はじめに
第12回公募では、複雑との指摘もあった支援枠を5枠→3枠へ簡素な形に見直し、全ての申請枠においてコロナ債務を抱える事業者に加点措置を講じ、支援を重点化することになりました。
第11回公募から第12回公募における申請枠の変更は以下の通りです。
第11回公募 | 第12回公募 |
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・成長枠 | ・成長分野進出枠 |
全枠共通の必須要件
共通要件
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%以上増加 又は 従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
第12回公募では、補助金額に関わらず、金融機関等から借り入れをして補助事業を実施する場合は、借入先の金融機関等による事業計画の確認を受ける必要があります。自己資金のみで補助事業を実施する場合は、認定経営革新等支援機関による事業計画の確認のみで要件を満たします。
③の年平均成長率の要件は、3.0~5.0%の間で申請類型により異なる数値が設定されています。
事業再構築補助金第12回公募では、第11回公募の「成長枠」が見直され、新たに「成長分野進出枠」に変更となりました。以下で、それぞれの類型について解説していきます。
成長分野進出枠(通常類型)
・補助金額・補助率等
補助金額 | 補助金額 【従業員数20人以下】 100万円~1,500万円(2,000万円) |
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補助率 | 中小企業者等 1/2(2/3) |
補助事業実施期間 | 交付決定日~12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費 |
共通要件①②に加え、
③の付加価値額要件では、補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率 4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが必要になります。
また、成長分野進出枠(通常類型)では、【市場拡大要件】か【市場縮小要件】のどちらかを満たす必要があります。
【市場拡大要件】は、取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していることが必要になります。業界団体が要件を満たすことについて示した場合、その業種・業態が指定業種として指定されます。第11回公募までに公表された業種・業態は引き続き対象となります。
製造業や卸売業の多くやインバウンド顧客をターゲットとした宿泊業等が対象となっています。指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態であることについて、客観的な統計等で示すことで、事務局の審査で認められた場合が対象となりますが、まずは自社が取り組む事業がリストに入っているかどうかを、確認しましょう。
【市場拡大要件】で申請する場合には、事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させることも必須要件となります。
【市場縮小要件】は、現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること、又は地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高10%以上を占めることが要件になります。
成長分野進出枠(GX進出類型)
グリーン成長戦略「実行計画」14 分野とは
グリーン成長戦略とは、太陽光発電やバイオ燃料などの「グリーンエネルギー」を積極的に導入・拡大することで、環境を保護しながら産業構造を変革し、社会経済を大きく成長させようとする国の政策です。脱炭素社会を目指して、政府が現時点で考えるエネルギー政策とこれからのエネルギー需給の見通しが2050年までのロードマップとして示されており、これから成長が期待される産業(14分野)に対し高い目標が設定されています。
1 | 洋上風力・太陽光・地熱 | 8 | 物流・人流・インフラ |
2 | 水素・燃料アンモニア | 9 | 食料・農林水産業 |
3 | 次世代熱エネルギー | 10 | 航空機 |
4 | 原子力 | 11 | カーボンリサイクル・マテリアル |
5 | 自動車・蓄電池 | 12 | 住宅・建築物・次世代電力マネジメント |
6 | 半導体・情報通信 | 13 | 資源循環関連 |
7 | 船舶 | 14 | ライフスタイル関連 |
補助金額 | 補助金額 中小企業者等 |
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補助率 | 補助率 中小企業者等 1/2(2/3) |
補助事業実施期間 | 交付決定日~14か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費 |
共通要件①②に加え、
③の付加価値額要件では、補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率 4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが必要になります。
また、事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みであることも必須要件となります。
補助事業実施期間が、成長分野進出枠(通常類型)よりも2か月長く設定されているので、導入予定設備の納期に時間がかかることが分かっている場合は、この枠で申請できないか検討してみても良いかもしれません。
事業再構築補助金は、基本的に1回しか活用できませんが(申請して不採択になった場合は、何度でも申請できます)、これまでに(第1回~11回公募)にグリーン成長枠以外で採択されている補助金交付候補者として採択されている又は交付決定を受けている事業者でも、この成長分野進出枠(GX進出類型)で以下の要件を満たせば、2回目の申請が可能となります。
別事業要件 | 既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容であること |
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能力評価要件 | 既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力があること |
GX進出類型に関わる変更点として、過去公募回のグリーン成長枠で提出が求められていた「研究開発・技術開発計画書」又は「人材育成計画書」が今回公募では不要になりました。
第12回公募での申請に向けた注意点
「成長分野進出枠(通常類型、GX進出類型)」に申請する場合、「卒業促進上乗せ措置」または「中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置」に同時に申請することが可能です。
②事前着手制度の廃止
第11回公募まで実施していた事前着手制度ですが、第12回公募回からは原則廃止となります(経過措置として、一部の申請枠で、今回の公募回のみ認められるケースがありますが、成長分野進出枠は全て対象外です)。いかなる理由であっても事前着手は認められないため、事業の開始(導入設備の発注等)は、交付決定後に行わなければ補助金を受け取ることができません。
③口頭審査の実施
口頭審査は、一定の審査基準を満たした事業者の中から必要に応じて行われます。本事業に申請された事業計画について、事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等の観点について審査されます。
【口頭審査期間:調整中】
④第12回公募の実施スケジュール
第12回公募におけるスケジュールは以下の通りです。
公募開始 | 2024年4月23日(火) |
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申請開始 | 2024年5月20日(月) |
応募締切 | 2024年7月26日(金)18:00 |
採択発表 | 採択発表 2024年10月下旬~11月上旬(予定) |
まとめ
事業再構築補助金の活用をお考えの事業者の方は、第12回公募での申請をご検討の上、申請についてお困りでしたら、どうぞお早めに認定支援機関までご相談ください。
事業再構築補助金編集部
認定支援機関(認定経営革新等支援機関※)である、シェアビジョン株式会社において、80%以上の採択率を誇る申請書を作成してきたメンバーによる編集部が監修・執筆しています。
当社は、2017年の会社設立以来、ものづくり補助金や事業再構築補助金等の補助金申請サポートをはじめとしたコンサルティングサービスを提供してまいりました。『顧客・従業員のビジョンを共有し、その実現をサポートすることで社会の発展と幸福を追求する』を経営理念とし、中小企業の経営者のビジョンに寄り添い、ビジネスの課題を解決するための手助けをしています。支援してきたクライアントは1,300社以上、業界は製造業、建設業、卸売業、小売業、飲食業など多岐に渡ります。このブログでは、中小企業の経営者にとって有益な情報を分かりやすくお届けしてまいります。
※認定経営革新等支援機関とは?
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあると国が認定した経営相談先です。全国各地に3万箇所以上の認定支援機関があり、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関、経営コンサルティング会社等が選出されています。認定支援機関を活用することで、補助金申請だけでなく、財務状況、財務内容、経営状況に関する調査・分析までを支援するため、自社の経営課題の「見える化」に役立ちます。