ものづくり補助金における最近の採択率と傾向について

2023/02/28
今回は、ものづくり補助金における最近の採択率と傾向について説明します。  

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の14次締切につきましては、令和5年1月11日から令和5年4月19日までの期間において公募を行ったところ、全国で4,865者からの申請がありました。
全国採択審査委員会において厳正な審査を行った結果、このうち2,470者が採択され、採択率は50・8%でした。

申請件数・応募者・採択率の推移

なお、第1回から採択率を見てみると、以下の通りになります。
応募者数は1次締切から4次締切まで増え続け、ピークでは1万件を超えました。その後、約5,000件前後で推移しています。
採択率は1次締切では62.5%と高かったものの、応募者数の増加に従って低下し、4次締切では31.5%と際立って低い結果となりました。その後徐々に採択率を伸ばし、60%を超えることが増え、高い採択率を維持しています。
しかし、14次締切で採択率は約50.8%まで急落することとなりました。

14次採択の内訳

14次締切における採択の内訳は以下の通りです。
計5つの枠のうち、4つは50%台という採択率となり、平均的な結果となりました。
グローバル市場開拓枠のみ30%台と、かなり低い採択率であるため、申請を検討している場合は慎重に準備を進めるべきと考えられます。

ものづくり補助金で採択率の高い業種は?

ものづくり補助金申請者の業種別の採択率を見てみると、製造業、そして学術研究専門技術サービス業の採択率が高いことが判ります。
学術研究、専門・技術サービス業は、主として学術的研究などを行う事業所、法律・財務及び会計などに関する事務や相談、デザイン,文芸・芸術作品の創作、経営戦略など専門的な知識サービスを提供する事業所が分類されています。耳慣れない業種かと思いますが、会計事務所や獣医師サービスなどが含まれます。
製造業については、新規商品を開発する機械や自動化をすすめる機械を導入することが多く、ものづくり補助金の目的と相性がよいためと考えることができます。

加点項目別の採択率

ものづくり補助金は申請する際に追加書類を提出することで、加点をもらうことができます。加点項目が増えるほど採択率は高まります。加点項目が一つもないときの採択率は34%にとどまりますが、加点項目を4個以上提出することで最大71.4%まで採択率が高まります。申請時には加点項目までを考慮すると良いでしょう。
加点項目に関して注意すべきなのは、申請日の時点で要件を満たすことです。例えば成長性加点で必要な「経営革新計画」は、行政庁に提出するだけでは加点にはならず、申請時点で計画の承認を得ている必要があります。承認まで相当の時間を要しますので、ものづくり補助金の申請直前に経営革新計画を提出しても間に合いません。余裕を持ったスケジュールで取り組みましょう。

今回の記事ではものづくり補助金の採択率の推移、申請タイミング、申請額、加点について説明しました。
著者

小林 卓矢

シェアビジョン株式会社代表取締役