この記事のポイント
- ● 2025年、事業再構築補助金の後継「新事業進出補助金」が創設
- ● 売上高100億円を目指す「中小企業成長加速化補助金」も登場
- ● 省力化投資補助金はカタログ型以外のオーダーメイド形式が登場
はじめに
また、2024年12月6日には、中小企業庁のHPにて「令和6年度補正予算案 中小企業・小規模事業者等関連ポイント」が発表され、新たに事業再構築補助金の後継となる「新事業進出補助金」創設が明記されました。
事業再構築補助金は、2021年3月から始まり、多くの中小企業が注目・活用していた補助金でしたが、令和5年度補正予算では新規予算は計上されず、カタログ型の設備投資を支援する省力化投資補助金に基金が再編され、2024年7月の12回公募の締切以降、13回以降の公募が実施されるかは不確定なままでした。
基金の予算はまだ残っているため、あと数回の公募が実施されるのではないかという見方もありましたが、その既存基金の活用により、新補助金が創設されることになりました。
この記事では、事業再構築補助金のこれまでの推移を振り返りつつ、後継として新たに創設される「新事業進出補助金」と、中小企業生産性革命推進事業の一部として創設される「中小企業成長加速化補助金」や、現在公募受付中の省力化投資補助金について、中小企業庁の発表からポイントを解説します。
事業再構築補助金の推移
コロナ禍に苦しむ企業にスピーディーに対応するため、交付決定前の事業開始が認められる事前着手制度が導入されたり、建物費が補助対象経費になったりと、新しい試みが行われました。1者あたりの補助金が数千万円ともなる大規模な支援内容で、これまで12回の公募で8万者を超える事業者が採択されています。
コロナの影響による経済環境が変化していく中で、公募回毎に要件や補助金額なども変化し、申請枠も以下のように推移していきました。
公募回 | 公募時期 | 申請枠 |
---|---|---|
第1~2回 | 2021年3月~7月 | ・通常枠 |
第3~5回 | 2021年7月~2022年3月 | ・通常枠 |
第6回 | 2022年3月~6月 | ・通常枠 |
第7~9回 | 2022年7月~2023年3月 | ・通常枠 |
第10回 | 2023年3月~6月 | ・成長枠 |
第11回 | 2023年8月~10月 | ・成長枠 |
第12回 | 2024年4月~7月 | ・成長分野進出枠 |
そのため、2023年12月下旬~2024年1月上旬が予定されていた第11回公募の採択発表は延期となり、2024年2月14日に採択結果が発表されました。
採択率についても、それまでの第1~10回公募の採択率が約50%前後だったのに対し、第11・12回の採択率はどちらも約26%と非常に厳しくなりました。
第1回から第12回の採択率推移は、以下の記事でまとめています。
令和5年度秋のレビューでの指摘を受け、第12回公募は、申請枠の集約や、事前着手制度の原則廃止、全枠での売上減少要件の撤廃、口頭審査の実施など、さまざまな見直しが行われた上で、実施されました。
また、2023年12月に成立した令和5年度補正予算では、事業再構築補助金の新規予算は計上されず、基金の一部は中小企業省力化投資補助事業(省力化投資補助金)に再編されました。
事業再構築補助金の後継「新事業進出補助金」が登場!
2024年12月6日の中小企業庁の発表により、新事業進出補助金の創設が明記されました。
これは、既存基金を活用して1,500億円規模で行われるとされており、事業再構築補助金で活用されなかった分の予算が当てられると考えられます。
また、12月5日に中小機構が効率的・効果的な事業実施手法の情報提供を呼び掛けている資料には新事業進出補助金の事業目的と事業概要が掲載されていました。
事業目的
人手不足や賃上げといった昨今の経済社会の変化の中で、中小企業等が成長する過程においては既存事業の拡大に加え、新たな事業の柱となる新事業への挑戦が重要。既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とする。
事業概要
企業の成長・拡大を通した生産性向上や賃上げを促すために、中小企業等が行う、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への新規参入にかかる設備投資等を支援。
また、補助対象経費として、建物費が記載されています。建物費が対象となる補助金は限られるため、建物への設備投資を検討されている事業者にとってはチャンスとなります。ただ、事業再構築補助金でも後半は建物費の計上が厳しく審査されるようになったため、必要性を伝えるための綿密な事業計画が必須となります。
事業再構築補助金の後継と言っても、要件や申請枠の見直しではなく、全く新しい補助金となるため、事務局の公募から実施される可能性もあります。詳細はこれから明らかになっていくと思いますが、公募開始までは少し時間がかかるかもしれません。
生産性革命推進事業にも新補助金が創設
この補助金では、売上高100億円を目指す中小企業への設備投資支援や、中小機構による多様な経営課題(M&A・海外展開・人材育成等)への支援等が行われるようです。
この補助金には、中小企業生産性革命推進事業の令和6年度補正予算3,400億円のうちの1,000億円が充てられるとの情報があります。
省力化投資補助金は大幅改善の見込み
具体的には、個別発注でのオーダーメイド形式の省力化補助金が新設されるようです。カタログに登録されていない省力化製品でも活用できれば、今以上の業種・業態の事業者にとっても活用しやすい補助金に見直されると考えられます。これは、カタログ型と同じ省力化投資補助金の既存基金が活用されます。
まとめ
従来の事業再構築補助金は補助金額も規模が大きく、新しい市場への挑戦を目論む企業にとっては魅力高い補助金でした。今回創設される「新事業進出補助金」の補助金額等はまだ明らかになっていませんが、こちらも人気の補助金になるのではと予想されます。
事業再構築補助金の第11回・12回公募は、非常に厳しい採択率でしたが、不採択の理由の一つとして、「事業再構築指針に沿った取組みだと読み取れない」という指摘がありました。補助金の採択にあたっては、申請する補助金の目的や指針に合わせて、説得力のある事業計画が作れるかどうかが重要になります。
新事業進出補助金をはじめ、その他、補助金を活用した設備投資を検討されている事業者の方は、ぜひ一度、認定支援機関にご相談ください。