今、人工知能=AIが質問をすると、まるで会話をするように応えてくれるChatGPTの利用者が現在急増しており、事業報告書や宣伝文句、ソフトウエアプリケーションのコードを人間のように生成できる能力を持っていることから、企業経営者の注目を集めています。
この記事では、最新のAI技術であるChatGPTを利用して補助金申請等の事業計画書は作成できるのか、について説明します。
ChatGPTとは
ChatGPT は、文章の自動生成や自動校正、要約、言い回しの提案など、様々な機能があります。これらの機能をうまく使うことで、よりスムーズかつ効果的な文章作成が可能になります。
経営者にとって、文章を書くことは業務の一部であり、重要なスキルのひとつではありますが、文章を書くことが苦手な経営者でも、また補助金への理解があまりなくても、スピーディーに事業計画等が作成できる可能性が広がっています。
ChatGPTのメリットは以下の通りです。
ChatGPT」のメリット
ChatGPT は、高速でテキスト生成が可能です。従来は、文章構成や単語選択の支援が主でしたが、文の生成までをサポートすることは困難でした。しかし、ChatGPT は、大量のテキストを学習することで、ある程度自然な文章を生成することができます。そのため、作業効率の向上が期待できます。
②テキスト生成の高品質化
ChatGPT は、人間が書いた文章に近い形で文章を生成することができます。そのため、高品質な文章を生成することが可能です。また、学習データには様々なジャンルの文章が含まれているため、テーマに特化した文章生成も期待できます。これにより、文章の質を向上させることができます。
③テキストの多角的な視点からの支援
ChatGPT は、多くのテキストデータを学習しているため、複数の視点から文章を生成することができます。例えば、専門用語や表現方法など、業界に特化した表現を生成することができます。また、対象読者に合わせた表現や、読み手の感情に合わせた表現なども可能です。これにより、多角的な視点からライティングを支援することができます。
④作業の効率化
ChatGPT を使ったライティング支援ツールは、文章構成や単語選択、文章生成までをサポートすることができるため、作業効率が向上します。また、テキストの多角的な視点からの支援により、ライティングにかかる時間を削減することができます。これにより、生産性の向上や、より高品質な文章をより短い時間で生成することができます。
事業計画書においてChatGPTがどう活用できるのか
①自社の強み、自社サービスの強み
レストランの強みを挙げてください。
レストランの強みには、以下のようなものが挙げられます。
料理や飲み物の品質:レストランの最も重要な強みは、提供する料理や飲み物の品質です。高品質な材料や独自のレシピを使用し、おいしい料理や飲み物を提供することで、顧客の期待を上回ることができます。
サービス:顧客に親切で迅速なサービスを提供することも、レストランの強みの1つです。ウェイターが親切で、注文がスムーズに進むようにサポートすることで、顧客の満足度が高まります。
雰囲気:レストランの雰囲気は、顧客の食事体験に大きな影響を与えます。快適な席や照明、BGMなどの要素を取り入れることで、顧客にリラックスした雰囲気を提供することができます。
価格:適正な価格帯で提供される料理や飲み物は、顧客の満足度を高めることができます。価格に見合うだけの価値を提供することで、リピート客を獲得することができます。
地理的な立地条件:レストランが繁華街や観光地にある場合、多くの顧客が自然に訪れることができます。また、駅からのアクセスが容易な場所にある場合も、顧客にとって便利であるため、レストランの強みとなります。
飲食業の市場動向について教えてください。
2021年以降、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う制限や規制により、飲食業界に大きな影響が出ています。一方で、ワクチン接種の進展や経済の回復に伴い、2022年以降は徐々に回復する見通しもあります。以下は、飲食業の市場動向についての具体的なトレンドです。
デリバリーサービスの普及:新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、外出自粛が求められたことで、デリバリーサービスの需要が急増しました。今後も利用者数が増加することが予想され、飲食店はデリバリーサービスを導入することで収益の維持や拡大を目指す必要があります。
コンビニエンスストアの飲食商品の拡充:コンビニエンスストアは、飲食業界においても重要なプレーヤーとなっています。コンビニエンスストアは、簡便かつ手軽な飲食商品を提供することで需要が拡大しており、今後も飲食商品の品揃えを拡充することが予想されます。
新しい飲食体験の提供:多様な飲食体験を提供することで、顧客の興味を引き続けることが必要となっています。飲食業界では、インスタ映えするメニューや店舗デザイン、コラボレーションなど、顧客が新しい体験を得られるような取り組みが注目されています。
食品ロス削減の取り組み:飲食業界は、食品ロス削減に取り組むことが求められています。飲食店は、食材の選定や調理方法の見直し、販売戦略の変更などを通じて、食品ロスを削減することで、顧客からの支持を得ることができます。
食材や調理方法にこだわる店舗の台頭:近年、食材にこだわった料理を提供する店舗が注目されています。新鮮な食材を使用し、調理法にこだわったメニューを提供することです。
プロンプト例から考えるChatGPTを用いて事業計画書を作成する場合の留意点
ChatGPTは、高度な自然言語処理技術を使用してトレーニングされたモデルで、一定の精度で自然な文章を生成することができます。しかし、モデルの学習は人工的に与えられた大量のデータに基づいているので、完全に正確で信頼性の高い情報を提供するわけではありません。
また、ChatGPT は大量の文章を学習することで、文章生成の精度を高めます。しかし、それでも、すべての分野の知識を持っているわけではありません。特定の分野に特化した文章を生成する場合には、専門知識が必要です。そのため、一般的な文章ではなく、特定の分野に特化した文章を生成する場合には、精度が低下することがあります。
さらに、最新情報も持ち合わせていないことからもChatGPTの回答内容が正しいか精査する必要があります。
②ChatGPTの結果に対して、個社の状況に合わせて修正する必要がある
集合知からアイディアが出ている以上、同様の分野の会社と被る可能性があることから、ChatGPTが生成した内容を、さらに自社に合わせた具体性のある内容かつ専門性が高く、優位性がある内容に修正する必要があります。
③入力した情報がAIの学習に利用される
ChatGPTを使って記事を作成する際は、入力した情報がAIの学習に利用される可能性があります。プライバシーに関する情報や機密性が高い情報は入力を控える必要があります。
④文章だけでなく画像やイラストも含める必要がある
ChatGPTはテキストを生成するのが得意ですが、事業計画書には視覚的要素も重要です。適切な画像や図表を事業計画書に挿入することで、読み手の理解を深めることができます。また、デザインやレイアウトにも配慮することで、全体の印象を向上させることができます。
⑤最新の制度情報が学習されてない
チャットGPTのFAQには、2021年以降の最新の出来事や情報に対応していない回答を生成する可能性があることが記されています。 過去の制度と全く同一であれば、良いのですが、最新の情報を加味した計画でなければ有意義とは言えません。
以上のことから、
★ChatGPTで補助金申請等の事業計画書は作成できるのか?
⇒結果:ChatGPTだけでは、事業計画書は完成しない
最新の情報や申請要件に加え、特定分野に特化した記載が必要と思われる
事業計画書は専門家のアドバイスに頼ったほうが良いと思われ、
最終的な文章作成を任せることはできない。
ChatGPTにおける内容は、2023年4月時点の結果であり、今後ChatGPTの性能が向上した場合、大きく変わる可能性もあります。
小林 卓矢
シェアビジョン株式会社代表取締役
1979年5月生まれ。 2002年に明治学院大学卒業後、株式会社エフアンドエム(東証JASDAQ上場)へ入社。 事業本部長として、中小企業向けに事業計画策定による金融支援から各種補助金申請のコンサルティングサービスの新規事業を立ち上げ、ものづくり補助金では2000社以上の企業を支援する。経済産業省主催の中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン策定検討会に検討委員として、ガイドライン策定にも関与。 入社当初の起業の目標を実現すべく、2017年5月にシェアビジョン株式会社を設立し、現在に至る。