2022年12月に事業再構築補助金の令和4年度2次補正予算の概要が発表されました。第10回公募から補助率や補助金額が大幅に変更される可能性があるため、より効率的に事業再構築補助金を利用したいと考えている事業者は、第9回公募を至急検討ください。本記事では令和4年度2次補正予算での変更点を説明します。
第9回公募は令和3月中下旬を応募締切と予定されています。注意点として、第8回公募の採択発表以前になる予定のため、令和5年1月13日応募締切の第8回公募で応募される場合、第9回公募での応募はできません。
そのため、第8回公募で申請し、再申請を希望する事業者は第10回公募以降での応募となります。
令和4年度2次補正予算は第10回公募以降に適用されますが、発表された概要では第9回公募以前の要件とは大きく異なる点があります。①必須要件(全枠共通)
②成長枠の対象となる事業者
必須要件(Bについては、付加価値額の年率平均4.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件をいずれも満たすことが要件となります。
※対象となる業種・業態は、事務局で指定します。(公募開始時に事務局HPで公開予定。)
【補助上限額・補助率の比較】
※第9回公募以前の補助率は、中小企業の場合6,000万円超は1/2、中堅企業の場合4,000万円超は1/3になります。
※第10回公募以降は、事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成する事業者は中小企業で2/3、中堅企業で1/2になります。
このように、事業再構築補助金の主な申請枠であった通常枠を始め大きく変更され、その変更点として、売上減少要件が撤廃されます。
そのため、多くの事業者への対象拡大が図られる分、補助率が中小企業で1/2、中堅企業で1/3に引き下げられます。
補助上限額は、従業員数50人以下はこれまでと変わりないですが、51人以上、101人以上で1,000万円分引き下げられました。
上記の例のように、同じ投資金額でも公募回が異なるだけで1,500万円ももらえる金額が変わります。従業員数50人以下の事業者も補助率が下がってしまうため、より多くの補助金を受け取りたい方は第9回公募の申請を至急検討ください。①グリーン成長枠の拡充
研究開発等の要件を緩和した類型「エントリー」を創設
②大幅賃上げ・規模拡大へのインセンティブ
大胆な賃上げや中小企業等からの卒業に取り組む場合、さらなるインセンティブ(補助率・補助上限の引き上げ)を措置
③産業構造転換枠の創設
市場規模の縮小により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者を重点的に支援する産業構造転換枠を創設
④サプライチェーン強靭化枠の創設
海外で製造する製品・部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者を支援するサプライチェーン強靱化枠を創設
⑤業況が厳しい事業者への支援
コロナや物価高等により業況が厳しい事業者や、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を引き続き手厚く支援
⑥一部申請類型における複数回採択
グリーン成長枠に加え、産業構造転換枠及びサプライチェーン強靱化枠についても、所定の要件を満たした場合、2回目の申請を認める
⑦社会福祉法人の対象範囲拡大
社会福祉法人においては、公的保険制度の範囲外で行う事業を収益事業とみなすこととし、補助対象となる法人の範囲を拡大
⑧事前着手制度の対象期間及び対象類型の見直し
2022年12月2日以降に見直し
活用できる事業類型を最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、サプライチェーン強靭化枠に限定
要件は緩和されるものの、受け取れる補助金が第10回公募以降では減額される可能性もあるため、事業再構築補助金の申請を検討されている方は、第9回公募の申請を至急ご検討ください。
第9回公募の実施スケジュール
公募開始 | 令和5年1月中下旬予定 |
---|---|
応募締切 | 令和5年3月中下旬予定 |
採択発表 | 調整中 |
そのため、第8回公募で申請し、再申請を希望する事業者は第10回公募以降での応募となります。
第10回公募は補助率・上限が大きく変わる!?
成長枠(旧通常枠)の創設
変更点:売上減少要件の撤廃、補助率の引き下げ、補助上限額の引き下げ
A事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む
B補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加
必須要件(Bについては、付加価値額の年率平均4.0%以上増加を求める。)に加え、以下の要件をいずれも満たすことが要件となります。
取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態(※)に属していること
事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
【補助上限額・補助率の比較】
従業員規模 | 第9回公募以前 | 第10回公募以降 | ||
---|---|---|---|---|
補助上限額 | 補助率 | 補助上限額 | 補助率 | |
20人以下 | 2,000万円 | 【中小企業】2/3 | 2,000万円 | 【中小企業】1/2 |
21~50人 | 4,000万円 | 4,000万円 | ||
51~100人 | 6,000万円 | 5,000万円 | ||
101人以上 | 8,000万円 | 7,000万円 |
※第10回公募以降は、事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成する事業者は中小企業で2/3、中堅企業で1/2になります。
このように、事業再構築補助金の主な申請枠であった通常枠を始め大きく変更され、その変更点として、売上減少要件が撤廃されます。
【売上減少要件】
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること等
補助上限額は、従業員数50人以下はこれまでと変わりないですが、51人以上、101人以上で1,000万円分引き下げられました。
例)中小企業(従業員数51人以上)が9,000万円の設備投資をする場合
第9回公募 9,000万円×2/3=6,000万円 補助金6,000万円
第10回公募 9,000万円×1/2=4,500万円 補助金4,500万円
その他変更点
研究開発等の要件を緩和した類型「エントリー」を創設
②大幅賃上げ・規模拡大へのインセンティブ
大胆な賃上げや中小企業等からの卒業に取り組む場合、さらなるインセンティブ(補助率・補助上限の引き上げ)を措置
③産業構造転換枠の創設
市場規模の縮小により、事業再構築が強く求められる業種・業態の事業者を重点的に支援する産業構造転換枠を創設
④サプライチェーン強靭化枠の創設
海外で製造する製品・部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者を支援するサプライチェーン強靱化枠を創設
⑤業況が厳しい事業者への支援
コロナや物価高等により業況が厳しい事業者や、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者を引き続き手厚く支援
⑥一部申請類型における複数回採択
グリーン成長枠に加え、産業構造転換枠及びサプライチェーン強靱化枠についても、所定の要件を満たした場合、2回目の申請を認める
⑦社会福祉法人の対象範囲拡大
社会福祉法人においては、公的保険制度の範囲外で行う事業を収益事業とみなすこととし、補助対象となる法人の範囲を拡大
⑧事前着手制度の対象期間及び対象類型の見直し
2022年12月2日以降に見直し
活用できる事業類型を最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠、サプライチェーン強靭化枠に限定
要件は緩和されるものの、受け取れる補助金が第10回公募以降では減額される可能性もあるため、事業再構築補助金の申請を検討されている方は、第9回公募の申請を至急ご検討ください。
著者
小林 卓矢
シェアビジョン株式会社代表取締役
1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。