事業再構築補助金 内製化は対象になる?

2021/12/23

内製化とは? 

外部に委託していた業務を、自社の社員や設備で対応することを“内製化”といいます。 事業再構築補助金では、補助金で新たに設備を購入し(設備投資)、外注で行っていた加工などを自社内で行う体制に切り替えることを意味しています。とはいえ、人件費は事業再構築補助金では費用として計上できませんので、内製化のために人を新しく雇い入れる等は対象外となります。人員増加をメインとした内製化をお考えの事業者さまはご注意ください。 事業再構築補助金では、設備の導入をきっかけとし、メーカーとしての在庫管理や、製造のための技能育成等による波及効果を想定した展開が求められることが考えられます。

内製化の要件 

かつて、事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 よくあるご質問【業態転換、事業再編】」(( https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/faq_tenkan_saihen.pdf )において、 
 「内製化は「製造方法等の新規性要件」に該当するか。」 
との質問に対し、 
 「満たし得ると考えられます。」
との案内がありました。 
 現在、業態転換は、事業再構築補助金の新市場進出という類型に引き継がれています。
新市場進出は、業態転換と新分野展開を統合し、第10回公募から新設されました。この類型に該当するためには、
があり、さらに事業計画期間終了後新事業の売上高が総売上高の10%(又は付加価値率15%)を満たす計画の策定が必要とされます。

内製化のための製品等の新規性・市場の新規性の要件

製品等の新規性要件は、下記の2つの項目で定められています。
(1)過去に製造等をしていた実績がないこと過去に製造等していた製品等を再製造等することは、事業再構築によって、新たな製品等を製造等しているとはいえません。過去に製造等した実績がないものにチャレンジすることを示す必要があります。なお、ここでの「新規性」は、世界初や日本初の製品である必要はなく、企業自身にとっての新規性を満たしていれば問題ありません。2020年4月以降に始めた事業が、この新規性要件を満たすとみなされます。
(2)定量的に性能又は効能が異なること数字などの客観的な評価が求められます。新しい設備を導入することによりどのような変化があるのかをデータ化して示すことでクリアできるとされております。

次に、市場の新規性要件について説明します。
市場の新規性は、企業が新たにターゲットとする顧客層が既存事業の顧客層と異なることで示します。既存事業の顧客層を明確にし、新規事業の対象顧客層が明確に異なることを示す必要があります。

以上をふまえて、内製化を補助対象とする例を挙げます。
自動車部品メーカーが新たに依頼された医療機器部品の製造工程を構築した際、設備投資の予算が足りずに一部を外注としていたプロセスがあるとすると、そこを事業再構築補助金での新設備導入によって完全内製化することで、過去に製造した実績のない製品の製造を可能とします。さらに、自動車部品と用途が全く異なる医療機器部品を製造・販売することで、既存の顧客層と大きく異なる顧客層をターゲットにすることが出来ます。

まとめ

事業再構築補助金で内製化を対象にするためには、新市場進出の要件を満たすために製品等の新規性要件と、市場の新規性要件を満たす必要があることがわかりました。
著者

船着 貴弘

シェアビジョン株式会社取締役