まえ、以下のように対象企業を拡大する要件緩和が行われます。

≪改定後≫
一定期間において、3ヶ月以上改定後の地域別最賃未満で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いること
具体的に東京都にある従業員100人の事業者の場合を例に挙げます。

現在、東京都の最低賃金は1,163円、改定後は1,226円です。
改定前では、一定の期間において1,163円+50円=1,213円以下で雇用している従業員が30人以上いなければ、対象になりませんでした。

今回の要件緩和により、東京都の改定後の最低賃金1,226円以下で雇用している従業員が30人いれば、補助率引上げの対象となります。

この要件緩和により、これまでの制度では特例適用対象外でも、新たに対象となる場合もあるので、改めて自社の状況を確認してみてください。

加点項目の追加による審査での優遇

また、おなじく、ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化補助金(一般型)について、新たに2つの加点措置が導入され、優先採択が行われます。

≪新たに導入される加点措置≫
①上述の最低賃金引上げ特例の対象となっている(一定期間において、3ヶ月以上改定後の地域別最賃未満で雇用している従業員が、全従業員数の30%以上いる)事業者

②一定期間において、事業場内最賃を「全国目安で示された最低賃金の引上げ額(63円)」以上の賃上げをする事業者
①については、最低賃金引上げ要件を満たす事業者は、補助率も引上げとなり、加点の対象にもなるということです。

②について補足すると、地域別最低賃金は、まず中央最低賃金審議会が示す引上げ目安をもとに、各地方最低賃金審議会で話し合われ、最終的には各都道府県の労働局長が具体的な額を決定します。この目安額は、地域によって63円と64円で提示されていましたが、多くの地域で目安額以上の引上げで決定しました。
今回の大幅賃上げの発表を受け、厳しい経営状況においても、全国的な最低賃金の引上げ幅以上に賃上げの努力を行った企業を応援するため、②の要件を満たす場合に、採択審査において加点措置を実施されることになりました。

この②の項目は、事業場内最低賃金に関する加点です。①に該当しない事業者であっても、事業場内最低賃金の引上げによって、加点を得ることができます。
≪出典≫内閣官房新しい資本主義実現本部事務局・厚生労働省労働基準局・経済産業省中小企業庁『「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の一環としての最低賃金の引上げに関する支援の拡充』
ものづくり補助金は、19次公募の採択率が31.8%で、採択を勝ち取るのは非常に厳しい補助金です。これらの加点措置は、大きなアドバンテージと言えるでしょう。

まとめ

賛否両論ありますが、政府は最低賃金について、「2020年代に全国平均1,500円」を目標に掲げています。今後も、賃上げ要求は加速すると予想されるため、経営者には継続的に賃上げの原資を確保する対策が求められるでしょう。

賃上げ原資の確保のためには、価格体系の見直しや取引先との交渉、販路の新規開拓など、収益基盤を強化するアプローチのほか、設備投資を通した業務効率化等、コスト削減を図ることも大切です。

賃上げによるコスト増加は経営を圧迫する課題ではありますが、冒頭に述べたように、国としても中小企業の賃上げ原資確保に向けた支援に向けて動いています。ものづくり補助金をはじめとした公的支援制度を上手に活用して、企業の成長へつなげていきましょう。
著者

ものづくり補助金編集部

シェアビジョン株式会社