事業再構築補助金における第10回公募の採択結果分析について

2023/10/26

今回は、事業再構築補助金第10回公募の採択結果について、説明します。

 

事業再構築補助金第10回公募について、申請受付締切である令和5年6月30日までに10,821件の応募がありました。厳正に審査を行った結果、5,205件が採択され、採択率は48.1%でした。各申請枠の応募件数と採択件数、採択率は以下のとおりです。

・第10回公募の各申請枠による応募と採択結果
 第10回公募では、「成長枠」、「グリーン成長枠」、「産業構造転換枠」、「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」といった申請枠が設けられましたが、コロナの影響や原油高等の経済変化の影響で売上が大きく減少した事業者が申請することができる「物価高騰対策・回復再生応援枠」は多くの事業者が応募し、「成長枠」を大きく上回る応募件数となりました。

 採択率でも、「物価高騰対策・回復再生応援枠」は49.9%と「成長枠」を上回り、その他「最低賃金枠」、「サプライチェーン強靭化枠」も50%を超える採択率となりました。
 第9回公募の採択結果と比較したところ、第10回公募は応募件数が約1,500件増加し、それに伴い採択件数も増加する結果となりました。採択率も僅かに増加しましたが、事業再構築補助金の採択率は全体的に50%を下回っていることが多い傾向にあります。

業種別による応募と採択の割合は?

【第10回公募の業種別の応募と採択割合】
 上図から分かる通り、幅広い業種が補助対象となる事業再構築補助金では、毎年さまざまな事業計画が採択されています。

 事業再構築補助金第10回公募申請者の業種別による応募と採択の割合を分析すると、「製造業」の採択比率が24.6%と最も高く、次に「卸売業、小売業」が15.0%、「建設業」が13.4%と高くなっています。
 「製造業」の採択比率が高い理由としては、事業再構築補助金は大胆な新規事業を高く評価するため、「製造業」は投資金額が大きくなる傾向にあることで大胆な事業とみなされやすいからであると考えられます。

 第10回公募の業種別の採択率は、第9回公募と同じく「製造業」「卸売業、小売業」が多い傾向にある一方、第9回公募で3番目に採択率が高かった「宿泊業、飲食サービス業」は減少し、代わりに「建設業」が第10回公募の採択率で3番目に高い結果となりました。

応募金額・採択金額の割合は?

【第10回公募の応募金額・採択金額の分布】
 事業再構築補助金第10回公募のなかで、採択金額を500万円単位で分析すると、501~1,000万円が32.4%と最も高く、次いで1,501~3,000万円が25.7%、1,001~1,500万円が21.5%の割合を占める結果となりました。

 一方で、第9回公募での採択金額の割合は、下グラフからも分かるように大きく異なっており、1,501~3,000万円が40.4%と最も高い割合を占め、次に501~1,000万円が19.9%、100~500万円が10.7%となっています。
【第9回公募の応募金額・採択金額の分布】
 第10回公募では、100~1,500万円の採択金額が約61%に対し、第9回公募では約41%であったことから、前回より投資規模が小さい事業者の割合が増えたと言えます。

事業再構築の「加点項目」とは?

 事業再構築補助金の審査には、「審査項目」の他に「加点項目」というものがあります。「加点項目」とは、申請要件を満たしている事業者が申請すると「加点」される項目のことであり、審査項目とは異なり、必須ではないものの「実施することで採択される可能性が高まる項目」です。できるだけ多くの「加点項目」を満たしておけば、それだけで補助金の採択が高まります。

 事業再構築補助金に設けられている加点項目の取得のハードルはさまざまですが、比較的要件の易しい項目もあり、採択を目指すのであれば、少なくとも2~3項目は満たしておきたいところです。加点項目は公募回ごとに異なり、第10回公募では以下の10つが加点項目となっています。
・加点項目
 加点に申請するためには、申請条件を満たして必要書類を準備しなければなりません。それぞれの補助金の申請条件と必要書類を事前に確認しておきましょう。


 この記事では、10回公募の採択結果、採択率の推移、加点項目について説明しました。
 事業再構築補助金の申請を検討されている方は、一度認定支援機関にご相談ください。
著者

小林 卓矢

シェアビジョン株式会社代表取締役