事業再構築補助金 第6回審査のポイントとは

2022/04/15
事業再構築補助金は申請書を出せば誰でも採択されるものではありませんが、審査項目に沿って事業計画が策定できていれば採択される可能性が大きく高まります。
ただし、第6回から令和3年度補正予算に該当されるようになり、前回公募と比較して要件や申請類型、補助金額などが見直しや拡充によって変更され、採択に係る審査項目も変更されました。
そこで、本記事で解説する「第6回以降の審査ポイント」を把握することで採択率を引き上げましょう。

審査項目に沿って審査される
提出した事業計画書は審査項目に沿って、外部有識者である採択審査委員会が審査し、審査項目に合った内容になっているかどうか評価されます。

事業再構築補助金第6回【補助対象事業としての適格性】
「4.補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%((【グリーン成長枠】については 5.0%))以上の増加等を達成する取組みであるか。

事業再構築補助金第6回の審査ポイント【事業化点】
①本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
「※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。」が6回から追加しました。

②事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。

③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。 
④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

事業再構築補助金第6回の審査ポイント【再構築点】
①事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。
「※複数の事業者が連携して申請する場合は、連携体構成員が提出する「連携体各者の事業再構築要件についての説明書類」も考慮し採点します。」が6回から追加しました。

②既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。

③市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。

④先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。

事業再構築補助金第6回の審査ポイント【政策点】
①「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。」が6回から新たに追加しました。
 新型コロナウイルスにおいて経済社会の大きな変化に対応し、コロナ禍においても需要があり、生産性が見込まれる分野に進出しているか、「大胆な」つまり従来行ってきた事業と大きく異なる事業へ再構築ができるかが審査されます。

②先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。 
③新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。

④ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。 
⑤地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。

⑥異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

事業再構築補助金第6回の審査ポイント【グリーン成長点】
こちらはグリーン成長枠のみの審査項目です。

共通(研究開発・技術開発計画書を提出した場合と人材育成計画書を提出した場合)
①事業再構築の内容が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取組となっているか。

研究開発・技術開発計画書を提出した場合
②研究開発・技術開発の内容が、新規性、独創性、革新性を有するものであるか。
③研究開発・技術開発の目標が、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題に基づき適切に設定されており、目標達成のための課題が明確で、その解決方法が具体的に示されているか。
④研究開発・技術開発の成果が、他の技術や産業へ波及的に影響を及ぼすものであるか。事業再構築補助金の申請を検討されている方は、確認書を作成してもらう必要があるため、懇意にしている金融機関にご相談ください。

人材育成計画書を提出した場合
②グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する事業再構築を行うために必要性の高い人材育成を行う計画となっているか。
③目標となる育成像や到達レベルの評価方法などを含め、具体的かつ実現可能性の高い計画が策定されており、また、人材育成管理者により、その進捗を適切に把握できるものとなっているか。
④人材育成を通じて、被育成者が高度なスキルを身につけることができるものとなっているか。また、身に着けたスキルを活用して、企業の成長に貢献できるか。
事業再構築補助金の申請において、事業計画書の作成の際、これらの「補助事業対象事業としての適格性」「事業化点」「再構築点」「政策点」の審査ポイントを全て満たすように策定しなければなりません。高い専門性が求められるため、申請のサポートを行う機関である認定経営革新等支援機関に相談することをお勧めします。
著者

小林 卓矢

シェアビジョン株式会社代表取締役