コロナ回復加速化枠の補助金額と補助率
補助金額 | 補助率 | |
通常類型 | 【従業員数5人以下】 100万円~1,000万円 | 中小企業者等 2/3(※1) |
最低賃金類型 | 【従業員数5人以下】 100万円~500万円 | 中小企業者等 3/4(※一部2/3) |
(※2)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3
はじめに
しかし、中小企業庁では、ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者やコロナの影響を受けた事業者が一定程度、存在するとの考えから、抜本的な見直しを行った上で、2024年4月23日(火)から第12回公募を実施することが発表されました。
第12回公募では、全ての申請枠においてコロナ債務の借り換えを行っている事業者に加点措置を講じており、また、コロナ回復加速化枠(通常類型)については、コロナ債務の借り換えが必須要件となっており、大幅な加点が見込まれています。
第11回公募から第12回公募における申請枠の変更は以下の通りです。
第11回公募 | 第12回公募 |
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・成長枠 | ・成長分野進出枠 |
全枠共通の必須要件
共通要件
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
しかし、第12回公募では、認定経営革新等支援機関または金融機関等どちらかの確認で済むようになりました。ただし、補助金額に関わらず、金融機関等から借り入れをして補助事業を実施する場合は、借入先の金融機関等による事業計画の確認を受ける必要があります。借り入れをせず自己資金のみで補助事業を実施する場合は、認定経営革新等支援機関による事業計画の確認のみで要件を満たします。
③の付加価値額の年平均成長率の要件は、3.0~5.0%の間で申請類型により異なる数値が設定されていますが、コロナ回復加速化枠では、(通常類型)(最低賃金類型)ともに3.0%となっています。
※第12回公募から年平均成長率(CAGR)は「複利計算」をもとに算出するよう明記されています。単利計算で策定しないようにご注意ください。
事業再構築補助金第12回公募では、第11回公募の「物価高騰対策・回復再生応援枠」「最低賃金枠」が見直され、新たに「コロナ回復加速化枠(通常類型、最低賃金類型)」に変更となりました。以下では、それぞれの類型について解説してきます。
コロナ回復加速化枠(通常類型)
補助金額 | 【従業員数5人以下】 100万円~1,000万円 |
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補助率 | 中小企業者等 2/3(※1) |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
共通要件①、②に加え、
③の付加価値額要件では、補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが必要になります。
また、コロナ回復加速化枠(通常類型)では、【コロナ借換要件】か【再生要件】のどちらかを満たす必要があります。
【コロナ借換要件】は、第12回公募から新たに追加された要件であり、応募申請時において、コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていることが必要になります。過去に制度を利用した実績があっても既に完済している場合は対象になりませんので、ご注意ください。
また、申請時にはコロナ借換保証等で既往債務を借り換えていることを確認するため、申請時に借換先の金融機関等による「コロナ借換要件・加点確認書」の提出が求められます。借換先の金融機関に「コロナ借換要件・加点確認書」を出してもらうには、時間を要することが予想されますので、早めに依頼することをおすすめします。
【再生要件】は、中小企業活性化協議会等において、深刻な経営状況にある中小企業を再生させるための計画を策定中、又は策定済みかつ再生計画成立後3年以内の事業者が対象となります。
・コロナ回復加速化枠(通常類型)の補助金額計算方法
コロナ回復加速化枠(通常類型)では、補助金額の計算がやや複雑になっているので、いくつか例を挙げて、説明します。
≪例1≫従業員数15名の中小企業が、対象経費2,000万円の設備で申請する場合
補助金額600万円までは補助率が3/4となるため、対象経費の800万円までは補助率3/4が適用されます。残りの1,200万円に対しては補助率2/3が適応され、800万円となります。そのため、受け取れる補助金額は600万円+800万円=1,400万円になります。
≪例2≫従業員数30名の中小企業が、対象経費2,500万円の設備で申請する場合
補助金額800万円までは補助率が3/4となるため、対象経費の1,066万6,667円までは補助率3/4が適応されます。残りの1,433万3,333円に対する補助率は2/3なので、補助金額は955万5,555円となり、受け取れる補助金額は、800万円+955万5,555円=1,755万5,555円となります。
≪例3≫従業員数51名以上の中小企業が、対象経費6,000万円の設備で申請する場合
補助金額1,200万円までは補助率が3/4となるため、対象経費の1,600万円までは補助率3/4が適用されます。残りの対象経費4,400万円に対しては補助率が2/3で2,933万3,333円となり、計算上の補助金額は1,600万円+2,933万3,333円=4,533万3,333円となりますが、補助上限額は3,000万円のため、受け取れる補助金額は3,000万円となります。
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
補助金額 | 【従業員数5人以下】 100万円~500万円 |
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補助率 | 中小企業者等 3/4(※一部2/3) |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
共通要件①、②に加え、
③の付加価値額要件では、補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年平均成長率3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが必要になります。
また、2022年10月から2023年9月までの間で、3か月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いることも必須要件です。コロナ借換保証等で既往債務を借り換えていることは任意の要件となりますが、満たさない場合は補助率が引き下がることになりますので、ご注意ください。
第12回公募での申請に向けた注意点
「コロナ回復加速化枠(通常類型、最低賃金類型)」に申請する場合、補助金額が上乗せされる「卒業促進上乗せ措置」または「中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」に同時に申請することが可能です。
②事前着手制度の廃止
第11回公募まで実施していた事前着手制度ですが、第12回公募からは原則廃止となります。
ただし、第10回、第11回公募において、「物価高騰対策・回復再生応援枠」又は「最低賃金枠」の補助金交付候補者として不採択となった事業者はその限りではありません。第12回公募において、コロナ回復加速化枠(通常類型、最低賃金類型)に申請する場合に限り、補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手届出が受理された場合は、令和4年12月2日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とすることが認められました。
上記以外の場合については、いかなる理由であっても事前着手は認められないため、事業の開始(導入設備の発注等)は、交付決定後に行わなければ補助金を受け取ることができません。この経過措置をもって完全に廃止すると明記されています。
③口頭審査の実施
口頭審査は、一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて行われます。本事業に申請された事業計画について、事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等の観点について審査されます。
【口頭審査期間:調整中】
④第12回公募の実施スケジュール
公募開始 | 2024年4月23日(火) |
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申請開始 | 2024年5月20日(月) |
応募締切 | 2024年7月26日(金)18:00 |
採択発表 | 2024年10月下旬~11月上旬(予定) |
まとめ
事業再構築補助金の活用をお考えの事業者の方は、第12回公募での申請をご検討の上、申請についてお困りでしたら、どうぞお早めに認定支援機関までご相談ください。
事業再構築補助金編集部
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。