「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」 ⑩材料製造プロセスに係る技術について

2023/02/28
ものづくり補助金を申請する際に、事業計画において事業分野に応じた「ものづくり高度化指針」との関連性を示す必要があり、これは審査における重要な項目となっています。この記事では、ものづくり高度化指針について説明します。

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」とは

「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針(ものづくり高度化指針)」とは、製造業における特定ものづくり基盤技術の観点から、研究開発に取り組む中小企業が参考とできるように今後社会で求められる技術の方向性及び具体的な開発手法の情報について明示されたものです。
これは技術に応じて12分野あり、製造業の場合はこのうちいずれかに該当します。ものづくり補助金に申請する際は、事業計画書において各項目で示された課題やニーズ、高度化目標に対応した事業であると説明する必要があります。

自社の特定ものづくり基盤技術ごとの事項を確認する

 事業計画書を作成する際に、自社の事業における生産加工がどのような技術を用いているのかをまず見ていきます。
 今回は、⑩材料製造プロセスに係る技術について説明します。

⑩材料製造プロセスに係る技術とは

材料製造プロセスに係る技術とは、目的物である化学素材、金属・セラミックス素材、繊維素材及びそれらの複合素材の収量効率化や品質劣化回避による素材の品質向上、環境負荷・エネルギー消費の低減等のために、反応条件の制御、不要物の分解・除去、断熱等による熱効率の向上等を達成する材料製造プロセス技術です。
この技術は、部素材自体の機能の高度化ではなく、その生成プロセス技術の高度化により、生産性等の向上を図り、低コスト化、迅速化、省資源化に配慮した部素材を供給する役割を担っています。産業面、消費者の生活面のいずれにおいても、安価かつ迅速な供給体制を構築するニーズは極めて高く、この技術の高度化は、我が国製造業の国際競争力の基盤強化、新たな事業の創出にも不可欠です。

将来の展望

当該技術により、高効率化、省エネルギー化、自動化、クリーン化、連続化が進むことで、コストの低減、地球温暖化の防止、省資源に大きく寄与することが期待されています。  具体的には、
1. 高効率化、省エネルギー化、自動化、クリーン化、連続化が進むことで、コストの低減、地球温暖化の防止、省資源に大きく寄与
2.生成プロセスにおける省エネルギー・環境負荷低減はもちろん、自動車、デジタル家電等の廃棄時・リサイクル時における有害物質発生の削減につながるような製品ライフサイクル全般に渡る環境配慮
3.IoT、AI等の活用による材料製造プロセスに係る技術の高度化やそれに関連した新たなサービスが創出
このように幅広い分野での発展を望むことができます。

川下製造業者等が抱える課題及びニーズ

以下はその概要です。
一概に材料製造プロセスとはいえ、その分野ごとに課題も異なります。
共通の課題として、「高効率化・迅速化・メンテナンス性向上の実現」や「純度の高い目的物の獲得」、「低コスト化」などがあり、項目と自社事業との関連性を見出します。
 そうはいっても、この「高効率化・迅速化・メンテナンス性向上の実現」や「純度の高い目的物の獲得」とは、何を表しているのでしょうか。
 ここでは具体的に本文を見てイメージを固めます。

川下分野横断的な共通の事項の①は、いわゆる課題や外部からのニーズについて書かれています。
同じく、川下分野横断的な共通の事項②は、ニーズに対応するため技術を高度化するための目標です。
まずは①川下製造業者等の共通の課題及びニーズから自社の課題を特定し、②高度化目標の順で、ものづくり補助金で記載する場合は、この高度化目標と今回の事業がどのように関連性をもっているかを記載することになります。

 このようにものづくり補助金では、技術革新の課題を個別の事例や事情によって特定し、その高度化目標を満たしていくかを問われることになります。
 技術革新の変化は著しく、ユーザーニーズも日々変化していきます。よって、その時々の課題に合わせて、しっかりと事業の価値を示していく必要があります。
 高度化指針というのは大きくその業種や技術によって指定されているので、各事業者個別に向けているというわけではありません。
ただ、一般的な業界のニーズや課題という意味では共通の事項といえます。

ものづくり補助金の事業計画書作成について疑問点がある場合、認定経営革新等支援機関に相談してみてはいかがでしょうか。
著者

船着 貴弘

シェアビジョン株式会社取締役