今回は、事業再構築補助金第10回公募の採択結果について、説明します。
事業再構築補助金第10回公募について、申請受付締切である令和5年6月30日までに10,821件の応募がありました。厳正に審査を行った結果、5,205件が採択され、採択率は48.1%でした。各申請枠の応募件数と採択件数、採択率は以下のとおりです。
・第10回公募の各申請枠による応募と採択結果件数 | 成長枠 | グリーン | 産業構造 | 最低賃金枠 | 物価高騰対策・ | サプライチェーン | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
応募件数 | 2,734 | 631 | 275 | 249 | 6,775 | 157 | 10,821 |
採択件数 | 1,242 | 262 | 102 | 133 | 3,387 | 79 | 5,205 |
採択率 | 45.4% | 41.5% | 37.0% | 53.4% | 49.9% | 50.3% | 48.1% |
採択率でも、「物価高騰対策・回復再生応援枠」は49.9%と「成長枠」を上回り、その他「最低賃金枠」、「サプライチェーン強靭化枠」も50%を超える採択率となりました。
公募回 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 |
---|---|---|---|
第9回 | 9,369 | 4,259 | 45.5% |
第10回 | 10,821 | 5,205 | 48.1% |
業種別による応募と採択の割合は?
事業再構築補助金第10回公募申請者の業種別による応募と採択の割合を分析すると、「製造業」の採択比率が24.6%と最も高く、次に「卸売業、小売業」が15.0%、「建設業」が13.4%と高くなっています。
「製造業」の採択比率が高い理由としては、事業再構築補助金は大胆な新規事業を高く評価するため、「製造業」は投資金額が大きくなる傾向にあることで大胆な事業とみなされやすいからであると考えられます。
第10回公募の業種別の採択率は、第9回公募と同じく「製造業」「卸売業、小売業」が多い傾向にある一方、第9回公募で3番目に採択率が高かった「宿泊業、飲食サービス業」は減少し、代わりに「建設業」が第10回公募の採択率で3番目に高い結果となりました。
応募金額・採択金額の割合は?
一方で、第9回公募での採択金額の割合は、下グラフからも分かるように大きく異なっており、1,501~3,000万円が40.4%と最も高い割合を占め、次に501~1,000万円が19.9%、100~500万円が10.7%となっています。
第10回公募では、100~1,500万円の採択金額が約61%に対し、第9回公募では約41%であったことから、前回より投資規模が小さい事業者の割合が増えたと言えます。
事業再構築の「加点項目」とは?
事業再構築補助金に設けられている加点項目の取得のハードルはさまざまですが、比較的要件の易しい項目もあり、採択を目指すのであれば、少なくとも2~3項目は満たしておきたいところです。加点項目は公募回ごとに異なり、第10回公募では以下の10つが加点項目となっています。
・加点項目
大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点
最低賃金枠申請事業者に対する加点
経済産業省が行うEBPMの取組への協力に対する加点
パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点
事業再生を行う者に対する加点
特定事業者であり、中小企業者でない者に対する加点
サプライチェーン加点
健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点
大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点
ワーク・ライフ・バランス等に取組に対する加点
この記事では、10回公募の採択結果、採択率の推移、加点項目について説明しました。
事業再構築補助金の申請を検討されている方は、一度認定支援機関にご相談ください。
小林 卓矢
シェアビジョン株式会社代表取締役
1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。