“認定支援機関確認書”は事業再構築補助金の申請で提出必須?

2022/02/03
事業再構築補助金は、事業継続が難しくなったコロナ禍において、新しい事業展開を検討する中小・中堅企業向けの補助制度です。申請するにあたっては、補助金申請をサポートする認定支援機関を企業が利用したことを示す「認定支援機関確認書」を提出することが必須となっています。この記事では、認定支援機関確認書について説明します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するための補助金です。
予算額として、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予算で6,123億円、令和4年度予備費で1,000億円、令和4年度第2次補正予算で5,800億円が計上されており、大規模な予算編成がされています。

必須要件は以下のとおりです。
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認定支援機関確認書とは

事業再構築補助金の申請には様々な書類を事務局に提出する必要がありますが、その中でも申請者だけでは用意できない書類に下記の2点があります。
 ・認定支援機関確認書(認定経営革新等支援機関による確認書)
 ・金融機関による確認書
認定支援機関確認書とは、金融機関や商工会議所、商工会、士業、民間コンサルタント等のうち、国から認定を受けた「経営革新等支援機関」が申請書類の内容を確認したことを示す文書で、第三者の関与を示すものとして提出が義務付けられています。

※認定支援機関とは
中小企業の経営課題解決・経営革新をサポートするプロフェッショナルな支援機関で、経済産業省が認定したものを認定経営革新等支援機関、通称「認定支援機関」といいます。

具体的には税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等の『中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関』が認定支援機関として認定されています。平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)が施行されてからこの認定制度が始まりました。
経営の見える化や事業計画等の策定・実行支援のフォローアップ等、企業の経営強化をサポートしており、事業とパートナーとして頼りになる重要な存在です。

事業再構築補助金を検討されている方は、取引されているメイン銀行が認定支援機関かどうか確認されるといいでしょう。下記のリンクから地域の認定支援機関を検索することができます。
認定経営革新等支援機関について(経済産業省)

なぜ認定支援機関確認書が必要?

そもそもなぜ外部機関の確認書が必要なのでしょうか。それは、事業再構築補助金の申請が採択される際に、「事業計画に記載した成果目標の達成」が見込まれなければ採択が難しい傾向にあるからです。
なぜなら、事業再構築補助金は以前から用意されていた補助金の中でも補助金額が最高で1億円と多額であり、毎回申請者が2万社前後と非常に多くの事業者が注目し、申請していまし。そのため、事業計画書の策定において、専門家によって整理されたものであると認定を受けていることを示す証明が必要になります。

しかし、認定支援機関確認書の作成を断られてしまうケースもあり、下記の場合が例として挙げられます。
①事業計画書に不備がある場合
 そもそも申請者が作成した事業計画書に不備があった場合は作成してもらえないこともあります。経済産業省が定める事業再構築指針に沿った取組となっているかどうか作成依頼をする前に確認し、不備がないかチェックしておきます。

②作成する時間がない
 認定支援機関は事業計画書を確認して、事業再構築による成果目標の達成が見込まれると判断する理由や支援計画を記載して作成しなければなりません。認定支援機関によっては作成における時間を充てられないといった理由で断られる場合もあります。

③公表されることでリスクを伴う場合
 認定支援機関確認書には、「※事業計画期間中、事務局が事業化状況報告書等の内容を基に、認定経営革新等支援機関の支援状況やフォローアップ状況等を調査し、その結果を公表する場合があります。」と記載されています。そのため、「支援計画」を記載する項目があり、認定支援機関として申請者の事業計画期間中にどのような支援を行うかを示す支援計画を作成する必要があります。事務局がその状況を調査してその結果が公表されるというリスクがあるため、認定支援機関によっては確認書の作成を断られるという場合もあります。

④融資を受ける予定ではない(金融機関の場合)
 金融機関に認定支援機関確認書の発行を依頼する場合、その金融機関から融資を受けることが前提になると思われますが、そもそも事業再構築を自己資金や認定支援機関ではない政策金融公庫などの金融機関から融資を受ける場合、他の金融機関に認定支援機関確認書を作成してもらうことは難しいかもしれません。(融資前提でなくても作成してもらえる場合もあるため、一度懇意の金融機関にご相談ください。)

認定支援機関確認書の記載項目とは

【認定支援機関確認書のフォーマット】
認定支援機関確認書の記載項目は以下の通りです。
以上のような記入欄があります。事業再構築補助金の公式HPにフォーマットがあるため、指定のフォーマットで認定支援機関に作成を依頼します。認定支援機関が作成するため、事業者側で作成するものではありません。

また、記載項目の中で特に注意が必要な点は下記の2点です。
認定支援機関側の間違いとしてよくあるのが誤った法人名が申請者となっているということです。特に付き合いの浅い認定支援機関の場合、書き間違えはよくあることなので、必ずご自身で確認するようにしてください。

認定支援機関確認書準備の注意点

①有料の場合がある
 認定支援機関確認書の作成において、認定支援機関によっては有償で引き受ける機関もあるので、確認が必要です。

②余裕を持ったスケジュールが必要
 作成を依頼する場合、認定支援機関に事業計画書や電子申請時のキャプチャの提出が必要となる場合があります。認定支援機関確認書は事業計画書の内容をもとに作成されるため、事業計画書を先に完成させておかなければなりません。
 しかし、事業計画書は採択されるかどうかにおいて最も重要な資料となります。認定支援機関に十分検討していただくのであれば、早くて数週間~数ヵ月単位で作成・推敲されることも多く、事業再構築補助金の申請締め切り間近に依頼すると、申請に間に合わないという事態が発生してしまいます。事前に確認して計画的に依頼することがスムーズな申請において欠かせません。
 認定支援機関確認書の発行を依頼する認定支援機関に発行にかかる期間を事前に打診しておきましょう。

③再チャレンジの場合、再取得が必要
 事業再構築補助金が不採択となり再度チャレンジする場合は、前回提出した認定支援機関確認書を使いまわすことはできません。再申請する場合、認定支援機関確認書の日付や事業計画の修正によるスケジュールの調整を行うと「(2)支援内容」にズレが出ることがあるため、最新の事業計画書に合わせて提出する必要があります。

認定支援機関確認書を入手する方法及び手順は下記のリンクから確認することができます。
認定経営革新等支援機関による確認書とは?

④補助金額が3,000万円以上の場合
認定支援機関確認書の最後には「金融機関による確認書」に関するチェックボックスがありますが、この欄は補助金額が3,000万円以上の場合はチェックすることで「金融機関確認書」の提出を省略することができます。下記の場合も金融機関確認書の提出を省略することができます。
※地方銀行や信用金庫などの金融機関が認定支援機関の役割を兼ねる場合に限ります。

金融機関確認書とは

 認定支援機関確認書と同様に申請者では作成ができない書類として、別途に金融機関確認書が必要となる場合もあります。
 事業再構築補助金は補助金額が高額となる傾向にあるため、投資の実効性や資金調達の可能性、事業再構築補助金の申請要件以外にも財務状況や実施体制に問題がないかを確認する目的として金融機関確認書が必要なケースがあります。

 【補助金額が3,000万円となる場合】
 例)事業費用:4,500万円 補助率:2/3 補助金額:3,000万円

 また、金融機関確認書が必要な場合、金融機関確認書の2ページ目の「事業再構築による成果目標の達成が見込まれると判断する理由」と「支援計画」の記載が任意となるため、金融機関に時短で作成依頼をしてもいいかもしれません。
金融機関確認書は認定支援機関確認書と密接に関係しているため、こちらもチェックしてみてください。
金融機関確認書を入手する方法及び手順は下記のリンクから確認することができます。
事業再構築補助金申請で求められる“金融機関による確認書”はどうやって手に入れる?

 上述のとおり、事業再構築補助金の申請に当たっては、自社のみで事業計画を策定しても申請できず、必ず認定支援機関の協力が必要となります。
 事業再構築補助金の申請を検討されている方は、認定支援機関確認書を作成してもらう必要がありますので、懇意にしている金融機関や認定支援機関にご相談ください。

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著者

船着 貴弘

シェアビジョン株式会社取締役